次いで筆者は、昼酒として赤ワインを1杯注文した。ウエイター氏は「お客様、それでしたらPaulliacと言う2009年物の極上の赤ワインがございますが、それなどいかがでしょう?」と言った。「いや、それではなく、ロワール産の2008年の赤はあるかね」などと一丁前の口答えが出来る観光客はおるまい。大抵の人はウエイターの勧めるがままに唯々諾々とそのワインを注文してしまうだろう。このワイン、グラスで二杯飲んだだけで82EUR(11,480円)もふんだくられた。このホテルは座って水とワインを飲んだだけで12,000円近くも取られるのだから、新宿歌舞伎町のやらずぼったくりキャバクラ並みの料金設定である。さすがは富裕層だけが宿泊できる「パラスホテル」だけの事はある。一般佐渡島民に於かれては間違ってもこのようなホテルで飲み食いしてはならない。金がいくらあっても足りないからだ。このホテルに宿泊するのはいいとしても、館内レストランでの飲食は避けるべきであろう。さもなくば、帰国後カードの請求書を見て腰を抜かす羽目になるからだ。
だが筆者は、この程度のぼったくりにひるむ事なく、自ら進んで更なるぼったくりの被害に遭う事にしたのだからその浪費態度は筋金入りだと言えよう。筆者はウエイター氏に「ビーフのステーキはあるかね?」と尋ねてみた。すると慇懃な物腰のウエイター氏は「お客様、それでしたら当店には極上の和牛のサーローインステーキがございます」と言った。筆者はメニューを見ていちいち値段などを確認せずに、二つ返事でそれを注文した。今回の欧州旅行最後のランチである、けちけせずに大盤振る舞いをしてやろうと血が騒いでいたので値段などどうでも良かった。この和牛ステーキ、厚さは3cmほどあり、食べごたえは充分だった。だが、日本の和牛のような箸で千切れるほどの柔らかさはなく、少々硬かったが味はまずまず美味しかった。後で請求書を見たら105EUR(14,700円)もふんだくられていた。今回のパークハイアット・パリ・ヴアンドームでのランチの総計は198EUR(27,720円)であり、いくらパリは物価が高いとは言え、さすがの筆者もこれには驚いた。27,720円は、パリなら上等な宿に宿泊可能な料金とほぼ同じだからだ。
82EURの超高級ワイン
これっぽっちで82EUR
パンに付けるバター
ウエイター氏
暖炉
椅子
サーブしてくれたウエイトレス
付け合わせのポテトがまたどっさりと出て来た
豪華ランチの全貌
暖炉前の席