筆者は昨夕、残したお料理に三つのメッセージを託したつもりだ。蟹については、紅ずわい蟹ではなく本ずわい蟹を使用して欲しかった事(料金が高くなっても構わないので)、そして、食べ易いように包丁で筋を入れて欲しかった事、最後は、煮魚は、煮揚げた直後の暖かいお料理を出して欲しかった事である。当日の宿泊客は20名ほど、これらの客の食べる料理を女将さんが中心になって調理をし、給仕していたらしいのだから止むを得ないとは思う。人海戦術でサービスする佐渡八幡館や相川やまきさんのようにはいかないのは百も承知だが、今後のサービス向上に役立てて頂ければとの思いで、あえて改善点を幾つか指摘させて頂いた。
このお宿の建物は建設からどのくらいの星霜を重ねたのだろうか?建物の外壁には亀裂なども目立つし、お部屋内部の老朽化も進んでいるようだ、宿泊そのものは大変快適であったが、そろそろ建て替えの時期なのだろうか?そんな事を考えながら、今年の7月で停止となるアナログのテレビ放送を見ていたら、佐渡テレビが、「食キング佐渡」と言うタイトルで、珍しいお魚料理を提供するお店として、稲鯨の「久作」を、そして佐渡産」の素材をフレンチに仕立て上げるシェフのいるお宿としての「海府荘」さんを紹介していた。ちなみに「海府荘」では4人一組で予約すればこのフランス料理が味わえるそうだ。
最高気温が13度のこの夜は暖房用エアコンをつけっぱなしで就寝した。翌朝は、午前3時に目が覚めた。夜が白み始めてから散歩に出掛け、7時に朝食。朝食会場には筆者以外には誰もおらず、テーブルの上には海藻づくしのお料理が並んでいた。焼き鮭は焼き立てを用意してくれていた。あらめの煮物、7種類の海藻から作成したお宿手作りの佃煮、いごねり、納豆、温泉卵、漬物と、いずれも文句なく美味しかった。ご飯もお櫃の中身を全量完食した。その証拠写真をデジブックにアップしておいた。美味しければ残さず食べるし、不味ければ残す、それがお店に対する無言のメッセージであり、抗議でもある。チップ制度のある米国では客はお料理が美味しかったらチップを弾むし、不味ければチップを払わなくてもいいそうだ。チップの多寡で客の満足度と評価の高さが推量できるので、個人ブログのお店評価記事などはほとんど相手にされないそうだ。一泊二食のお代は11,300円(実際は300円まけてくれました)。会計時、女将さんから「○○さん、凄い車に乗っているんですね、佐渡ではあんな車見ないですよ。そしてこの持ち物も凄い!」と盛んに「凄い」を連発しながら、筆者のダニボブのピンクのクロドーロバッグを手で撫でた。筆者が車に乗り込んだら慌てて後を追いかけてきて「すいませえ~ん、お部屋の鍵は?」と聞かれたのでバッグの中を探したが見つからない。すると「多分お部屋に置いてきたのでしょう」と女将さんが言ったので「鍵をかけずに部屋を出たので多分そうだと思います」と答えてから車のエンジンをかけた。「お料理に力を入れている」と言うのが本当に実感できた「えにしの宿しん藤」さんだった。