【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

坂東三津五郎『三津五郎・城めぐり』三月書房、2010年

2013-07-20 23:53:36 | 旅行/温泉

              

   歌舞伎俳優・坂東三津五郎さんは、お城めぐり、お城の調査が大好きなそうである。城めぐりが終生の趣味とまで書いている(p.116)。


   本書は、その三津五郎さんに白羽の矢をたて、JALグループ機内誌「SKYWARD」に連載された「坂東三津五郎の城めぐり旅日より」に加筆されたもの。幼少の頃より、お城めぐりが好きだったとのことで、13歳のとき、上田城を訪れたおりの感想文が掲げられている(p.101)。学生時代の「城見学記」ノートの写真もあり(p.62)、自身の体験を「僕の『城見学記』」にまとめている(pp.60-62)。

   見方にも個性がある。大坂城は秀吉がつくった絢爛豪華な城というより、徳川家のターニングポイントになった城、とおさえている(p.106)。
   現存する天守は12あるそうだが、著者がもしひとつ譲りうけることができるとしたら、丸岡城を選ぶと書いている。質朴なところがお気に入りなのだそうだ(p.45)。

   門、櫓、欄間、橋、瓦屋根、出窓への観察も細やかだ。歌舞伎の演目との関わりにふれたり、「功名が辻」などの時代劇番組に出演したこととを思い出しながら記述しているところも著者ならでは、で興味深い。

  多数の写真は、絵島正志さんいよるという。

  わたしは三津五郎さんほどあちこちの城はみていないが、また見ていても表面的だが、訪れた城がいくつかあった。姫路城、犬山城、上田城、松本城、江戸城、熊本城、名古屋城、二条城、大坂城、川越城。このなかでは、姫路城、犬山城、松本城は比類のない美しさだ。

  巻末に「お城データ」があり、本文中ではあまり出てこない史実が記録されている。日本のお城の素敵なガイドブック、三津五郎さんという案内人を得て、またしばし日本の城の魅力を堪能した。