【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

夭折の詩人:立原道造覚書

2018-02-11 13:47:22 | 詩/絵本/童話/児童文学

水沢瑤子『立原道造覚書-夭折の詩人,その光と翳-』不識書院、1996年

 「暁と夕の詩」「優しき歌」で知られ,24才8ヶ月で夭折した詩人・立原道造の創作の軌跡をたどったノート。

 口語定型十四行詩(ソネット)に至るまで若い詩人は,短歌の習作期(府立三中時代),口語自由律短歌,四行詩(一高時代),十四行詩(東大時代)と自己の抒情世界に相応しい形式の詩型を模索しました。

 この間,北原白秋,室生犀星,堀辰雄との交流がありました。道造の詩歌には独特の美学があります。それは物語性,潔癖性,体温の低さ,日常性の稀薄性,観念的リズム,美しい日本語(「ゆうすげびと」など)です。

 万葉集,新古今集への憧憬もあります。昭和10年代という時代の暗黒を背景に,晩年(といっても23-24才)における転生の願い,死の予感,水戸部アサイへの恋,北方と南方への旅は痛々しいですね。


  草に寝て…… 六月の或る日曜日に

                  立 原  道 造

     それは 花にへりどられた 高原の
     林のなかの草地であつた 小鳥らの
     たのしい唄をくりかへす 美しい声が
     まどろんだ耳のそばに きこえてゐた

     私たちは 山のあちらに
     青く 光つてゐる空を
     淡く ながれてゆく雲を
     ながめてゐた 言葉すくなく

     ──しあはせは どこにある?
     山のあちらの あの青い空に そして
     その下の ちひさな 見知らない村に

     私たちの 心は あたたかだつた
     山は 優しく 陽にてらされてゐた
     希望と夢と 小鳥と花と 私たちの友だちだつた


 


安曇野ちひろ美術館(長野県北安曇郡松川村西原3358-24)(諏訪・安曇野地域周遊③)

2015-08-18 16:54:45 | 詩/絵本/童話/児童文学





 安曇野ちひろ美術館は、1997年に創設されました。そこは両親の出身地で、ちひろが愛した心のふるさとです。帰路、この美術館に寄りました。

  わたしは以前、ここを訪れたことがあります。創設して間もなくの頃ですが、はっきりしません。館内がどのようであったのかも、あまり記憶がありません。今回、再訪しておぼろげながら記憶がよみがえりました。

  展示室が5つあります。他に絵本の部屋、絵本カフェ、多目的ギャラリー、ミュージアムショップがあります。館外には、大花壇もあります。

  絵本のコレクションがあり、目についたなかには「グリとグラ」「三匹ヤギのガラガラドン」「いないいないばあ」など我が家にもあったものがたくさんありました。

 今回はグラフィックデザイナーの佐藤卓さんとのコラボという企画ものがありました。佐藤さんは、「おいしい牛乳」「ロッテ・キシリトールガム」などの製品のデザインを手がけている人です。

  なつかしいちひろの作品に接し、こころなごやかなひと時を過ごしました。


宇部京子『おばあちゃんとつくったよ!おいしいほしがき』ひさかたチャイルド社、2013年

2014-01-05 21:30:07 | 詩/絵本/童話/児童文学

                
  昨年、我が家の庭の柿の木には、柿がたわわに実りました。そんなに大きな木ではありませんが、100個以上はゆうにあったと思います。ただし、売っている柿ほどは甘くなく、やわらかくもなく、食べるのはちょっとつらかったのですが、思い切って干し柿にすることにしました。本やネットで調べると、干し柿づくりはそれほど大変でないことがわかりました。


  枝から切り離す時に、へたのところからむしりとるのではなく、枝が少し残っている状態で切ります。皮をむいて、熱湯にぽちゃんとつけます。雑菌を殺すためです。それがおわると、あとはヒモで、残した小枝のあたりで結び、吊るし柿にして、あとは日中、外に干しておくだけです。雨にはあたらないように注意します。そのため、夜中に雨が降ると困るので、夕方には屋内にとりこみます。3日目ぐらいから、ドンドン縮んでいきます。形をととのえ、また柔らかくする意味で、軽く指で身をもんでやります。

  一週間から10日もすると、食べられるようになります。その頃、カビがはえてくることもあるようで、そういうものをみつけたら焼酎をきりふきでかけて消毒します。さいわい、焼酎をかけなければならないような状態にはなりませんでした。案外、おいしくできました。種が大きく、いくつもも入っていて、実の部分はあまりなかったのですが、一度にそんなにたくさんは食べられませんから、ちょうどよかったのではなかったかと思っています。

 そんなとき、図書館で偶然、この本をみつけました。家でつるしているすだれのような状態の柿とこの絵本の表紙の写真が同じで、本の表紙がすぐに目にとまりました。なかをめくってみると、干し柿ができるまでが写真にんあってつづられ、これもほとんど我が家で体験したことと同じでした。


いっこく堂「ぼくは、いつでもぼくだった」くもん出版、2012年

2013-11-15 22:45:48 | 詩/絵本/童話/児童文学

               
  腹話術の「いっこく堂」さんの自伝。子ども向けに書かれた童話。


  神奈川県に生まれたが、本土復帰前の沖縄で育つ。沖縄での家庭生活、学校生活、友達関係が、虚飾なく描かれている。海外での仕事で沖縄を離れた父のいない家庭、母の愛情。米軍「嘉手納基地カーニバル」での経験と基地への忍び込み。プロ野球選手にあこがれ野球チームに入ったものの、しかとにあい、つらい思いをしたこと。腹話術との出会い。東京へでて劇団に入ったものの、演出家と折り合いがわるくなり、事実上の退団。腹話術活動のスタート、子ども向けの本なので一気に読める。

  内容は大人が読んでも、子どもが読んでも、いい読書だったと思うように工夫されている。先日、「いっこく堂」の舞台を観てきたばかりなので、親近感をもって読了した。


「タンタン」シリーズ(いわむらかずお作)偕成社

2013-05-10 23:56:34 | 詩/絵本/童話/児童文学

  
 物置の整理中に「ノンタン」とともに発掘したのが、「たんたん」シリーズの絵本。この本は1970年代の後半から80年前半にかけて出版されたものですが、いまだに子どもたちの支持を得ているようです。


 「たんたん」は猿の子。3頭身ぐらいのかわいい、おっとり顔、愛嬌のある顔です。とはいっても、男の子ということがはっきりしていて、動きがあります。それと、話にリズムがあるのが特徴です。

 何度も何度も子どもと一緒に読み、絵をみながら、ページをめくりました。懐かしの絵本です。

  「タンタンのずぼん」では、おばあさんが作ってくれたズボン、そのズボンつりをのばして、洗濯棒にぶらさがったり、でんしゃごっこをしたり、いろいろに活用して夢をひろげます。最後はズボンつりをボムバンドのように伸ばし、その反動で空に向かって飛んでいきます。そして、くものらっかさんで降りてきます。

 子どもはこれをみて興味津津になるのは間違いなしです。


「ノンタンシ」リーズ本(おおともやすおみ・さちこ作絵)

2013-05-09 23:41:25 | 詩/絵本/童話/児童文学

          

 物置のなかを整理していたところ、古い本を整理してあった段ボール箱があり、なかを点検すると,
この「ノンタン」シリーズの本がまとまって出てきました。子どもがまだ本当に小さかった頃に、読んであげていた本です。まるで、タイムカプセルをあけたように、何十年振りに「ノンタン」に出会いました。

 ネットで調べると、このシリーズ本はまだまだ健在で、子どもたちのあいだで次々と読まれているようですし、評判がいいようです。

 絵がわかりやすいこと、ノンタンという主人公の表情がいきいきしていること、「食べる、遊ぶ、寝る、おしっこ(おねしょ)」などの子どもの生理作用が上手に表現され、たぶん子どもたちが内容に共感がもてること、そのようなところが人気の秘密です。また、たぬきなどの動物もでてきます。子どもは、動物が好きです。

 それとなく「教育的指導」も盛り込まれています。たとえば、ブランコは並んで・・・など。 


 息子がこの絵本をみて「懐かしい・・・」と絶句していました。それもそうでしょう。25年ぶりの再会でした。


         


『おおきなかぶ』ロシアの民話、トルストイ再話、内田莉莎子訳、佐藤忠良絵(福音館書店)

2012-05-16 00:10:35 | 詩/絵本/童話/児童文学
                              
 わたしの子どもが好きだった絵本の4冊目は「おおきなかぶ」。ロシアの民話を文豪のトルストイが再編した童話で、子どもたちの間では圧倒的な支持をえています。いまでも、日本のどこかの家庭で、若いお母さんやお父さんが子どもにせがまれてこの本を読んでいるのではないでしょうか? そういった光景が目に浮かびます。

 こどもが喜ぶのは、おじいさん、おばあさん、孫、犬、猫、ネズミの動物たちが順番にくわわってかぶをぬくときの、「うんとこしょ、どっこいしょ、まだまだかぶはぬけません」がくりかえされる、そのわかりやすいリズム。そして今、書いたように、身近な動物たちがページをめくるごとに、次々にあらわれてくること。そして、さいごに、ねずみという小さな動物がくわわって、やっとかぶがぬけて、みんながひっくりかえりながら喜んでいること、などなど、子どもの気持ちにそって、お話が展開していく、その小気味よさです。
 最後に「やっと、かぶはぬけました」のところで、わたしの子どもはその状況にはいりきって、ひっくりかえっていました。

 絵は佐藤忠良さんという北海道で育った(生まれは宮城)彫刻家によります。女優の佐藤オリエさんのお父さんですね。素朴で力強い絵が記憶に残っています。

中山幹雄・文/鳥居清光・絵『絵本 歌舞伎』アリス館、1985年

2012-02-11 00:24:23 | 詩/絵本/童話/児童文学

              

 アリス館発刊の大型絵本シリーズのなかの一冊『絵本 歌舞伎』を紹介します。昨日の『大相撲』と同時に購入したものです。


 日本の伝統芸能である歌舞伎の平易な解説です。鳥居清光さんの絵の素晴らしいことがまず、この本の大きな特徴です。歌舞伎座には興業のおりに、その内容を表す看板がかかっているそうで、その絵は鳥居派の絵師が描いているとのことです。鳥居清光さんはその鳥居派の九代目です。

 本書には演目が並び、関連した歌舞伎用語が説明されています。演目は「暫」「景清」「勧進帳」「四の切」「連獅子」「四谷怪談」「重の井子別れ」「紅葉狩」「飯炊き」「黒塚」「新口村」「忠臣蔵」です。それぞれに鳥居清光さんの画がついていて、絵本になっているのです。

 中山幹雄さんが文章をつけ、それぞれの演目の簡単な内容紹介、見どころ、エピソードなどが綴られています。また歌舞伎独特の用語、たとえば「顔見せ」「見得」「時代物」「世話物」「荒事」「和事」「二枚目」「女方」などの説明があります。

 巻末にはさらに、歌舞伎の舞台、歌舞伎と観客、歌舞伎と音楽、屋号、略年表があり、絵本にとどまらず、さながらひとつの歌舞伎入門書になっています。

 歌舞伎は、舞楽、能、狂言、文楽とも密接に関係があり、演劇の総合芸術です。また、文字通り、「歌」「舞」「伎」の三要素からなる藝術ともいえます。

 演目「紅葉狩」の解説の箇所で、著者が「悲しいできごとを、目のさめるような美しさで表現するのが歌舞伎です」(p.16)という表現があり、その言葉が印象に残りました。


小島貞二・相撲甚句/三宅充・文『絵本 大相撲』アリス館、1985年

2012-02-10 00:44:22 | 詩/絵本/童話/児童文学

         

 この絵本は、こどものためというよりは、自分のために購入したものです。子どもの成長をとおして、絵本の世界を知り、この分野の奥行きの深さに浸った時期がありました。多くの絵本に接しているうちにわかったのは、絵本はなにも子どものためあるのではなく、大人もいろいろな意味で絵本と向かいあえるのだというとでした。


 もっともこの本をもとめた目的は、そういうことよりも、わたしが好きな相撲の世界に関する本だったからです。

 この本は、小島貞二さんと、三宅充さんという相撲のことが詳しい方によるもので、小島さんが新たに新作の「相撲甚句」を書き、三宅さんが解説をするというように、二人三脚で出来あがっています。小島さんは相撲の錦絵の収集家でもあり、絵本の画そのものは錦絵が利用されています。

 相撲甚句というのは、引退相撲とか、地方巡業、花相撲のおりに歌われるもの(甚句を歌う力士が土俵の中央に立ち、それを数名の力士が囲み歌に合の手をいれておこなわれる)ですが、小島さんは相撲の世界がわかるように子どもむけに、この世界の魅力がわかるように、この本のために書き下ろしたようです。

 甚句のなかには、「稽古」の模様、櫓太鼓、相撲をうたった川柳、土俵入り、支度部屋の様子、顔ぶれ言上、立ち合いの呼吸、取り組み、弓取り式、化粧回しのことなどが歌いこまれています。三宅さんがそれに解説をつけているのですが、たとえば、「稽古」の模様の箇所では、「もうしあい」「三番稽古」「ぶつかり」があること。櫓太鼓の箇所では一番太鼓、二番太鼓、はね太鼓があり(現在二番太鼓はない)、呼び出しがこれをたんとうすること、などかなり詳しく書かれています。

 また、甚句の内容にそくして、豪華な錦絵が掲載され、迫力があり、見事です。筋骨隆々の力強い力士の身体、華麗な化粧回し、錦絵だけでも見ていて愉しいですね。

 この本を読むと相撲とは、単なるスポーツではないことがよくわかります。

 家族みんなで楽しむ大型絵本シリーズのひとつです。


今井弓子『あめたろう』岩崎書店、1978年

2012-02-09 00:45:48 | 詩/絵本/童話/児童文学

              あめたろう

  絵本週間のようになってきました。

  先日、押し入れを整理していたら、段ボール箱がでてきて、あけると絵本がかなりの数。たくさんあった絵本は、保育園などにほとんどあげてしまったのですが、子どもが好きだった本はかためてしまっておいたようです。忘れていたタイムカプセルのようです。

 そのなかの一冊がこれです。「あめたろう」はあめを降らせる天使(?)。画像の左側の子です。

 あめばかりの毎日で、退屈していた女の子の家にこの「あめたろう」がドシーンと空から落ちてきました。女の子がおかあさん、おとうさんのところに「あめたろう」を連れていくと、邪魔にされ、帰ってもらいなさい、と言われます。すると、おかあさん、おとうさんにカビがはえてきます。

 「あめたろう」は、落ちた拍子に、おしりについていた羽をおとしてしまいました。おばあちゃんが丁寧に羽を洗ってくれました。

 女の子は「あめたろう」に何故、くもから落ちてきたのかを聞きます。すると、「あめたろう」は雲の上で内緒でおしっこをしていたら、おかあさんに見つかった、それで驚いて逃げたのに、あわてていたため羽をひろげるのをおこたって、落下したと応えるのでした。

 羽を洗ってなおしてもらった「あめたろう」は大喜び。女の子と楽しく遊びます。さて、その後は・・。

 絵本を開いていると昔のことが懐かしく想いだされます。


吉田遠志・動物絵本シリーズ<1>◆アフリカ◆「はじめてのかり」福音館、1982年

2012-02-08 00:59:46 | 詩/絵本/童話/児童文学
             
           
 子どもがちいさかった頃、よくこの絵本を声をだして読んでいました。こっそりテープレコーダーをまわし、その朗読(?)を採集しました。いまでも、そのテープは残っています。貴重なデータです。

 本の内容は、ライオンの子どもたち3匹が、おかあさんが昼寝をしているとき、退屈になって初めての狩りにでかけるという設定です。おとうさんはどうやら見張り番をしているようです。

 3匹の子どもライオンは次々にサイの親子、水牛、シマウマの群れ、インパラ、ハゲワシ、ハイエナ、ヌーに会います。手が出せなかったり、チーターの速さに驚いたり、狩りはなかなかできません。そのうちお日様が沈み、夕暮れになってしまいました。

 夜のジャングルに入っていきます。眼をむきだし、ギャウー、ガーガーと吠えるヒョウに出会います。3匹は驚いて逃げ出します。帰り道で奇妙な動物を見つけます。ハリネズミでした。刺されたら大変です。

 テリトリーに帰ってくると、おかあさんライオンが心配そうに迎えにきてくれていました。おとうさん、おかあさんに狩りの仕方を教わって子どもたちは大きくなるはずです。

リードベリさく/ウィーベリえ/山内清子訳『トムテ』偕成社、1979年

2012-02-07 00:20:37 | 詩/絵本/童話/児童文学

 

        
 「トムテ」はスウェーデンの森、農家の屋根裏に住んでいる小人の妖精です。その姿を見た人はいないようです。小さいうえに、人が来るとすぐに隠れてしまうのです。

 しかし、トムテのほうは、もう何百年ものあいだ、人々を見守ってきました。トムテを大事にしようと思うと、その家に幸せと安寧が続くのです。

 この絵本は、そのトムテを主人公にした「詩」です。スウェーデンの詩人リードベリが1882年に発表しました。いまでもスウェーデンの人々に愛され、毎年、大晦日に、ラジオなどで朗読されているようです。

 1960年に画家、ウィーベリがこの詩に画をつけました。幻想的、神秘的な雰囲気が醸し出され、深い森にだかれた幸せそうな家族が描かれています。

柴田トヨ『くじけないで』飛鳥新社、2010年

2011-03-24 00:06:00 | 詩/絵本/童話/児童文学

                          くじけないで 
「くじけないで」という本の表題は、おりからの東北・関東大震災で被害にあわれた方々へのメッセージのように聞こえます。

 本書は91歳で詩作を始めた柴田さんの最初の詩集です。まもなく100歳を迎えられ、記念の第二集が出る予定と聞いています。100万部以上売れたそうです。

 産経新聞の「朝の詩」という欄に採用されたのが切っ掛けで(詩作は息子さんのアドバイスとのこと)、それらが蓄積され、未発表のものを含めて可愛らしい本になりました。

 長い人生を経て、素直な心にうつしだされた風景が詩になっています。掲載されている作品は42。編集者の女性のアイデアもあったようです。

 「朝の詩」の選者の新井和江さんが巻頭言「トヨさんのようにいきよう」を書いています。


『たろうのおでかけ』(作:村山桂子、絵:堀内誠一)福音館書店

2011-03-06 00:05:00 | 詩/絵本/童話/児童文学

          
  読んであげるのなら4歳の子へ、自分で読むなら小学生初級の子、とありますから、あえてストーリーは書く必要はないでしょうが、簡単に言うと、たろうちゃんがまみちゃんの誕生日にいくときに、気持ちがせいて急いでいるのでいろいろ危ないことをするので、ダメダメおちついて、まわりをよく見て、という感じでページが進んでいく絵本です。

 これも子どもが小さかったころ、喜んで読んでいました。画像にあるように、絵が楽しいですし、友達の動物がたくさんでてくるからでしょうか。

 子どもの関心って、ほんとにわからないもので、意外なものに興味をもったり、この絵本がいいと親が思っても、気に入らなかったりと、不思議です。

 絵本をよむ体験は
だれもが幼かった頃にもっているはずです。絵本体験の一回目です。大人になって子どもがいたことで(2人)、また絵本と出会い、絵本の面白さを追体験しました。絵本体験の二回目。貴重な体験。

 わたしは自分で、子どもを主人公にした手作りの絵本を2冊作成しました(どこにいってしまったか、押入れの奥にあるはず)。

 子育てで自分も育ったところはずいぶんありました。大変な時もあったけれど、今となっては懐かしい思い出です。

            

「キツツキのあかいぼうし」(文:高橋健、絵:松永禎郎)小峰書店

2011-02-20 00:00:36 | 詩/絵本/童話/児童文学
                      
 キツツキのチプタとカラスのパシクルのお話。

 やまに大雪が降り、エサはなくなり、キツツキのチプタは困り果てます。村まで降りて行き、エサをもとめました。

 村のゴミ捨て場にはカラスの仲間がたくさん群れていました。チプタはなかまにいれてもらおうとします。からだはキツツキもまっくろで似ているのです。

 しかし、カラスの仲間はよってたかってパシクルをつまみだそうとします。チプタの赤い頭が気にいらないのです。

 カラスのパシクルは、チプタの赤いあたまに墨をぬりました。これでカラスと同じにみえることになました。困ったことがあると、パシクルはチプタをいつも助けてあげました。

 やがて、春に。あめが何度もふり、チプタの頭の墨は洗い流され、もとのキツツキの外見になりました。チプタは山に帰ることになります。

チプタが飛び立つとパシクルがあとからついてきます。チプタはパシクルに、頭が赤くないと山では暮らせないと伝えたのに・・・。山につくとパシクルは山の魅力に感動します。何とかして山にいようと、そしてチプタをおよめさんにもらおうと、チプタはカラスウリの実で頭を赤くして、努力します。

 そしていろいろあって、二匹は結婚? ところが、・・・・・。

 これまで紹介してきた絵本と少し違うのは、お話のなかに(オスとメスの)求愛があること、絵のなかで自然がのびやかに描かれていることです。