モリソン号事件に題材をとった三浦綾子の小説「海嶺」が映画化されたもの。
天保3年10月11日。大阪で米を満載して江戸へ向かっていた小野浦の千石船「宝順丸」は、遠州灘を抜けようとしていたおり、疾て雲に遭遇。嵐の中で船員たちは、緊急事態と判断して、帆柱を切り倒した。黒潮に乗って、「宝順丸」は東へと流され、岩吉以下音吉、久吉の三人が生き残って(11人が途中で死亡)アメリカに漂着した。
インディアンに捕えられた三人は、奴隷として扱われたが、ハドソン湾会社の支配人マクラフリン博士の手によって救出される。博士の好意で、3人は日本に送還されることになった。
船を待ちながら、彼らは英語を習得する。しかし、日本に帰りキリシタンになっていたことがわかれば殺されてしまうと、福音にだけは心を閉ざした。
マクラフリン博士は日本の国情を考え、3人にハワイ→ロンドン→マカオ→日本という航路をとらせた。
マカオに到着した3人は、英国商務府の首席通訳官で宣教師でもあるギュツラフのもとに身をよせる。そこでギュツラフとともに、聖書の和訳に取り組むことになる。日本のお上に知れたらと恐怖をおぼえるが、ギュツラフ他、多くのクリスチャンに世話になっていることを考え、聖書和訳に協力した。
米国船モリソン号は彼らと、新たにマカオで合流した日本人漂流民4人を乗せ、浦賀港めざした。船は進み、行く手に日本の美しい島々が姿を現した。しかし、非情にも幕府は砲撃をもって彼らを迎えた。
・キャスト
西郷輝彦/竹下景子/井上純一/あおい輝彦/火野正平/米倉斉加年/田村高広/東野栄次郎