松野迅さんのヴァイオリン・リサイタルが文京シビック・ホールでありました(22日)。演奏曲は、以下のとおりです。
① モーツアルト「ソナタヘ長調」
② カウフマン「イーディッシュ組曲」
③ メンデルスゾーン「歌のつばさに」
④ グラズノフ「アラブのメロディ」
⑤ ストラヴィンスキー「ロシアの乙女の歌」
⑥ 瀬越憲=松野迅編「すみれ」
⑦ ヴィニアウスキー「ファンタジー・オリエンタル」
トークを挟みながらの、演奏でした。モーツァルトの曲にはふつう、ケッヘル番号が付いています。ケッヘルという人がモーツアルトの曲を整理し、番号をふっていったもので、もともとはついていません。モーツアルトの曲に最初に番号をケッヘルがふったあとに、発見された曲もいくつかあり、ケッヘル番号もそれによって微妙に変わりました。松野さんはその番号を示さないで、モーツァルトの当時の感じを出すために、あえてケッヘル番号をプログラムに書きこまないようにしたとのことです。
今回のプログラムは、ユダヤ系の色をだし、アラブの香りも取り入れています。「イーディッシュ組曲」の「イーディッシュ」というのは「ユダヤの」という意味です。ユダヤの音楽は平均律ではありません。独特です。
メンデルスゾーンもユダヤ人です。ユダヤ人だからといって、みなユダヤ教ではありません。メンデルスゾーンもユダヤ教徒ではありませんでした。ユダヤの人たちは子どもが生まれるとヴァイオリンをもたせます。そのなかで、天才的な力をもった人があらわれ、周囲のユダヤ人はその人をみなで支援します。そういう、倣いがあるようです。スターン、パールマンなどそういう天才肌のソリストです。ストラヴィンスキーもユダヤ系です。「ロシアの乙女の歌」はある物語が背景にあります。
アンコール曲はチャイコフスキーの「感傷的なワルツ」とカリンニコフの「哀しい歌」でした。
ピアノ伴奏は曽我尚江さんでした。
松野迅さんは、優しいユニークな語り口で、独特です。愉しい演奏会でした。この日の曲目をおさめたCDを現在録音中とかで、7月に発売予定です。予約して帰ってきました。
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