韓国映画の続きです。
「猟奇的な彼女」
監督: クァク・ジェヨン
出演: チョン・ジヒョン,チャ・テヒョン,キム・インムン,ソン・オクスク ,ハン・ジンヒ
大学生が「キョヌ74」のID名で,地下鉄で実際に出会ったタフな女性とのエピソードを綴った話がこの映画の下敷きだそうです。つまり、実話に近いのだそうです。
「猟奇的」の語感は日本語のそれと異なり,「過激な」と言った意味あいです。ご心配なく。
全体は「前半戦」「後半戦」「延長戦」の3部構成で、テンポよく若い女と男の奇妙な関係が展開します。「延長戦」がよくできていて,爽やかに心に残りますが,それは「前半戦」「後半戦」の脚本と演出がよいからです。
女の子が欲しかった両親のもとに女の子として育てられた法学部の男子学生キョヌの語りで,話しは展開していきます。キョヌ(チャ・テヒョン)がたまたま地下鉄のプラットフォームで出会った彼女(チョン・ジヒョン)。キュートで「凶暴」な彼女に、彼は言いなりに。
その「彼女」は,ノンベエで,暴力的,しかも運動神経がよく,美貌の持ち主でした。地下鉄のプラットフォームの端で,泥酔状態であった彼女。そこに電車が入ってきてあわや接触の人身事故というところで彼女を助けた大学生のキョヌは,これがきっかけでこの女と関わることになりました。
気立ての優しいキョヌが「猟奇的な」彼女に翻弄される話しの始まりです。同じ地下鉄車両に乗車したものの,彼女はヘベレケ。酔払い女などに関わりたくないと思いながらも,気がかりです。
彼女は支柱に捕まって立っていたが,気分が悪くなり,とうとう別のお客の頭上に嘔吐し,その場に倒れてしまいました。
見かねたキョヌは彼女を介抱し,地下鉄を降り,背負って旅館に投宿しました。そこに警官がかけつけてきて,キョヌは留置場で一晩を過ごすことになってしまいます。最初から,キョヌは全くついていませんでした。
彼女は,別れた男のことを想いだし,寂しさで泥酔していたのでした。地下鉄の件があった翌日,キョヌは彼女に携帯電話で呼び出されました。しかし,礼を言われるわけはなく,何故,旅館に連れていったのかを追求され,詰問される始末。
しかし,そのうち彼女が酒を飲み始め,またまた泥酔状態に陥り,再び前日の旅館に泊るはめに。
そこから恋愛ともつかぬ,友情ともつかぬ,奇妙な関係が始まりました。彼女に振り回されるキョヌ。ふたりの関係がコメディータッチで描かれます。
この2人の出逢い、付き合い、別れ。これが映画の内容になりますが、この部分は実際に観てください。面白いです。ジーンときます。
ラストはストップ・モーション。高校時代の学生服を着て,身分証明書を見せ,ダンス・ホールに入るふたり。誇らしげに,顔も笑っています。うまい演出です。
おしまい