「ラ・ボエーム」「蝶々夫人」「トスカ」などで有名なプッチーニ(1858-1924)の最後のオペラ作品がこの「トゥーランドット」です。しかもプッチーニはこの作品の制作中に亡くなり(1924年)第三幕のリューの死のあとは、フランコ・アルファ―ノ(1875-1954)によって補筆されました。
原作はカルロ・ゴッツイ(1720-1806)の「トゥーランドット」です。この原作は1710-12年に出版された「千一日物語」にある「カラフ王子と中国の皇女の物語」にヒントを得たものです。ゴッツイの作品をシラーが翻案し、プッチーニが自らの音楽人生を込めて作りあげたのが、プッチーニ作曲の「トゥーランドット」です。
この作品には例えばリューという家政婦がでてきてます。リューのモデルはドーリア・マンフレディという実在の女性です。ドーリアはプッチーニが自動車事故で大けがをしたときに世話をたのんで雇われた娘です。この事故ではプッチーニの妻エルヴィーラも子どもも同乗していて巻き込まれましたが、幸い二人は軽傷で済みました。ところが、妻のエリヴィーラはプッチーニとドーリアとが関係を結んでいると勘違いし、彼女を迫害し始めました(1907年)。このことが原因でドーリアは1909年に服毒自殺しました。プッチーニは自らの作品のなかにこのドーリアをリューの姿に昇華させたと言われています。
今回、2つの「トゥーランドット」を見ました。ストーリーが明快で、ピン、パン、ポンという宦官の役割も面白く、吸い込まれるように観ました。ウィーン国立劇場版は、カラフを若きホセ・カレーラスが演じています。イタリアRAI放映版(1958年)は、舞台ではなく映像です。
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■イタリアRAI放映版(1958年)
<第一幕>
1.オープニング
2.北京の人民よ
3.砥石をまわせ
4.まだ、月は昇らないのか
5.ご主人様、お聞きください
6.泣くな リュー
<第二幕>
7.おい パン! おい ポン!
8.厳粛な雰囲気の中で
9.北京の人民よ
10.この王宮で それは幾千年も前のこと
11.異国の王子よ 聞きなさい
12.あなたは わたしに3つの謎をかけ
<第三幕>
13,姫のご命令は 次の通りである
14.誰も寝てはならない
15.心に秘めた 大きな愛です
16.氷のように冷たい姫君も
17.死の王女よ
18.私はどうなったのかしら
19.一万年もの間
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音楽:ジャコモ・プッチーニ
台本:レナード・シモーニ、ジュゼッペ・アダーミ
指揮:フェルナンド・プレヴィターリ
演出・舞台装置:マーリオ・ランフランキ
<配役>
トゥーランドット:ルチッレ・ウドヴィック
カラフ:フランコ・コレッリ
リュー:レナータ・マッティオーリ
ティムール:プリニオ・クラバッシ
ピン:マーリオ・ボッリエッロ
パン:マーリオ・カルリン
ポン:レナート・エルコラーニ
役人:テオドーロ・ロヴェッタ
演奏:RAIミラノ放送管弦楽団・合唱団