マーク・サンドリッチ監督
「トップ・ハット」(米、1935年),99分
アメリカ・ブロードウェイからロンドンの興行師ホレース・ハードウィックの招きでロンドンやってきた伊達で粋なダンサー,ジェリー・トラバース(フレッド・アステア)は,ホレースの勧めでホテルで彼と同居します。ヴェニスに滞在しているホレースの妻マッチからジェリーとホレースに逢わせたい友人がいると言ってきました。
ジェリーは嬉しくなって、ホテルの部屋で踊って大はしゃぎします。階下に滞在するアメリカ人モデルのデイル(ジンジャー・ロジャース)は、この騒音に憤慨しホテルの支配人に苦情を言います。それでも効き目がないので、怒ったデールは直談判。
ところがジェリーは彼女に人目惚れしてしまいました。涙ぐましい努力の末,彼は気の強いテイルの心をとらえることに成功します。
その後、ある誤解からデイルは彼が既婚者であると思い込み、だまされたと怒り出します。当て付けに衣装屋のアルベルトと結婚してしまいます。誤解が誤解をよんで、ストーリは本人たちも予想外の方向に進んでいきます。この結末は??
アステアとジンジャーのコンビによるミュージカルのなかでも,充実した時期の作品のひとつです。
前半でのアステアのシルク・ハット(トップ・ハット)と燕尾服姿は,アステアにぴったりの出で立ちです。同じ服装の男性ダンサーを従えステッキという小道具を使ったマシンガン・ナンバーは,魅力的です。タップの音をマシンガンの音に見立てているところがユニークなところ。
ジンジャーとのダンスはロンドンの公園とイタリアのレストランとふたつありますが,どちらも優雅です。
洒落たストーリィに加え,アステアらしい独特のタップとジンジャーとの優雅なダンスとが盛りだくさん。しかも音楽と歌も素晴らしいですです。アステアとロジャースのふたりの作品のなかでも出来栄えのよい傑作です。