世にあまたある笑い話、ジョーク、アネクドート、ショートショートをまとめて「小咄」とし、その方法論を11手に分類し、練習問題ももりこんで出来上がった本。
そのテクニックは、
①詐欺の手口を利用する
②オチを効果的にするには持ち上げる
③常識的な論理とは異なる論理をぶつける
④視点を当事者から一挙に相手方にずらして論理を逆転させて笑いをとる
⑤どアップから突然ズームアウトさせる
⑥異なる論理や視点をあわせるために3つの立場を並べて見せる
⑦誇張と矮小化という手法を活用する
⑧絶対絶命の状況・極限状況を設定する
⑨最後まで言い切らず、想像の余地を残す
⑩細部をとりだして全体に奉仕させる
⑪権力・タブー・権威あるモノを一瞬のうちに破壊し転覆させる、といった具合です。
文中、小泉元首相の愚かな言説を笑いとばして痛快。例えば、「小泉首相は今回もアメリカに対する迅速な心遣いと追随ぶりで際立ってしまった。「ブッシュ大統領の『テロとの戦い』を無条件で支持する」と世界の国々の中でもいち早く表明したのはいいが、ちょっと早すぎた。テロが起こる一時間前に表明してしまったのだ」(p.181)などなど。
本書は「笑い」を高く評価し、「笑わせてくれる本が一番好き」で、「笑わせてくれる作家こそが、わたしにとっては最高の作家」(p.198)という著者ならではの快心作。
とは言っても卵巣腫瘍、癌の左鼠径部リンパ節への転移という大病のなかで完成させた(p.201)とのこと。本書発刊後、1年足らずで他界されました。
合掌。