【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

原田眞人監督・脚本『駆け込み女・駆け出し男』(MOVIXさいたま)

2020-04-06 11:50:05 | 映画

              今しがた、原田眞人監督・脚本『駆け込み女・駆け出し男』をさいたま新都心の「MOVIXさいたま」で観てきました。井上ひさし原案の話題作です。 ときは天保12年、老中・水野忠邦の天保の改革が進行中。当時、離縁を希望する女が駆け込む寺がありました。鎌倉の東慶寺という尼寺で、幕府公認の駆け込み寺でした。 その東慶寺へ、ふたりの女が命からがら逃げ込んできます。ひとりは日本橋唐物問屋・堀切屋三郎羽左衛門(堤真一さん)のめかけ「お吟」(満島ひかりさん)、もうひとりは七里ガ浜・浜鉄屋の主人(武田真治さん)の妻鉄練り職人の「じょご」(戸田恵梨香さん)。ふたりはそれぞれのいわく付きで東慶寺に駆け込む途中で、出会い、互いに身の上をしって一緒に駆け込んできたのです。 同時にひとりの男・中村信次郎が東慶寺をめざしてきました。お吟とじょごが追ってと勘違いしたこの男は、駆け込み前に意思表示を聞き取り調査する御用宿の女主人・源兵衛(樹木希林さん)の甥っ子でした。この甥っ子は滝沢馬琴を尊敬する駆け出しの戯作者であり、医者の見習いです。滝沢馬琴さんは、名優山崎努さんが演じています。  お吟もじょごも怪我をしています。駆け込み寺に駕籠でかけつけたお吟は、途中で、駕籠担ぎに襲われ、大けがを。鉄練り職人のじょごは、顔にやけどのなまなましい跡が。医者のはしくれである信次郎は、二人に懸命に治療にあたります。                  駆け込み寺に入るには作法があり、駆け込むにいたった経緯の聞き取り調査が行われるのです。源兵衛は番頭の利平(木場克己さん)とその女房・お勝(キムラ緑子さん)の前で、彼女たちのこれまでの経緯を聞き取り、ふたりはお寺に入ることを許されます。 駆け込み寺に入ってくるものには、いろいろな人がいて、それぞれのわけありの人生があります。男社会で、封建社会。女たちはトタンの苦しみを背負ったひとばかり。幕府側からの陰謀もうごめいています。  天保改革の頃の江戸時代の様子、駆け込み寺・東慶寺の果たした役割、その内部の秩序がよくわかり、俳優さんたちもみな渾身の演技で、大満足の映画でした。                         ・大泉洋 (中村信次郎)・戸田恵梨香(鉄練り じょご)・樹木希林(三代目柏谷源兵衛)・堤真一(堀切屋三郎右衛門)・山崎努(曲亭馬琴)・満島ひかり(お吟)・内山理名(戸賀崎ゆう)・陽月華 (法秀尼)・キムラ緑子(お勝)・木場勝巳(利平)・神野美鈴(おゆき)・武田真治(重蔵)・北村有起哉(鳥居耀蔵)・橋本じゅん(近江谷三八)・山崎一(石井与八)・女貸本屋(高畑淳子)・でんでん(為永春水)           


成瀬巳喜男「浮雲」(1953年)

2020-04-06 11:29:48 | 映画
成瀬巳喜男「浮雲」(1953年)

何ともやるせないストーリーであるが、人間の業をあぶりだした作品と評価するべきだろうか。巨匠小津安二郎をして「俺にできないシャシンは溝口の『祇園の姉妹』と成瀬の『浮雲』だけだ」と唸らせた。原作は林扶美子の同名の小説。

戦時中の1943年という設定。農林省のタイピストとして仏印(ベトナム)へ渡ったゆき子(高峰秀子)は、その地で農林省技師の富岡(森雅之)に会う。当初、富岡に好ましくない感情をもったゆき子だったが、やがて富岡に妻が居ることを知りながら、関係を結ぶ。

終戦。妻・邦子との離婚を約束して富岡は先に日本に戻った。ところが、ゆき子はあとを追って帰国するが、富岡が妻とは別れていなかった。失意のゆき子は富岡と別れる。富岡はだらしない男であった。

終戦後の混乱した経済状況で富岡は仕事が上手くいかず、よりを戻したゆき子を連れ、伊香保温泉へ旅行に行く。ゆき子にとってこの旅行がまた失敗だったが、それも富岡の不埒がまねいたものだった。破綻がまた破綻をよぶ。宿命といえばそれまでだが・・・。






チャールズ・チャップリン監督「チャップリンの独裁者(The Great Dictator)」(アメリカ,1940年)

2020-04-05 23:51:54 | 映画
チャールズ・チャップリン監督「チャップリンの独裁者(The Great Dictator)」(アメリカ,1940年)

大戦間に時代は設定されている。世界制覇を画策するトメニア国の総統ヒンケル(チャールズ・チャップリン)がユダヤ人抹殺,自由の国オスタリッチ侵略をねらい,バクテリア国の独裁者ナバロニと覇権争いをしていたおり,ユダヤ人の床屋がヒンケルとすりかわり,最後にこのユダヤ人が独裁政治との決別と民主主義の勝利を演説するという物語。ナチスの独裁政治を風刺し,その台頭が危険であることを訴えた作品である。登場人物のヒンケルはヒットラーであり,ナパロニ(ジャック・オーキー)はムッソリーニを、ヘリング元帥(ビリー・ギルバート)はゲーリングを,ガービッチ内務大臣(ヘンリー・ダニエイル)はゲッペルスをもじっている。トメニア国の紋章はダブル・クロス,裏切りを意味する。トメニア語はドイツ語をまねたもの。

ラストに有名な大演説があるが,この演説が凄い。ヒンケルとすりかわったユダヤ人理髪師が喋るという設定であるが,形相は生のチャップリンその人である。