【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

ギルドqの第15回公演「トランス-女たちのフロイト的考察-」(於:キンケロ・シアター)

2019-12-13 16:14:16 | 演劇/バレエ/ミュージカル
ギルドqの第15回公演「トランス-女たちのフロイト的考察-」が「キンケロ・シアター」(中目黒)でありました。

カウンセラーがカウンセリンググループであった3人の女性に「トランス」という治療法を施し、心の奥底に眠る本当の自分自身を気付かせるというものです。これがミュージカル形式で展開されていきます。

3人の女性(小西萌子さん、村岸優希さん、迫田萌美さん)の歌が見事ですし、アンサンブルのダンスにも拍手です。若い人がこういう舞台をつくってくれるのは、うれしいです。

なお、「キンケロ・シアター」(写真)というのは、キンキンこと愛川欣也さんとケロンパことうつみ宮土理さんによって建てられた劇場です。








青年劇場第122回公演(飯沢匡没後25周年記念)「もう一人のヒト」(新宿:紀伊国屋ホール)

2019-09-17 14:24:35 | 演劇/バレエ/ミュージカル


昨日、青年劇場の舞台を観ました。青年劇場第122回公演(飯沢匡没後25周年記念)「もう一人のヒト」(新宿:紀伊国屋ホール)、です。

時は太平洋戦争末期。日本軍国主義が引き起こした無謀な戦争は、国民の命と生活を破壊した。虚偽の宣伝で国民は欺かれていたが、軍部は敗戦後を見越して、延命策に汲々としていた。
舞台は皇室の香椎宮為永王が生活する自邸・地下防空壕と下町の元靴職人夫婦・杉本家の二次元で繰り広げられます。
為永殿下のもとに小澤中将が押しかけてきて、自らの調査で北朝の系譜にある今の皇室は偽朝であること、南朝系譜の本当の天皇が東京にいること、を唱えます。

他方、杉本家では主人の淳一郎がいまは靴をつくることもできず、駆り出された造船所の仕事もさぼりがちで、ふてくされた毎日を過ごしています。ついに息子・勝に召集令状がきます。

実は小澤中将が唱えるもう一人の天皇はこの純一郎でした。演目にある「もう一人のヒト」とは今上天皇とは別のもうひとりの天皇、すなわち純一郎のことを指しています。小澤家にのこされていた古文書、資料がそれを裏付けていると言うのです。

とんだことになりました。為永殿下も驚嘆しますが、一番、慌てたのは純一郎そのひと。しかし、息子が戦地から戻れる手配ができるならば、天皇の地位でもなんでも利用できるものは、利用すればいい。息子には意中の人がいて、すでに懐妊していました。

しかし、今上天皇は軍部に軟弱にしか対応できず、むしろ利用され、いたずらに戦争を継続します。アメリカの空爆は日ごとに苛烈となり、ついに杉本家が住む地域一帯は焼け野原になります。

飯沢匡脚本のこの舞台は、架空の話ではなく、調査と資料に裏付けられたものです。皇族の地下防空壕も実際にあったもので、ここでかなり贅沢な生活をしていました。長野県松代には皇族が疎開するための大規模な地下防空壕があり、それは今も残っています。わたしはそこに入ってみたこともあります。

・葛西和雄(香椎宮為永王)
・茂徳王(安田遼平)
・小澤幾之進(吉村直)
・副官(中谷源)
・杉本純一郎(島本真治)
・杉本サク(藤木久美子)


「Signs! -微力だけれど無力じゃない-」(ギルドq第14回公演)

2019-08-11 00:09:01 | 演劇/バレエ/ミュージカル


9日、ギルドq第14回公演を渋谷区文化総合センター大和田伝承ホールに観に行きました。演目は「Signs! -微力だけれど無力じゃない-」です。その内容は、平和大使になった長崎の女子高生を中心に、核廃絶をもとめる一万人の署名を集め国連に届けるというもの、そこには幾多の困難があります。署名妨害、署名の意味を疑う者との葛藤です。前半のテーマです。

後半はその高校生たちが社会人(新聞記者、国連の事務局員)になり、またかつての署名活動をつぐ高校生、そしてかれらの東北での震災を受けた高校生との交流が描かれ、感動のフィナーレにつながっていきます。

舞台のテーマになりにくい高校生の平和活動を、さまざまな工夫とパフォーマンスで、面白い内容になっていました。アンサンブルのステージダンスは見事です。

9日は長崎に原爆が投下された日。ノーモア長崎、ノーモア広島、ノーモア福島。

・岩田華怜(杉崎真理亜役)
・別所ユージ(坂田秀幸役)
・清水佐紀(山口瞳役)
・下垣真香(橋本彩役)
・早野ゆかり(杉崎麻子役)
・鈴木千夏(杉崎聡子役)
・スヴェン(国連事務総長役)
・ヤンニ・オルソン(国連事務局長役)
・岩崎さとし(アンサンブル・ダンサー)
・三浦孝典(アンサンブル・ダンサー)


■脚本・演出 田中広喜

「Signes! -微力だけど無力じゃない-」(渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール)

2019-08-09 10:00:40 | 演劇/バレエ/ミュージカル
ギルドqの第14回公演「Signes! -微力だけど無力じゃない-」を観ました。

長崎の高校生が核廃絶一万人署名の活動にとりくみ、国連にそれを届けるというミュージカル・ドラマ。もちろん、そこには被爆体験の伝承、署名活動を行うことの葛藤などが織り込まれています。後半では、その高校生たちが社会人となってさまざま分野で活動する様子が描かれます。

なかなか舞台化しにくいテーマですが、いろいろな工夫をこらして、共感が胸に沸き立つドラマにしたてあげられていました。フィナーレはなぜか泪。ぐっと盛り上がりました。

・岩田華怜(杉崎真理亜)
・別所ユージ(坂田秀幸)
・清水佐紀(山口瞳)
・早野ゆかり(杉崎麻子)
・鈴木千夏(杉崎聡子)

■脚本・演出 田中広喜


A列車に乗っていこう(トム・プロジェクト公演)

2019-07-29 00:01:17 | 演劇/バレエ/ミュージカル


A列車に乗っていこう(トム・プロジェクト公演)が東京芸術劇場シアター・ウエスト(池袋)でありました。石田ひかりさん、松風理咲さんのふたり芝居です。

演劇を観る前には、簡単にでもネットなどであらすじをつかんで観るようにしたいますが、この舞台は情報が少なく、観るまでに、主題は何なのか、どのような展開になるのか、がまったくわかりませんでした。

難病を患っていた少女・そら。彼女の看護師である時枝。二人は列車に乗り、あてのない旅に出る。

プロットが8つほど続きます。内容は哲学的です。アリストテレス、キリスト、デカルト、カント、キルケゴール、ポパーなどなど、セリフにがたくさん出てきます。アトム、反証主義、色即是空、時間と空間(ハイデガーは出てこなかった)、むずかしい用語がオンパレードです。

舞台はほとんどが列車の中。哲学少女の松風さんがしゃべりつづけ、相方の石田さんが問題をなげかえたり、問いかけたり、相づちをうったり。

ものごとを根源的に考えるとどうなるのか? そういう展開の1時間20分です。日本とは? そのような概念は比較的最近のこと・・・。せいぜい百数十年前からのこと。それまでは、本州、九州(9つの州)、四国(4つの国)、北海道(北の海道)、東北はそのまま方向、など。

行こう その先へ。あの塔を標に-。


劇団民藝「闇にさらわれて(Taken at Midnight)」(高島屋サザンシアター)

2019-06-27 12:45:54 | 演劇/バレエ/ミュージカル
劇団民藝が「闇にさらわれて(Taken at Midnight)」を公演中です。イギリスのマーク・ヘイハーストの作品です。

 1931年のベルリン。弁護士ハンス・リッテンはかつてある殺人事件の証人として法廷にヒトラーを召喚し、3時間におよぶ尋問を行った経験をもち、反ナチズムの旗手としてその名をとどろかせます。しかし、ヒトラー率いるナチスはその後、勢力を強め、ファシズム内閣が成立。ハンスは国会議事堂放火事件に混乱のなかで、逮捕、拉致され、強制収容所へ。ハンスの母、イルガムントは行方がわからなくなった息子を救出するため、奔走します。

 ハンスを演じているのは神敏将さん、イルガムントを演じているのは日色ともゑさん。篠田三郎さんがクリストファー・アレン役を演じています。

 骨太のしっかりした構成の、歴史的重みを感じさせる脚本、そして演技でした。この演劇は、演劇評論家の「みなもとごろうさん」が民藝に持ち込んだとのこと。このテーマながら民藝と、思ったそうです。イギリスでは、2014年に初演され、イルガムント役を演じたペネロープ・ウィルトンはローレンス・オリビエ主演女優賞を受賞しています。

 舞台では、拷問、銃殺、自殺などの場面があり、緊張感が漂いますが、強大な暴力的な権力の恐ろしさを告発するとともに、敢然とこれと闘かった人間の生き方が演じられています。
 


いかさま政権が舵をとる日本「丸」。「令和」「令和」で浮かれている世相、群れたがり不和雷同をよしとする風潮、これらプラス政治的無関心層が、この政権の存在を許している。この国の危うさ!

西洋の古い格言を思い出す。地獄への道は善意で敷つめられている、と。

そのようなことを想いながらの観劇体験でした。

加藤健一事務所「Taking Sides -それぞれの旋律-」(本多劇場)

2019-05-18 12:19:33 | 演劇/バレエ/ミュージカル


加藤健一事務所の第105回公園「Taking Sides -それぞれの旋律-」が下北沢の本多劇場で上演中です。Taking Sidesはロナルド・ハーウッドの作品です。そのタイトルの意味は、「どちらの側にたつ」といった意味です。

指揮者のフルトベングラーは、ナチス政権下でなぜドイツにとどまったのか。連合軍のアーノルド少佐は、この問いかけにこだわります。フルトベングラーはナチ党員であったことはなかったものの、ヒトラー政権下で厚遇を受け、ヒトラーの誕生日に演奏会を行ったりした。多くの芸術家がナチ政権を嫌悪し、海外に亡命したにもかかわらず、ドイツに残って演奏活動をつづけた。少佐はその証拠をつきつけ、糾弾します。
しかし、フルトベングラーの言い分は、政治と芸術は切り離すべき、自分はドイツを愛していたので亡命はしなかった、というもの。

舞台は加藤健一演じるアーノルド少佐とフルトベングラ(小林勝也)ーの弁明がメインです。迫力のある応酬が見ものです。


・演出 鵜山仁
・スティーヴ・アーノルド(加藤健一)
・ヘルムート・ローデ(今井朋彦)
・エンミ・シュトラウペ(加藤忍)
・タマーラ・ザックス(小暮智美)
・デイヴィッド・ウィルズ中尉(西山聖了)
・ヴィルヘルム・フルトベングラー(小林勝也)

ミュージカル「ファミ☆レス-幸福のレシピを求めて-」(ギルドq第13回公演 於:豊島区あうるすぽっと)

2019-04-26 00:05:04 | 演劇/バレエ/ミュージカル


 ギルドq第13回公演「ファミ☆レス-幸福のレシピを求めて-」(於:豊島区あうるすぽっと)が上演中です。昨日、観ました。

ミュージカルの内容は、ファミレス「ベアーズ」での交錯する人間模様。

ベテランウェイトレス涌井幸子は、この店を支える存在。店長・篠崎雄介から信頼されている。その店長はわけあってこのベアーズに「飛ばされて」来た。仕事は超多忙で、帰宅もままならない。浮気でもしているのでは、と妻に疑われる始末。ファミレスにはもうひとりウェイトレスがいる。浅田冬子。本業は売れないフリーライター。ファミレスのバイトで食いつないでいる。勝ち気でことあるごとに幸子に、周囲にかみつく。

ファミレスにはいろいろな人が来る。5浪の浪人生。ここで勉強している。謎のおばさん。熊さんという初老の男(実は・・・)。

本社の馬場俊作社長は、この店が気になってしかたがない。この店の様子がどうもおかしいと、抜き打ち査察をすることに。偵察役の間宮美沙が客としておしのびでお店に入る。ところがウェイトレス幸子とは幼馴染だった。偶然の再会。

査察が入るとあわてる店長。しかし。ウェイターの森下誠治、女子大生ウェイトレス北川麗奈、シェフの沼津和雄は一向に意に介するところがない。

そこへみめうるわしい田島美和と名乗る若い女性が客として現れ、ドラマに火がつく。

全編、ダンスと歌で、小気味よく、なにより楽しい。完成度の高いでき。最後は暖かい気持ちになれること請け合い。

劇団ギルドqは年々、力をつけているユニットです。応援してください。ちなみに木梨・安田成美夫妻から、お花が届いていました。

日曜日までやっています。鑑賞をおすすめします。

・脚本 演出 田中広喜
・作曲 金井 信
・振付 原津加沙

・CAST 渚あき、関根麻帆、平山トオル、鈴木千夏、藤嶋翔太、真衣ひなの、坂西良太、井上倫宏、平山祥、片山陽加、角島美緒、三郷真也、月那春陽、橋本聖子、下垣真香、別所ユージ、三浦高則、岩崎さとし、武田明子、大竹真由子、荒山由沙

野口麻衣子脚本・栗本有美子演出「サヨナラダケガジンセイダ」(エアー・スタジオ)

2018-09-19 00:02:54 | 演劇/バレエ/ミュージカル
    

 最初、暗闇のなかからいきなり坂口安吾があらわれ、状況説明をします。そのあと、出演者がそろって傘をもってあらわれ、自己紹介。太宰治、井伏鱒二、壇一雄、坂口安吾、津島美智子、小山初代、田部あつみ、太田静子、山崎富栄。面白い演出です。

 ストーリーは太宰治をめぐる女性関係、そして交遊関係の展開です。太宰の作家生活がそこにオーバーラップされます。その太宰の自死を惜しみながら、井伏、壇、津島美智子、坂口が回顧談をしています。太宰の生きざまと回顧談を往還しながら舞台は進んでいきます。


・桜龍(太宰治)
・西別府卓(井伏鱒二)
・坂口安吾(岩崎さとし)
・壇一雄(くま)
・高橋寛香(津島美智子)
・浜本知伸(小山初代)
・渡辺琴美(田部あつみ)
・佐藤夕佳(太田静子)
・相良奏絵(山崎冨栄)

 

長田育恵作・マキノノゾミ演出「蜜柑とユウウツ‐茨木のり子異聞‐」(東京芸術劇場、シアターイースト)

2018-09-16 12:06:21 | 演劇/バレエ/ミュージカル
         

 「蜜柑とユウウツ‐茨木のり子異聞‐」を東京芸術劇場、シアターイーストで観ました。「グループる・ばる」のさよなら身終い公演です。

 詩人の茨木のり子さんが亡くなって4ヶ月という時間設定(2006年)。彼女の自宅には、管理人(小林隆さん)が後始末をしている様子です。そこに甥(古谷隆太さん)と編集者(小嶋尚樹さん)が未発表の遺作を探しにきます。遺作の原稿をみなで探す中、茨木のり子さんの分身と思われる3人の「のり子」(松金よねこさん、岡本麗さん、田岡美也子さん)が登場します。3人の「のり子」さんたちは、過去の思い出、逸話をつむいでいきます。そこに友人だった女性(木野花さん)が加わります。結婚、夫の死、安保、詩作、同人誌「櫂」、韓国語の学習などについての会話をとおして、詩人「茨木のり子」の言葉と人生に迫ります。

東憲司作・演出「にっぽん男女騒乱記」(東京芸術劇場、シアターウエスト)

2018-09-15 00:07:59 | 演劇/バレエ/ミュージカル
    

 過日、芸術劇場シアターウエストで「にっぽん男女騒乱記」を観ました。音無美紀子さん、高橋長英さんらが出演です。舞台のまわり、そして舞台そのものも「ひまわりの花」で埋め尽くされています。

 ストーリーはおよそ次のとおりです。戦後、朝鮮特需で景気のよい博多(?)。舞台はここにある米兵専門連れ込み宿「さんふらわ」です。女主人は天真爛漫、豪放磊落な千鶴(音無さん)。赤線禁止法が施行されるとのうわさにも耳を「かさず、かせげるときにかせぐと豪語しています。そこには従業員夫婦が出入りし、妻(小林美江さん)はこの宿で見習い中です。時期がくれば米兵の相手をするつもりでいます。夫(真山章志さん)ひとりの稼ぎでは、生活できないからです。エログロ専門の紙芝居の親分・源之助(高橋さん)は日陰者ですが、そのあたりに居候しています。そこに身なりのよくない復員兵の青年(上原理生さん)が飛び込んできます。母親と生き別れ、仕事をさがしていますが、源之助さんと紙芝居の修行に足を踏み入れます。

 ここで繰り広げられる人間模様。そして意外な人間関係があぶりだされます・・・。ラストはうるうるです。

 

「ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ」(二兎社公演42:於:東京芸術劇場シアターイースト)

2018-07-17 15:47:40 | 演劇/バレエ/ミュージカル
     

 二兎社公演の「ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ」を観ました。キャストは安田成美さん(ビデオジャーナリスト)、眞島秀和さん(リベラル系全国紙政治部記者)、馬淵英里何さん(大手放送局政治部記者)、柳下大さん(保守系全国紙政治部記者)、松尾貴史さん(保守系全国紙論説委員)、です。

 舞台は「記者クラブ」。そこから国会が見え、デモ隊が押し寄せている。そして、その日は首相の記者会見が行われることになっている。ところが、首相との想定問答がコピー機のところに置き忘れられていた。誰がこの想定問答を書いたのか。報道関係のだれかであることは、疑いない。しかし、報道関係者によってそのような問答集が作成されていること自体が問題である。スクープには恰好の材料である。

 脚本は、永井愛さん。あちこちに現在の国会のあきれた状態に対する風刺が込められている。保守系全国紙論説委員を演じた松尾貴史さんの演技が面白い。政府要職にある複数の人との連絡に使われている携帯電話の着信音のメロディーがそれぞれ違うのがおかしい。ネットテレビ局「アワ・タイムズ」代表の役を演じた安田成美さんは、記者クラブの暗黙のルールに反発しつつ、真実を追う。

 最前列で観ることができたので、迫力がありました。

 

「南の島に雪が降る」(浅草公会堂、2015年)

2017-12-13 10:59:51 | 演劇/バレエ/ミュージカル

        

 昨日、紹介した加藤大介著「南の島に雪が降る」を舞台化したものです。DVDに録画されたものがありましたので、それを観ました。脚本は中島敦彦さんです。加藤役を演じたのは落語家の柳家花緑さん、その妻を演じているのは元宝塚歌劇団の大和悠河さんです。彼女はオランダ人のリリィ役も演じています。2015年8月に浅草公会堂で公演されたものです。


 内容は太平洋戦争中、パプア・ニューギニアに実際にあったマクノワリ歌舞伎座での話です。原作とほぼ同じとはいえ、舞台なのでいくつか工夫がこらされています。まず、上記のオランダ人の女性は原作では出てきませんが、舞台ではかなり大きな役割で登場しています。歌う場面もかなりあり、そんなこともあって大和さんが抜擢されたものと思います。確かに、女性が全く出てこないと華やかさに欠けますし、歌う場面がると魅力的味わいが出てきます。それから現地の子どもがでてきますが、これも原作にはありません。さらに演劇分隊に所属する人たち、またリリィさんが歌う日本の歌「椰子の実」(島崎藤村作詞)は、原作にはありません。

 柳家花緑さんは、こんなにお芝居が上手だったとは知りませんでした。感情移入、すばらしかったです。


ミュージカル「吾が輩は狸である」(於:ブディストホール)

2017-11-24 20:06:17 | 演劇/バレエ/ミュージカル

 

 築地にある東本願寺のなかのブディストホールで、ミュージカル「我が輩は狸である」を観ました。是枝正彦さん作・演出です。


 四国全土の狸一族の次代のリーダーと目されるロミ丸。この地では人間が開拓の名のもとに環境破壊が進み、狸の生活圏がおびやかされていました。ロミ丸はその現状を憂え、人間どもの様子をさぐるため街に出てきます。ロミ丸はかつて修行のため人間界で勉強したことがあり、その時の友達だったノボに協力を頼みます。

 しかし、ノボはジュリ絵という女の子にのぼせあがっていました。ロミ丸はノボに逆に恋の手助けを依頼されてしまいます。ジュリ絵の父親は開発推進派で、狸族にとってはやっかいものですが、娘のジュリ絵は父の考え方に真っ向から反対していました。

 お互いが助けあうことを条件に、ロミ丸はジュリ絵に会いにいきますが、一目ぼれしてしまいます。そしてジュリ絵もロミ丸に惹かれていきます。

 しかし、ロミ丸は狸族の一員、ジュリ絵は人間。一緒になれるはずがありません。しかし、秘薬がありました。それを飲むとロミ丸は人間になることができます。しかし、二度と狸にはもどれません。リーダーになることをあきらめなければならないのです。しかし、ロミ丸は人間になることを決心します。

 ロミ丸はリーダーのドロ兵衛の娘メリタンとの結婚が予定されていました。しかし、ロミ丸がジュリ絵に出会ってからは、疎遠にされてしまいます。メリタンはジュリ絵にも秘薬を飲ませることを考えます。

 ロミ丸は秘薬で人間に、しかしジュリ絵は秘薬で狸に。 さて、この顛末は??

 狸一族の現リーダーを演じた岡智さんは、声量がすごいです。多くのミュージカルの経験を積んだ俳優さんです。ロミ丸の神永圭佑さんは演技、歌とも抜群です。

 朗読劇的要素も取り入れて、風祭ゆきさんが担当していました。長い舞台経験があるので、さすがにオーラがあります。(昨日たまたま見ていた映画[DVD]「セーラー服と機関銃」に出演していました)


 「AKB48」の吉川七瀬さんはジュリ絵役で出演していました。


「東おんなに京おんな」(二人芝居 岡本麗×鶴田真由)於:東京芸術劇場(ウエスト・シアター)

2017-11-12 20:37:02 | 演劇/バレエ/ミュージカル

    
 岡本麗さんと鶴田真由さんの二人芝居です。


 里佳(鶴田真由)は夫の和彦と2ヶ月前に離婚して、今は一人ぐらしです。釣り糸をたれボッとしていることにはまっていますが、職探しをしています。彼女はかつてエリート社員でしたが、そのプライドの高さがわざわいしているのか、なかなか新しい仕事がみつかりません。その彼女は元夫の和彦の浮気を理由にマンションから追い出しました。
 ある日、和彦の母、みどり(岡本麗)が京都から突然里佳の部屋にやってきました。離婚したことを知らされていなかったみどりは驚きますが、彼女は夫とケンカして家を出て来ていたのです。理由はやはり夫の浮気でした。行き場のないみどりはこのまま里佳の部屋に居すわることに決めますが、里佳は承知しません。しかし、里佳の私生活に遠慮なく介入してくるみどり。

 耐えられなくなった里佳はかつての夫に苦情の電話をかけます。そして里佳は、ある驚くべきことを知ります。みどりが上京してきた理由は、実は彼女の浮気だったのです・・・。

 東おんなと京おんな、ふたりの丁々はっしのわたりあい。これは見ものです。