【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

山本薩夫監督「浮草日記」(1955年)

2020-03-31 21:45:22 | 映画
山本薩夫監督「浮草日記」(1955年)

労働運動とはまるで無縁の世界で生活していたどさ回りの一座、市川馬次郎一座が、炭鉱町でストライキに巻き込まれ、当初、労働組合と対立していたが次第に心をひらいていく過程をユーモラスに描いた作品。座長の役を担った東野栄次郎がいぶし銀の味をだして健在。津島恵子と菅原謙二のみずみずしい演技も記憶に残る。

一座は旅をしながら芝居をつづけているが、あるとき玉木屋という悪徳興行師にだまされ、座の解散の一歩手前まで追い込まれる。

そんなおり、ある炭鉱町で興業を行うにあたって、座員の必死の呼び込みが功を奏して盛況となる。ところが、芝居の公演期間中に炭鉱ストライキとなり、その騒動のなかで売上金が玉木屋に持ち逃げされる。一座とストに入った組合とが対立するが・・・



家城巳代治監督「みんなわが子」(1963年)

2020-03-30 21:49:36 | 映画
家城巳代治監督「みんなわが子」(1963年)

全国農村映画協会第2回作品(第1回は「荷車の歌」)。

大平洋戦争末期、山梨に疎開した都会の子どもたちの生活を描いた作品。家城巳代治監督、中原ひとみ主演。

緊迫した社会情勢のなかで屈折した子どもたちの生活をとらえ、彼らの苦しみ、辛さを真正面から描いている。

子どもたちは遠足気分で疎開地、山梨にむかったが、そこにはつらい日々が待っていた。空襲が日をおうごとに激しくなり、疎開先の山寺のあたりには医者がいない。そのため、体の弱い子は市内ですごす。しかし、空爆は彼らの命を奪う。教師たちは食糧の買い出しにでかけるがなかなか手に入らない。空腹にたえかねた子は、絵の具をなめることもあった。ようやく終戦をむかえるが・・・・。







イ・ハン監督「ワンドゥギ」(韓国、2011年、108分)

2020-03-26 18:11:12 | 映画

  これも韓国映画らしい作品。

            
  貧しい家庭環境のなかに生きる主人公ワンドゥギ(ユ・アイン)は、世をななめにみて、反抗的な高校生生活をおくっている。父親は脚が不自由で、街頭での踊りから入る収入で、どうにか暮らしている。母親はいない(らしい)。住んでいるところは、バラックのよう。このようなところが、現在の韓国にもあるrのだろうか。貧しい人たちが密集して暮らしている。喧嘩、罵声が絶えない。


 ワンドゥギの通って高校は夜間高校だろうか。この担任の名前はドンジュ(キム・ユンスク)。ワンドゥギの家のすぐそばに住んでいて、ワンドゥギの生活にしじゅう介入してくる。しかし、ドンジュは粗野で、ガサツな教師にみえるが、きわめて人間臭い。

 ワンドゥギとこの教師とのやりとり、確執、人間的交流がこの映画の中心になってるが、ワンドゥギを囲む人は他にもたくさんいて、教室の仲間、優等生の女子学生ユナ、もうとうにいなくなっていたと思っていたフィリピン国籍の母親(イ・ジャスミン)、画家らしいかヤジ暴言の隣人、ドンジュが恋心をいだいた画家の妹で武侠小説を書いているというホジュン(パク・ヒンジュ)。

  ドラマの語源は、ギリシャ語。「葛藤」という意味合いだ。その意味で、この映画は、ホントのドラマだ。ワンドゥギと教師ドンジュ、父親との葛藤。久しぶりに再会した父母の葛藤、ワンドゥクと成績優秀なユナとの葛藤。それらの葛藤のなかに、ユーモアがあり、ペーソスがある。強がってみたり、小心になったり。みながみな小さい空間でぶつかりあい、ののしりあいながらも、次第に心をとけあわせ、信頼が形成され、一歩づつ人生を進んでいく。共感をもって鑑賞した108分だった。
  


 


「サニー 永遠の仲間たち」(カン・ヒョンチョル監督、2011年)

2020-03-25 23:57:37 | 映画


 「あらすじ」は、だいたい以下のとおりです。
 主人公のナミ(ユ・ホジョン)は、ビジネスマンの夫と高校生の娘に恵まれ、平凡な毎日を送っていました。ある日、ナミは母の入院先の病院で、高校時代の親友チュナ(チン・ヒギョン)と偶然、25年ぶりに再会します。しかしチュナはガンに侵され、余命は2か月と宣告されていました。

 チュナの願いは、高校生時代の親友たちの集まりであった「サニー」のメンバーと会うことでした。ナミはチュナの願いを叶えるため、探偵社を使って7人の仲間を捜し始めます。

  「サニー」結成は、いわくつきのものでした。回顧のシーン。全羅道の田舎からの転校生ナミ(シム・ウンギョン)は緊張すると方言が出てしまい、初日から不良たちにからかわれます。でもいっぷう変わった友達がナミを助けてくれました。しつこいけれども義理堅いチュンファ(カン・ソラ)、二重まぶたに命をかけるチャンミ(キム・ミニョン)、悪口バトルの代表選手ジンヒ(パク・チンジュ)、怪力の文学少女クムオク(ナム・ボラ)、ミスコリアを夢見る四次元のボクヒ(キム・ボミ)、高慢な氷の姫スジ(ミン・ヒョリン)です。

  ナミは彼女たちとグループを形成しはじめ、対立するグループ「少女時代」との乱闘対決で、おばあさんから伝授された方言による悪口能力を発揮し、大活躍します。

  そうこうするうち、7人の仲良しの友達はいつまでも一緒と誓いあい、「サニー」を結成。学園祭で披露する公演を野心満々で準備します。

  この映画のポイントは、現代のアラフォー中年女性は、かつて輝いていた少女時代を回想するというところ。少女時代だった80年代は輝きばかりではなく、いじめや差別があり、韓国独特の家庭や政治が背景にありました。そしてかつてのサニーをくんでいた娘たちは今は恵まれている人もいれば、そうでない人もいます。この2つの年代の対比がうまくできていていました。


 特筆すべきはキャスティング。
 少女時代と、中年時代の俳優は別人ですが、生き写しのように似ています。映画の中で、主人公たちは本物の親友としか見えず、緊迫したシーンがたくさんあります。

東京駅から新宿駅まで

2020-03-24 21:33:01 | 散歩
東京駅から新宿駅まで歩きました。コースは、東京駅丸の内口→皇居(旧江戸城)→桜田門→半蔵門→麹町→四谷→新宿駅東口、です。半蔵門からは、新宿通りに入り、新宿一丁目の御苑の手前までほぼ一直線、新宿一丁目を右折し伊勢丹、紀伊国屋の前をとおって新宿駅東口、です。

まるく走っている山手線の「直径」に相当します。かかった時間は、1時間40分でした。最初はかなりかかると思っていましたが、皇居前の交番のお巡りさんに聞くと約6キロと教えてくれて安堵し、意外とスイスイ歩けました。

途中、街並み、桜で目を楽しませながらの散策でした。晴れていましたので、風がやや強かったのですが、苦になりませんでした。






イルマル・ラーグ監督「クロワッサンで朝食を(Une Estonienne a Paris)」(フランス、2013年)(銀座シネ・チッタ)95分

2020-03-23 23:55:24 | 映画

       パリの高級アパルトマンに住むフリーダ(ジャンヌ・モロー)。ひとり暮らしで、気難しい。彼女はエストニア人で、かつては同郷のひとたちとの交流もあったが、いまは絶えている。 彼女のアパルトマンには、ステファン(パトリック・ピノー)という中年の男性がときどき様子をみに来ている。ステファンはかつては、フリーダと愛人関係にあったようだ。ステファンは、フリーダからプレゼントしてもらったカフェでオーナー。カフェはそこそこ繁盛している。 そのステファン。フリーダが高齢化し、ときどき大量の薬を飲むような行動を取り始めているので、家政婦にきてもらうことを考え、つてをたどって、アンヌというエストニアに住む中年女性に、依頼。彼女は母に死なれ、鬱屈した日々を過ごしていたが、このパリでの仕事にかけることにする。 気難しいフリーダは彼女に相談なく家政婦を雇ったことが気にくわなく、生真面目なアンヌを無視したり、嫌がらせをしたり。朝食には、クロワッサンと紅茶が習慣だったが、それを用意できないアンヌに腹をたてる。アンヌはスーパーでクロワッサンを買い、これをフリーだのもとに運ぶが、「こんなプラスチックのようなものを食べれるか。パン屋で買いなさい」と、紅茶をわざと床にこぼしながら言う。 アンヌはここでの家政婦に自信をなくし、故郷に帰ることを決意し、ステファンに相談をもちかけるが、なだめられ、考え直す。 このあと、エストニア人のかつての仲間がフリーダの部屋に再会に来たのを悪罵で追い返したり、フリーダとアンヌとの確執が強まったり、弱まったりといろいろあるが・・・・。さて、その結末は。 あっけないと言えばあっけない、ラストシーン。 この映画では会話が多くなく、パリのすばらしい光景(エッフェル塔、凱旋門、ルーブル、街並み)がたっぷりスクリーンに浮かび上がり、アンヌが帰郷を決意して深更、パリの街をキャリングケースをひきまわしながら歩き回るシーン、など静か。会話以外の空白部分で、監督が伝えようとするものが、ゆっくり伝わってくる。わかりにくいと言えばそうなのだが、これもフランス映画独特のありようだ。 主演のジャンヌ・モローは、映画製作時(2013年)、85歳。「死刑台のエレベータ」「恋人たち」「小間使いの日記」でのかつての美貌の面影はあるが、それでも年輪はかくせない。いい味を出していた。   原題は、「エストニア人のパリ」。「クロワッサンで朝食を」の邦題では、この映画の本質はみえてこず、台無しになっているが、興業的には仕方がないところか。 


       






ヴェルナー・ヘルツォーク監督「アラビアの女王 愛と宿命の日々(Queen of Desert)」(アメリカ/モロッコ、2015年)

2020-03-18 11:59:09 | 映画


イングランドに生まれ、20世紀初頭にアラビアの地で考古学者、冒険家、諜報員として活躍した女性ガートルード・ベル[1868-1926](ニコール・キッドマン)の半生を描いた作品。

鉄鋼王の家庭で育ち社交界にデビュー、オックスフォード大学を卒業した彼女は叔父をたよりにアラビア半島にわたり、やがてアラビア各地を旅しながら現地の部族と交流を続ける。ロレンスとも会う。イラク建国の立役者としても尽力した。

この作品はイラクとヨルダン両国の国境線を引く偉業を成し遂げ、アラビアの人々からは「イラク建国の母」「砂漠の女王」と称されるまでになったガートルード・ベルの偉業をたどる。







ラシド・ハミ監督「バイオリン・クラス(LA MÉLODIE)」(フランス、2017年)

2020-03-17 21:09:33 | 映画
ラシド・ハミ監督「バイオリン・クラス(LA MÉLODIE)」(フランス、2017年)

舞台はパリ郊外の小学校。ここでは楽器をもったことのない子どもたちに音楽の素晴らしさをつかんでもらうための教育プログラムが展開されている。演奏家としての仕事に進むか逡巡していたバイオリニスト、ダウトは、6年生のオーケストラ・クラスを指導することになる。しかし、子どもたちは先生のダウトをからかったり、言うことをきかなかったり、おたがいに汚い言葉でののしりあったり、まるでやる気がない。

その子どもたちがあることをきっかけにまとまりはじめ団結し、素晴らしいコンサートを開催するようになる。いろいろな逸話(喧嘩、対立、不信など)を挟んで、この過程が繰り広げられる。潜在的才能をもったアーノルド(アルフレッド・ルネリー)を中心とした子どもたちの成長ぶりが素晴らしい。

パリ19区に2015年に設立されたフィルハーモニー・ド・パリの全面協力のもとで作られた作品。









ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督「イヴの総て(All about Eve)」(アメリカ、1950年)

2020-03-07 23:56:02 | 映画


ブロードウェイの大女優マーゴ(ベティ・デイヴィス)のファンであった田舎娘のイヴ(アン・バクスター)が劇作家ロイド・リチャアズ(ヒュー・マーロウ)の妻カレン(セレステ・ホルム)の偶然のとりなしでマーゴの付け人となり、スター女優にのしあがっていく道のりを描いた作品。

単純な道のりではなかった。彼女の才能があったものの、当然そこには手練手管、チャンス、嫉妬、確執、詭計があった。この作品はそれらをあますところなく描いている。

ついに彼女はマーゴをも踏み台にしてスター女優にのし上がり、演劇界の最高の栄誉であるセイラ・シドンス賞を獲得する。

受賞の夜、自宅に戻ったイヴは、フィービー(バーバラ・ベイツ)という演劇志望の少女が部屋のなかで座りこみ、片づけをしているのをみる。イヴが寝室に入った後この少女は、イヴの衣裳をつけて鏡の前に立ち、自身の姿に見とれているのだった。その姿は8か月前のイヴその人であった。




無名だった頃のマリリン・モンローがチャンスを狙う新人女優の役で出演している。


登場するメイン・キャストは、ブランチ(ジョーン・クロフォード)とジェーン(ベティ・デイヴィス)の姉妹。姉妹の芸能界での位置の逆転が、恐ろしい確執を生みながら、ふたりを破滅の道にいざなう。

ジェーンは幼いころから名子役。姉のブランチはそれを羨んでいた。しかし、数年たって立場が逆転する。ジェーンの人気は凋落し、ブランチが脚光をあびるようになる。大スターになったブランチと酒浸りなったジェーン。嫉妬が絡んだ自動車事故がおきる。

事故はジェーンが嫉妬にかられ、車を屋敷の敷地にいれるため車をおりて門をあけようとしていたブランチを轢き殺そうとした、と報じられた。間一髪で難を逃れたブランチ、この事故で背骨に傷を受け車椅子での生活を余儀なくされる。ジェーンは、その責めを負うために姉の面倒を見ることになった。二人だけで暮らし始めた姉妹だったが、姉に対するジェーンの呪詛は消えず、むしろ姉の人生をさばく陰湿な女性に変身する。その苛めのさま、暴虐ぶりがすさまじい。

しかし、事故の経緯はまったく違っていた。事故はブランチがパーティでジェーンにバカにされたためジェーンを轢き殺そうとしたもので、ジェーンは咄嗟によけ無傷だったがブランチの運転していた車は柱に激突し、そのために下半身が不随となったのである。

いったい、ふたりの関係はどうなるのだろうか? どのようなエンディングになるのだろうか?






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新型コロナウイルス感染拡大の影響は甚大

2020-03-06 23:21:01 | 経済/経営
今日の東証一部では日経平均が579円下落、このところの続落傾向に歯止めがかからない状況です。

わたしが注目してみていた個別銘柄で一時堅調だった任天堂、カプコン、トヨタ、JR東海、モルファ、アカツキ、日東電工、ソフトバンクグループなどみな大幅下落です。

日本時間0時5分現在、NYダウ平均は832ドル下落、ナスダックは237ドル下落です。

下記のような記事がありましたので、掲載します。

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東京五輪中止なら損失7.8兆円=新型コロナ影響試算―SMBC日興

<2020/03/06 18:56時事通信>
 SMBC日興証券は6日、新型コロナウイルス感染が7月まで収束せず、東京五輪・パラリンピックが開催中止に追い込まれた場合、約7.8兆円の経済損失が発生するとの試算を公表した。国内総生産(GDP)を1.4%程度押し下げ、日本経済は大打撃を被るという。

 SMBC日興は、新型ウイルスの世界的な感染拡大が7月まで長期に及ぶ場合は五輪開催中止の可能性が高いとみている。五輪に絡む損失では、宣伝や輸送といった大会運営費に加え、訪日客を含む飲食・グッズ購入など観戦関連支出で計6700億円とはじいた。新型肺炎の感染拡大が収まらず、国内消費のほかサプライチェーン(部品供給網)の依存度が高い中国を取引先とする輸出入減少などの影響と合わせると、損失総額は7.8兆円程度に上ると見込んだ。