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板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

神様の絆創膏

2024-03-04 16:58:33 | 

   落語ストーリーだから『噺家ものがたり~浅草は今日もにぎやかです~』を読み、兵庫県書店商業組合の中高生の読書推進事業「どっぷりつかるなら読書がいいね!」で現役学生からの推薦図書『西由比ヶ浜駅の神様』で涙して、同じ著者である村瀬健さんの本書も楽しみに読みました。

 東京浅草にある日和神社には、隣接する春日野病院にかかる人たちが訪れます。乳がんで手術をする決意をした女性、うつで不登校の男子高校生、これからスターになろうとしていながらケガで下半身不随になった女優、父が脳梗塞で入院する役者志望の息子、そして、ステージ4の大腸がんに罹患した60過ぎの宮司の元妻は日和神社の宮司に悩みを吐露し、心を軽くしつつ、前向きに生きようとします。

 なぜ生きるのかという問いに対して、「次の出会いのためだ。(中略)いつだって自分のことを大切に想ってくれる人との出会いだ」と宮司は言います。それを受けて、宮司の元妻は「自分の人生に納得したいの。幸福というのは、納得することだと思う。」とつぶやきます。自分のしたいと思うことをやり抜く姿にこそ美しさが滲み出るのでしょうね。

『神様の絆創膏』(村瀬健著、メディアワークス文庫、本体価格690円、税込価格759円)

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