まったくもって余計なお世話ですが、これはほっておけない、日本の縮図かもしれないと思い、2冊をご紹介します。
まず、1冊目は『アスリート論語塾』(安岡定子著、メディアパル、本体価格780円)です。多くの章句がある論語からアスリート向けに31の智慧を紹介しています。
例えば、「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」では、正義が第一であり、利益、今回の問題であれば、甲子園ボウル連覇に走るチームに待ったをかけるべきでしょう。
また、「君子は人の美を成し、人の悪を成さず。小人は是に反す。」はまさに監督やコーチ陣に体得してもらいたい章句です。
「速(すみ)やかならんと欲すること毋(な)かれ、小利を見ること毋かれ。速(すみ)やかならんと欲すれば、則(すなわ)ち達せず。小利を見れ則(すなわ)ち大事成らず。」目先の利益を追求するとロクな事ない。他人を尊重して、協力して大勝利を目指すことこそ、本来のスポーツマンシップでしょう。
もう1冊は、『チームスポーツに学ぶボトムアップ理論 高校サッカー界の革新者が明かす最強の組織づくり 』(畑喜美夫著、カイゼン、本体価格1,400円)です。
今回の問題はトップダウン体制であり、監督からすれば、コーチや選手は自分が動かせるコマかロボットとしか考えていない。しかし、実際にゲームをするのは選手たち。彼らがどう思い、考え、試合を組み立てていくかを自ら考えていくボトムアップを打ち立てていくことが日大アメフト部だけでなく、日本の組織には必要でしょう。今後、AIやロボットが大手を振るようになればなるほど、考える人こそが重要な価値となっていくはずです。その意味でも、考える習慣を持て得る組織にしていかなければなりません。
井戸書店でもこのボトムアップを実践していますが、今まで染みついたトップダウン方式に慣れ親しんでいるのか、なかなか機能しません。時間が必要なので、将来はきっと自立型の人材が育つことでしょう。