読んでいる最中に飛び込んできたのが、映画「糸」のメインキャストの菅田将暉さんと小松菜奈さんの結婚のニュース。このストーリーのエンディングにぴったりでした。
中学1年生の高橋漣は家庭内暴力を受けている、同じ学年の園田葵を守るために二人で駆け落ちをします。漣が何度も来ているロッジに不法に侵入し、冬の夜を二人で過ごします。そこにあった防災用のラジオから流れてきた曲が中島みゆきの「糸」。翌朝、警察官と葵の母親に二人は発見され、二人の糸は切り離されました。
21歳の時に同級生の結婚式に招待された漣は葵と再会します。二人とも別々の人生を歩んでおり、未練があっても糸は戻りません。31歳になって、葵はシンガポールでの会社経営にへの参加を要請され、行く決心が揺らいでいる中、スマホの動画サイトには葵が子どもの時に世話になった向かいの家のおばさんが映っており、故郷の北海道・美瑛へ。
「人は、出会うべき時に、出会うべき人に出会う」物語は美しい。歌詞のエンディングの通り、「縦の糸はあなた 横の糸は私 逢うべき糸に 出逢えることを 人は 仕合わせと呼びます」が本当です。
『糸』(林 民夫著、幻冬舎文庫、本体価格580円、税込価格638円)