『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で2019年の本屋大賞ノンフィクション大賞を受賞したブレイディみかこさんによる、イギリスでのオッサンのレポートです。彼女の旦那さんの幼馴染たちの過去と現在を描きだしています。
イギリスではEU離脱、ブレグジットが大問題であり、個人の生活にも大なり小なり影響を及ぼしているのが如実にわかります。英国の緊縮財政に対する矛先が、原則治療費無料で薬代だけ請求される、揺りかごから墓場までの象徴のNHS(国民保健サービス)に向けられ、専門医に診てもらえるにも数か月は必要な状況に怒りしか覚えないオッサン。だからこそ、
「おとなしく勤勉に働けば生きて行ける時代には人は反抗的になり、まともに働いても生活が保障されない時代には勤勉に働き始める」
状況に国が貶めていると考えています。
ブレグジットは移民への反動もあり、移民への「憎悪」が剥き出しになっているのは地球人としては情けないと思います。グローバルに対して、自国第一主義に向かっても、人があっての国であり、国があっての地球です。逆に考えれば、地球があっての人という視点が欲しい。
しかし、どこの国のオッサンも似たようなもんであり、社会情勢に揺り動かされ、最後はやっぱり酒か女性か?イギリスのオッサンは何度も結婚と離婚を繰り返し、心がしんどないんかいと思って、読了しました。
『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』(ブレイディみかこ著、筑摩書房、本体価格1,350円)