あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

どうせ生きるなら「バカ」がいい

2016-10-25 15:48:11 | 

  どうせ生きるなら「賢こ」がいいと思っておられるあなた、バカになりましょう!

  この本での「バカの人」の定義は、「周りからどう見られようとそんなことには頓着せず、自分に正直に生き、自分のやりたいことを素直に実行しているような人」です。周りを気にすると減点主義に陥り、自分に正直であれば、自分の満足度を向上させるし、足るを知ることにもつながります。世間の同調圧力に屈せず、自分自身に素直に生きることはもしかすると非属、だれにも属さない独立独歩の道になるでしょう。しかし、たった一度の人生、人の空気に流されず、あるがままの自分で生きましょう!

  この主張は、この本の著者である、精神科医・宮島賢也先生の体験から色濃くにじみ出ています。研修医になって、「うつ」と診断され、7年間の投薬治療でも回復せず、自分で試行錯誤する中で、考え方や食生活を改めることで治癒しました。つまり、「自分の生命は、自分がどんな生き方を選択するかでいつでも変化させることができる」、この思いがあれば、道は開けてきます。

  さあ、思い切ってバカになりましょう!

『どうせ生きるなら「バカ」がいい 日本人よ、もっと自分に正直であれ』(村上 和雄・宮島 賢也 著、水王舎、本体価格1,000円)

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スマホが神になる

2016-10-19 15:56:31 | 

 スマホに関しては、『やってはいけない脳の習慣』で、子どもの学力とスマホの関係についてこのブログでも書かしてもらいました。

http://blog.goo.ne.jp/idomori28/e/2179c3eafce4eac1f62385b9a4eca2be

 いくら勉強しても、スマホを扱えば、インプットした勉強の内容がアウトプットできない脳の構造に変えている、とても恐ろしい結果を踏まえて、スマホへの対応に書かれた本でした。

 本書『スマホが神になる』では、スマホが人間の時間を奪い、また、生きる上での悩めることや不明なことについては検索一発で気軽に解決する点から、「スマホは、信仰を弱体化させることにも結び付いていく可能性がある」ことを、宗教学者の島田裕巳氏が書いています。まさに、宗教は世俗化し、重要な地位を占めなくなっています。

 さらに、興味深い論調は、資本主義と宗教の関係です。「宗教には、資本主義がかき立てる欲望の充足を否定する傾向があるから、宗教というものは、本質的に現代の社会、とくに資本主義が高度に発達した社会とは衝突する。」つまり、資本主義の発展と宗教の衰退が表裏一体であるとしています。しかし、資本主義が将来的には息詰まる見込みがある中、宗教が息を吹き返すか、資本主義の情報の一つのツールであるスマホがその地位を奪うのかが焦点になっています。

 スマホによって、読書は隅の方に追いやられていると思いますが、出版業界だけでなく、スマホは時間を奪うことによって、従来のものすべてが影響を受けていることを知って、脅威を感じます。「神という存在は、人に救いをもたらすものであると同時に、人を支配し、拘束する存在である。」ならば、「スマホを絶えず開いていなければならない」という心理状態に置かれれば、「スマホに支配されている」感覚に陥り、無神論者を増やすというシナリオは的を得ているかもしれません。

『スマホが神になる 宗教を圧倒する「情報革命」の力』(島田裕巳著、角川新書、本体価格800円)

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この世に命を授かりもうして

2016-10-03 17:03:49 | 

 酒井雄哉大阿闍梨の最後の一冊。ガンを患い、病気療養中の大阿闍梨とのインタビュー集には、自然体で生きる、貴い生き方のヒントが満載です。

 インタビュー日が87歳のお誕生日。その日に語った死生観は非常にわかり易い。

 「命はありがたいもの、感謝を忘れてはならぬもの」、「感謝を忘れて、すべてが当たり前だなんて思っていると、自分に反動が返ってくる」

のですから、「人間だってやっぱり自然の中の一員なんだから、自然の流れというものを大切にしないといかん。」

という感覚は、自然から離れて暮らす、現代の凡人にはなかなか抱けません。自然の一部であることは、「無始無終」(「始め無くして、終わり無し」)、つまりは「連綿とつながっていく」命が自分にあることに収まります。つながる以上は、そのひとつである自分の命にも意味があり、それを「ひとりで静かに考える時間を持って、自分自身の視点を養っていくことが必要だ」と説かれています。

 「命のろうそくの火が燃え尽きるまで、一日一日を精いっぱい生きることが、この世に生を享けた者としての責任」を意識しつつも、

 「むりせず いそがず はみださず りきまず ひがまず、いばらない」穏やかな楽しい一日を送りましょう!

『この世に命を授かりもうして 』(酒井雄哉著、幻冬舎、本体価格1,000円)

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ホセ・ムヒカ 日本人へ贈る言葉

2016-10-01 15:21:25 | 

 「世界でもっとも貧しい大統領」で有名な、ウルグアイ第40代大統領、ホセ・ムヒカ氏の言葉集の第2弾。この本にも現代社会への辛辣な批判、そして、本当に幸せな生き方について語られています。

 『人間が物を買うときは、稼いだお金で買っているのではなく、そのお金を稼ぐために費やした“時間”で買っている』

 『幸せを購入する“夢”を“幸せ”と勘違いしないようにしてください』

 現代の資本主義、幸福論に物申しています。幸福のものさしを貨幣の多寡か、自分の自由な時間を持つか?消費資本主義に価値観を求めるのであれば、自分の時間を切り売りし、モノの購入で幸福感を感じる人もいるでしょうが、ムヒカ氏は自由な時間を持って、人間的な交流をすることが本当の幸福と考えています。

 『幸せとは、隣の人のことをよく知り、地元の人々とよく話し合うこと。会話に時間をかけることだとも思う。』

 コミュニケーションをとることにより、お互いに共感を得れば、

 『“裕福”な人は、人からの愛に満ちています。』

という結論に落ち着きます。「モノよりヒト」へ視線を移せば、生き方も変わってくることでしょう。

 日本人に対しては、

 『日本人は魂を失った。』

 『日本の良い文化というのが、西洋化された消費文化によって埋葬されてしまって、今は見えなくなってしまった。経済を成長させていくことに躍起になり、かつての良さを見失っているようにも見える。』

と語っています。エコノミックアニマルと言われ、会社という共同体の成長を願って、行動してきた日本人も、今では交換可能な存在に成り下がり、人として本来持つべき価値観を喪失しています。何を大切にして生きていけばよいのか、じっくりと考え直す必要がありますね。

『ホセ・ムヒカ 日本人へ贈る言葉』(佐藤美由紀著、双葉社、本体価格1,000円)

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