アナログな本屋をやっていると、現実に埋没してしまうのですが、本書を読んで、デジタルの世界で何が起きているのか、さらに、それを理解した上でどっち向いていけばいいのかがよーくわかりました!
書名の通り、インターネットが普及し、SNSで人と人がつながり、スマホを手にした現代人は、マスのメディアから離脱し、150人程度の集団の中の1人になる、つまり原始人になるという大命題の下、デジタルのことを知り尽くしたお2人、小林弘人氏と柳瀬博一氏の対談集。
デジタルに移行しつつある今、どういうことが起きているか?
①情報源がマスコミからSNSを介しての信頼のおける友人や知人に移っている
②ウェブやSNSによるコンテンツデータを解析し、誰に、いつ、どこで、どのようなマーケッティングをしたらよいへ移行している
③ウェブやSNSで情報開示をし、ユーザーと一緒に商品開発ができるようになった
④モノが潤沢になり、それが行き渡ると、経営においては、デザインが重視され、これの重要性を理解できない経営者がいる企業は危ない
他にもさまざまなことが論じられていますが、こんな時代でも生き残るのが際立った「属人性」を持つ人。「商店街の多くがシャッター商店街化しているんだけれど、そんな中で、どこでも生き残っている業態が3つある。それが『スナック』、『洋品店』、『理容店・美容院』。」その3つの売り物は人であることが大きな要因であり、誰でもできる店舗は残っていけない。
また、リアルの店舗では、 「編集力」の有無が決定打になること、これは納得できますね。どこの店舗も同じ商品が陳列されている中、いかに切り口が違うか、商品に対する視点が変われば、陳列も変わり、店のアピールの仕方も変わる、つまりは店舗がオリジナルなものになります。
お2人とも編集業務をされているので、リアル書店のあり方や代官山蔦谷書店のコンセプトなど、本屋のオヤジに参考になるお話が読めて幸せでした。
『インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ』(小林弘人・柳瀬博一 著、晶文社、本体価格1,500円)