主人公の17歳のまひるは親友の女友達3人と高校生活を満喫しています。友達たちは将来の夢やなりたい職業について狙いをつけていますが、まひるは全くのノーアイデア。成るようになるさと言った感じ。まひるの彼氏・亮司は他校の同学年で落語家志望。高校を卒業したら入門する思いは強く、高校でも落研を創設し、落語活動に励んでいます。とは言っても、彼らは平和で楽しい高校ディズを送っています。
3学期のある日、亮司はバイク事故を起こし、左足が開放粉砕骨折と診断され、遅々として回復せず、膝下から切断することになりました。この事故をきっかけに、彼のお見舞いに専念する、まひるは「これまでは何に対しても、べつになんでもいいやって感じだったんだけど、今は後悔しないように生きたい」と思いはじめました。切断後の亮司は赤い義足を付けて、リハビリに励み、3月の最後の日曜日にはベットの上で正座して、「薮入り」を語りました。いやぁ~泣かせますねぇ~
エンディングでは、「人間はひとりひとり全員違って、その人だけの人生を生きている。計り知れない宇宙をみんなが待っている。」とまひるは胸中を嘆じています。そして、彼らの将来は、書名の通り、「その青の、その先の、」何かへ突き進んでいるのでしょう。椰月美智子さんの小説の明るさは最後まで続いていました。
『その青の、その先の、』(椰月美智子著、幻冬舎文庫、本体価格690円)