長年、地球上に14座ある「8000メートル峰の無酸素登頂」に挑戦し続け、自らも幾多の危機に遭遇しつつも下山した、プロクライマー・小西浩文氏。同時に、同じ登山家たちが危機に命を落とした山の事故を自らの経験も踏まえて考察した危機管理の教科書は、山登りだけでなく、ビジネスや日常生活でも活用できます。何せ、「想定外」という言葉を聞かない日がありませんから。
危機管理に一番大切なことは「心」の問題であると言い切っています。「気の緩み」「焦り」に対して、 「集中」と「平常心」を優先すること、「沈着」にしているのと「過信」は違うことをしっかりと理解しなければなりません。
また、昨今の自然災害からよく耳にする「想定外」という概念も、自己を甘やかすだけのものであり、自分だけは大丈夫であるとか、過去何も起こらなかったという「正常性バイアス」を排除して、常に最悪を想定する習慣を身に付けることを提唱しています。
そして、「僅かな異変」にも気づくことと、「事前準備」に9割の力を注ぐ大切さを痛いほど強調されています。
如何にことに対するかを常に考え、どう対処するか、それが危機管理に繋がるようにしなければなりません。自然大国の日本人の必読の書かもしれません。
『生き残った人の7つの習慣』(小西浩文著、山と渓谷社、本体価格1,200円)