経営の神様・松下幸之助翁の座右の書『都鄙問答』は儒教・易経・仏教・神道の融合した教えです。身近なたとえ話も豊富にあり、わかりやすい内容ですが、巻の一をしっかりと噛み砕かなければなりません。
すべての生き物が命を授かった時から備わっている理を、天(宇宙)は全ての生命に与えます。それは宇宙の根源となる原理・道理であり、「本性」と言われるものです。これの詳細は五倫五常です。
五倫とは①父子間の親愛、②君臣間の礼儀、③夫婦間の区別、④長幼間の順序、⑤朋友間の信義であり、
五常は①仁、②義、③礼、④智、⑤信となり、
これらができれば、よろしき心の持ち主です。
心とは思考のことであり、さまざまな出来事に出くわした場合、五倫五常を念頭に置いて、いかにすればよいか考え、行動できる人が聖人・君子と呼ばれます。この五倫五常は生まれながらにできる人もいれば、学んで身に付ける人もいます。学ぶ場合は強い意志力を持つことを奨めています。
したがって、本性に率(した)がうのが「道」であり、 「道を知るということは、今の自分が置かれた立場に不満を唱えず、高望みをしないように自分を戒めることであり、それを『学問で得られる徳』としている。」ことから、今の境遇は天命であり、これを乗り切ることが試練として下されています。
本書の儒教の考え方は、禅と易経からの『宇宙の法則と調和して生きる方法』(クリス・プレンティス著、菅靖彦訳、サンガ、本体価格1,800円)と同じであり、
http://blog.goo.ne.jp/idomori28/e/4e1fcbdcd7b9c6be2cdc548c34fc094c
宇宙の子である私たちは宇宙の法則に則って生きていくことがベストなのですね。
『都鄙問答』(石田梅岩著、致知出版社、本体価格1,600円)