ラーメン、つけめん1杯に平日は平均2時間、休日は3時間、最長で4時間もの行列ができる店が千葉県松戸市にあるらしい。その店は『中華蕎麦 とみ田』。店主の富田治さんの経営哲学はラーメン職人の真髄でした。
2006年に『中華蕎麦 とみ田』を開業以来、松戸市内を中心に6店舗と自社工場を展開し、現在は年商10億円。経営者の力量はいかにと思いきや、自分が磨き続けたラーメンで、目の前の人が幸せになることだけを願っている職人気質な人間です。経営計画などの数字よりも、仕事の目的に集中し、それが達成できるように頑張る、この一点に尽きます。彼の師匠である、「東池袋大勝軒」の山岸一雄さんの言葉
「目の前の一杯を、自分が作る最後の一杯だと思って作りなさい」
は、常に今のことを精一杯励むこと、それが明日や将来につながると信じる。だから、原価率も人件費も念頭に置かず、お客さまの満足それだけを追い求めています。昨日の自分を今日は超えられるか、業界は違えども、ひたすら技を磨くことが大切だと教えられました。日本酒の「獺祭」も同様、一点突破こそが解決へのヒントかもしれません。
『どうして人は4時間も『とみ田』に並んでしまうのか 日本一の行列ラーメン店の非常識経営哲学』(富田治著、講談社、本体価格1,300円)