あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

トヨタの片づけ

2016-03-28 17:21:17 | 

 会社での5Sの本はこの1冊ですべてOKです。

 トヨタの片づけはムダ取りです。いかにして作業のムダを省き、モノを減らし、コストのムダを省く、終わりのない習慣です。基本は5W1Hであり、「何をどこにどれだけいつまで置くか」を徹底的に極める。特に、トヨタのカンバン方式に代表されるように、「必要なものを必要なときに必要なだけ」を「整頓」とすることは大いなる学びになりました。片づけ哲学だけでなく、今日から使えるノウハウもふんだんに掲載されています。

 この1冊でおうちでの片づけには目途が付くでしょう。

『トヨタの片づけ』((株)OJTソリューションズ著、本体価格600円)                                                                                                    

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1/4(よんぶんのいち)の奇跡

2016-03-27 10:24:18 | 

 今まで何度となく読みましたが、いつも新しいことに気付かせてくれる本です。

  アフリカのマラリアに罹りにくい人を遺伝子レベルで研究したら、その兄弟には4分の1の確率で、重い障がいを持つ人も現れてしまう。4人の子どもが生まれた場合、必ずそのうち1人は重度の障がいを持つという事実。つまり、人間が生存して行くにはマラリアに「強者の遺伝子」だけでなく、重い障がいを引き受ける 「弱者の遺伝子」も必要だったということ。このことから、障がいを持つ人の存在がなければ、今の自分もないという理解が生まれます。

  しかし、科学的な1/4の奇跡だけでなく、宇宙をつらぬく「本当のこと」こそを3/4の人間は知らなければなりません。それは、

 ・南米・インカの人たちは、病気や障がいのある人が、とても大切な存在だということを知っていた。

 ・昔の人は、まわりにある「もの」も「こと」も「ひと」も、すべてその人に必要だから、そこに「ある」ということを知っていました。

などです。科学的に立証しなければ納得できないのではなく、本当のことを知っていれば、そこに区別や差別は存在せず、そこにあること自体が大きな意味を持つ。このことを納得できるか否かが、人の成長にとってはトリガーになると思います。そして、宇宙をつらぬく「本当のこと」は健常者ではなく、障がい者が原初的に持っているものであり、我々は彼らから謙虚に学ぶべきなのですね。そういう意味では山元加津子先生は通訳者なんでしょうね。

『1/4(よんぶんのいち)の奇跡 「強者」を救う「弱者」の話』(山元加津子・柳澤桂子・四方哲也・新原豊共著 マキノ出版、本体価格952円)

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本所おけら長屋 第一巻

2016-03-22 17:03:46 | 

  著者の畠山健二先生が本日ご来店してくださいました! PHP文庫『本所おけら長屋』の第六巻発売のタイミングでお越しいただき、非常に感激しております。

  江戸の長屋話だけにあって、「笑い」「人情」が付き物。現代のコミュニティに最も欠けている点だけに、感動もひたひたと押し寄せてきます。初っ端のその壱「だいくま」はまさしく落語のネタ、サゲも笑える新作になると思います。その弐「かんおけ」からその七「ふんどし」までは人情噺ですね。

  そして、そこかしこに胸打つ言葉が散りばめられています。生きる力を与えてくれます。

 「先のことを考えてしまっては何にもできなくなります。まさに武士の世界がそうでした。素晴らしいではありませんか。先のことなど考えずに行動する。真実はそこにあるのではないかと。」

 「人の運命とは摩訶不思議なものですね。どこに生まれてくるかで、まったく異なる人生を歩まなければならない。武士の世界だってそうじゃありませんか。私や清水さんのように家禄も高くない家に生まれれば、出世するなどまず無理です。だからといって、生まれる家を選ぶことはできない。その人の人生を歩むしかないのです。(中略)運命を変えることはできませんが、人生を変えることができるはずです。自分が決断して行動する結果こそが運命なのですから。」

 「あの長屋の人たちにとって、一番大切なものとは何でしょうか。」「それは……、です。(中略)弱い者たちは、人とつながっていなければ生きていけませんから。」

 先生との別れ際での会話で、「うちの店名も『本所おけら長屋』にありますからね、井戸。」お後がよろしいようで。

『本所おけら長屋』(畠山健二著、PHP文庫、本体価格619円)

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しないことリスト

2016-03-08 15:36:19 | 

  スマホが身近になってから、情報過多も甚だしい。テレビ、ラジオ、新聞でも通販の広告がやかましいぐらいに「買え!」コールをしている。コンビニのポスターに「春の土用の丑の日は4月25日」と掲示され、それでなくても希少価値になっているウナギが可哀想に思える。企業側は提案しているだけでしょうが、これだけ多いとなんだか命令されている気になってくる。なんだかなぁと思っていた時に読んだのが『しないことリスト』。

  初っ端から、明確に書かれています。

1.他人や世間の評価で行動を決めるのではなく、自分なりの価値観を持つ

2.他人や世間のペースに無理に付いていこうとせず、自分のペースを把握する

 物事を決める基準が自分にないために、情報の洪水に流されるままなんでしょうね。現実を非常識に眺めるためにも、本書の36のしないことリストを一つでも実行すると日常のストレスから解放されるでしょう。

  私が注目したのはしないことリスト29の「何かのためにしない」という項目。例えば、「知識が増えるために本を読むのではなく、本を読むこと自体を楽しむ」と幸福感が増すでしょう。趣味の世界ではこういうことは多々ありますが、実生活では「何のために」を考えてしまいます。いまここを楽しむ意識を持ちましょう!

『しないことリスト』(pha[ファ]、大和書房、本体価格1200円)

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弱虫でもいいんだよ

2016-03-01 17:42:23 | 

 人間は2元論にとらわれています。「便利」と「不便」なら「便利」を選び、「早い」と「遅い」なら「早い」が良いと思っています。しかし、本当にこれでいいのだろうか?今回は「強い」と「弱い」で2元論立脚がいいのかどうか考えています。

 自然界では「弱肉強食」として、「強い」ものが「弱い」ものを食する食物連鎖のフレームから、強くなければならない、弱いと餌食になる可能性があるとしています。しかし、食べられる存在がなければ自然界は成立せず、食物連鎖のトップは脆い存在となります。つまり、

 「強い生き物が生き残る」のではなく、「生き残ったものが強い」

としています。生物は「他の生物と少しずつ生息環境をずらしながら、自分の居場所を確保している」わけです。

 この「強弱」の2元論から抜け出す手立てとして、

 1.弱い者の視点に立つ  2.違いの大切さに注目する  3.すべては依存しながら生きている

ことを念頭に置くことを提案しています。小粒でもピリリと辛い存在になれば、好んでいただけるやもしれません。弱くても、その存在意義を示し、なくてはならないものにならなければなりません。

『弱くてもいいんだよ』(辻信一著、ちくまプリマー新書、本体価格840円)

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