あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

なぜ生まれてきたのか 新井満の幸福論

2013-12-23 15:01:30 | 

 新井満さんと言えば、『千の風になって』で一躍有名になりましたが、マルチの才能の持ち主ですよ。1988年に『尋ね人の時間』で芥川賞を受賞するだけでなく、作詞作曲、写真家、そして、長野冬季オリンピック開閉会式イメージ監督など、さだまさしクラスの人です。

 この本は、新井満さんが今まで出版してきた本から編集された名文集です。お母さんが助産師だったことから生まれることの意味を知り、18歳の時に急性十二指腸潰瘍で死ぬ一歩手前までなる経験を経て語られる言葉は非常にわかりやすく、ずしりと肚に落ちてきます。

 「どんな赤ちゃんにも、役割があってさ・・・。」「お前もこの世に生を受けたからには、何か役割があったから生まれてきたんだろう? 自分の役割が何なのか、それを考えなさい。」という母の言葉、そして、

 「生きている。それだけで、ありがたい。」という幸福論の原点、

さらには、「あなたは、いのちのつみかさなりのはてに生まれてきた奇蹟のような存在なのだから、その奇蹟に感謝し、次に、なぜ自分がこの世に生まれてきたのか?その理由を考えよう。それは、役割があったからにほかならない。」

とここまで悟れば、人生、儲けものです。

 いのちの奇蹟を受け継いだなら、「自分の為でなく、自分以外の人々の為に、いったい何ができるのか。」を励めば、周りの人たちを含めて幸せに包まれることでしょう。』(新井満著、海竜社、定価1,000円[税込])

 

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人類哲学へ

2013-12-17 17:03:34 | 

  皆さん、福島第一原発事故以降、生き方、考え方は変わりましたでしょうか?節電だけはしっかりやっている、自然エネルギーを始めたという人もいることでしょう。さて、この本では2011年以降の哲学の明確な方向性を指し示すことを目的としています。

 ヘレニズム、ギリシャ、ローマ、そして、西洋の哲学の進んできた道は人間中心主義で、大きく発展させた科学の力を借りて、自然に対峙してきました。特に、デカルトは世界を、「全く無機的な生命のない」ものとして表現しています。そこには「右肩上がり」の仕組みが存在し、それに乗り込むと幸せを感じることができます。しかし、現実は貧富の格差が広がり、雇用もできず、幸福感を感じれずにいる人々が増産されています。そして、自立の生き方ができず、依存することでしか生存できません。

 そこで、日本発信の哲学を梅原猛先生は探求し、「草木国土悉皆成仏」こそが21世紀を救える哲学として発表しています。日本の1万年続いた狩猟採集文化の縄文時代の自然観、一神教に対するアニミズム、天照大神を祀る日本神道の太陽崇拝、江戸時代の物質循環思想などを考えると、天台密教から日本仏教の根本思想である「草木国土悉皆成仏」に行き当たりました。これは、

 「生きているものの生命の豊かさを礼賛し、同時に畏怖も感じる」

考え方です。これを哲学の基層に置けば、自ずといかに生きていくべきかは明白です。自然(生命)との有機的な連関こそ第一義に考える、これが最大のベクトルになるはずです。

 この考え方に立脚して、デジタル社会を考察すると、「無機的」で、「生命のない」感を抱き、、リアル社会がますます「無」に落ち着くように思えてなりません。

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「いいね!」が社会を破壊する

2013-12-16 06:41:47 | 

   著者の楡周平氏は世界的優良企業のフィルムメーカー・コダックに勤めていましたが、デジタルカメラの出現でコダックは消滅しました。デジタルの影響をもろに受けた人にとっては、デジタルの破棄力の凄まじさは身に染みており、2章では本と電子書籍について書いています。アマゾンが中小書店を駆逐し、大型書店にも大きな楔を打ち込み、リアル書店が彼らのショールームに化していく。

 デジタルは無駄を徹底的に排除し、ビジネスを動かす人さえも無駄と見なしていく。つまり、雇用を壊滅させる毒がデジタルだと言う。この流れは止められるのか?

 この本を読んでいると薄ら寒いビジネス社会の未来図に思えてきますが、そこには人の気配が感じられず、もちろん感情の通っている場面さえ存在しません。しかし、現実には人があってのビジネスであること、そして、より早く、より便利の追求は幸せを生む予知さえないことがわかります。

  人は無駄を楽しむことで気持ち良く生きていけるし、人との出会いも効率ばかりではないだろう。子どもの頃に寄り道をして、新しい発見や知識を得て成長したことこそ、人生の必然だと思いたい。(楡周平著、 新潮新書、定価777円[税込]) 

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「板宿子ども論語塾」2周年

2013-12-08 11:40:36 | 書店

本日は今年最後の「板宿子ども論語塾」でした。30人を超える子どもたちと大人が集いました。

海津くんが先月の復習を二題行い、

崇先生が『子貢問君子、子曰、先行其言、而後従之。 』を講義しました。言葉を発する前に行動を先にしなければなりませんよと教えてくれました。

田中先生は『子曰、辭達而已矣。』を開陳。「辞」、言葉の大切さを強調しました。

その後の、みかた先生による「板宿子ども漢字塾」では、論語でよく出てくる漢字、『仁』『義』『知』『智』『信』『禮』について解説をしてくれました。

そして、今日のメインイベントは

論語塾2周年のお祝いをしました。本当なら先月が2周年でしたが、そのことは忘却の彼方に行ってまして、ちょっぴり早いクリスマスと一緒に行いました。

「みんな、孔先生に感謝の気持ちを伝えてから、食べましょう!」

子どもたちは嬉しい顔で一杯。気分良く帰って行きました。次回は2014年1月12日(日)午前9時開講です。

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No.1リーダーを支える英断の言葉

2013-12-07 16:34:58 | 

 リーダーに読まれる本のように思われますが、生きている人みんなが読むべき本ですね。もちろん、仕事に携わる人はモチベーションをより上げるエキスの言葉が詰まっています。メンタルトレーナー、イメージトレーナーのパイオニアの西田文郎哲学の厳選50の中で、一つずつ日々実践できればいいのではないでしょうか。

 その中から、私が納得の言葉は次の通りです。

 「脳は、自分が抱いたイメージを実現しようと全力で働く。」

 「成功は『才能』ではなく、『習慣』である。」

 「人を動かしたければ、まず心を揺さぶれ。」

 「ビジネスの本質は、『他人を喜ばせる』ことにある。」

 「ウソでもいい、感謝した者勝ち。」

 記憶して、無意識のうちに体が言葉のように動いていれば幸せ間違いなしです。

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生命のきずな

2013-12-05 17:45:21 | 

 大学進学に目的意志を明確にもって望みたいが、はっきり決めることができずに悩む、私立高校に通う3年生の手紙に対する返事として、『生命のきずな』(大田尭著、偕成社、定価1,260円[税込])は書かれています。手紙には、

 終戦後に与えられた民主主義の中の、管理社会システムのなかでなんとなく生きてきた、大人たちを目標としたい子どもたち。しかし、その大人の背中が小さく見えるために、将来に希望が持てない。この世の中をどう見ていけばいいのか?

と相談が書かれています。

 返信として、著者の大田 尭さんは、自分自身の戦時中の軍隊生活、そして、戦後に東京大学文学部で教育学を研究する経験を述べられたうえで、

 今の社会を、人と人のきずな-大田先生はこれを「生命(いのち)のきずな」と言われています-を煩わしく思い、お金と便利を追い求める、「もの」社会、もしくは無機的社会である。

 しかしながら、阪神淡路大震災ではライフラインの復旧が叫ばれたが、本当のライフラインは人の生命(いのち)と生命とのつながり、きずな、また人と自然とのそれこそがライフラインである。

 人間観で大切なのは、「一人ひとりはちがうのだという事実をまず認めたうえで、ちがいはちがいなりに、それぞれユニークな役割を持ちながら支え合っている」ということ。

 今ある事実を受け入れて、選んで前に進むこと、絶望ではなく、希望をもって道をひらく可能性が、誰にでもその人なりに、必ずそなわっている。

とA君に綴っています。この本が書かれた1998年よりもさらに無機的な要素は充満しています。子どもたちの将来に希望を待たせるためにも、人と人、そして人と自然のつながりを再創造することが大人の役割でしょう。

 

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100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

2013-12-02 17:17:42 | 

 人間生きているうえで、守っていることはどの人にも必ずあるはずです。例えば、「クツをそろえる」だとか、「あいさつはこちらからする」など、あなたにもあるでしょう。それを100項目列挙してみようというのがこの本の趣旨です。

 松浦弥太郎は雑誌『暮らしの手帖』編集長であり、古書店『COW BOOKS』代表で、文筆活動もされています。松浦さんの基本の中で共鳴したものをいくつか紹介します。

 「幸せとは、人と深くつながること。絆を深めること。」

 「それで人は幸せになるのかと考える。」

 「愛するとは相手を生かすこと。愛し合うとは生かし合うこと。」

 「自分の基本の更新を常に行う。」

 自分のなかでの基本はもっとありますが、共鳴した項目はより大切にしたいと思いました。

 また、COW BOOKSの10周年を記念して、COW BOOKSの100の基本も書かれています。古書店とは言え、本を売る場所としては同じで、これも胸にグサリと突き刺さる基本がありました。

 「自分の働き方をお客様に見てもらう気持ちで働く。」

 「今までなかったものを生み出す。」

 「仕事の目的は、本を売ることではなく、お客様に喜んでもらうこととする。」

 「COW BOOKSに行ってよかったとお客様に思ってもらうことに尽くす。」

 「どうしたらお客様に心地よく、長く滞在していただけるかを考える。」

 「何事も想像力を働かせ、よく考える。」

 書くと簡単ですが、実行して初めて意味ある基本。みなさんも問い直してみましょう!(
松浦弥太郎著、マガジンハウス、定価1,575円[税込])

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