あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

人間は政治家になると堕落する。(人間の心理構造その24)

2023-05-27 13:41:34 | 思想
人間は、政治権力を握ると、必ず、堕落する。それを助長しているのは大衆である。大衆が、政治権力の内実や政治家の実態に迫ることなく、好みの政党や政治家に期待するから、政治権力者は好き放題のことを行うのである。人間には誰しも支配欲があり、大衆は自分に代わる政治家に期待するから、政治権力を握った者は自分は何をやっても許されると思い、支配欲を発揮して、自我の欲望のままに行動するのである。大衆が、政治権力の内実や政治家の実態を批判的に見ようとしない限り、政治権力を握った者は、自我の欲望のままに、傲慢不遜に行動をするのである。大衆が、統一教会と一心同体の自民党と政教分離を果たしていない公明党の連立政権を支持しているから、岸田首相は膨大な予算を軍備増強に充てたのである。大衆が、国政選挙で、自民党・公明党の連立政権を大勝ちさせたから、安倍晋三元首相は、強行採決によってアメリカに自衛隊を差し出す集団的自衛権をもたらし、森友学園・加計学園・桜を見る会などで不正を行い、菅義偉は元首相は、息子が官僚接待という不正を行ったのである。「人間の不幸な運命は、わがままに生まれてきながら、わがままに生きられず、他者に合わせなければ生きていけないところにある。」と思想家の吉本隆明は言う。わがままに生きるとは、自我の欲望のままに、行動することである。自我の欲望の中には、他者を支配したいという欲望がある。他者に合わせて生きるとは、他者の評価を気にして行動することである。つまり、人間には、自分の思い通りに支配したい欲望があるが、他者の批判が気になるから、他者に合わせて行動するのである。だから、思い切り楽しめず、心から喜べないのである。だから、大衆が批判しない限り、政治権力者は好き放題のことを行うのである。大衆が批判しない限り、政治権力者の自我の欲望は果てしなく広がり、戦争をももいともたやすく行ってしまうのである。大衆が政治権力の内実や政治家の実態を批判的に見ようとせず好みによって支持している限り、政治権力者の国民に対する支配欲はを発揮することはとどまることは無いのである。ニーチェに「権力への意志」という思想がある。それは、他者の視線を自らのものとして、他者に自らの存在を見せつけようという意志である。他者からの好評価・高評価を糧にしていっそう強く生きようとするのである。そこには、現状に留まり、反省しようという意志は存在しない。また、ニーチェに「永劫回帰」という思想がある。それは、全ては永遠に同じことを繰り返すという意味である。そこには、「英雄は英雄的行動を繰り返して向上を続け、大衆は大衆を繰り返していっそう卑賤になる」と考えが基礎にある。もちろん、政治家も英雄ではない。地位は政治家だが、意識は大衆である。ニーチェの思想は政治家と大衆の関係を解き明かしている。つまり、大衆が政治家を崇拝すればするほど、政治家は増長し、国民への支配を強めていくのである。