おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

バロン

2024-06-28 05:49:11 | 映画
「バロン」 1989年 アメリカ


監督 テリー・ギリアム
出演 ジョン・ネヴィル サラ・ポーリー
   エリック・アイドル オリヴァー・リード
   ジョナサン・プライス ロビン・ウィリアムズ
   ユマ・サーマン ヴァレンティナ・コルテーゼ

ストーリー
18世紀後半、ドイツはトルコ軍の攻撃に晒されていた。
指揮官のホレィシオ・ジャクソン参謀長は、自分の命令に逆らう部下を次々と処分していた。
廃墟の中に建つ劇場では、ヘンリー・ソルト一座による『ミュンヒハウゼン男爵の冒険』が興行されていたが、突然本物のバロンを名乗る老人が乱入。
彼は、今回の戦争の原因は自分にあると主張し、そのいきさつを語りだした。
老人が回想していたところにトルコ軍の砲撃が始まり、劇場にも直撃する。
老人は負傷するが、一座の娘であるサリーに救われる。
物語の続きを聞きたがるサリーだが、砲撃を再び始めたトルコ軍に老人は反撃を決意。
ヘンリーから嘘つき扱いされる老人だが、一座の女優に頼られた老人は町を救うと宣言。
援軍を呼ぶべく、熱気球で町から脱出したバロンだったが、気球には密かにサリーも乗っていた。
2人はバートホールドのいる月へと向かい、20年前に幽閉されたきり記憶喪失となっていたバートホールドを連れ出して月を脱出する。
月を脱出した一行はエトナ火山の火口に落下して、剣から核兵器まであらゆる武器を製造しているバルカンのもてなしを受け、メイドとして働いていたアルブレヒトと再会。
しかし、バロンはバルカンの妻ヴィーナスとのダンスに夢中になって街のことを忘れてしまう・・・。
果たしてバロンとその家来達、そしてサリーは町を救い出すことができるのか?


寸評
ほら吹き男爵が語る話がホラなのか本当の出来事なのか混とんとしてくるファンタジー映画なのだが、ファンタジー映画であるからには楽しくなくてはならない。
しかしこの作品、金をかけている割には楽しくないし面白くない。
ホラ男爵の話を上演している舞台に、ホラ男爵本人がやってくるまではいいのだが、そこからの展開は自己満足に過ぎないような場面が延々と続く。
僕などは途中で眠気を催してしまった。
こんなデタラメな映画がこんなにも大規模なセットで大金をかけて撮られたと言う事がファンタジーである。
キャラクターはそれなりの魅力を持っているのだが、気に入ったのは羽を持った死に神くらいだった。
バロンには4人の家来がいる。
俊足のバートホールド、射撃の名手アドルファス、驚異的な肺活量を持つ小人グスタヴァス、怪力の持ち主アルブレヒトである。
バロンはエジプト旅行の帰途でサルタンから勧められたワインよりも美味しいトカイワインを持参する賭けを行う。
ワインを取りに行くのは俊足のバートホールドで、すごい勢いで走っていくがウサギとカメのウサギよろしく油断したのか途中で眠ってしまう。
その目を覚まさせるのが、遠くが見渡せる射撃の名手のアドルファスで、とんでもない距離の所にある木の下で眠りこけるバートホールドに銃弾を撃ち込んでたたき起こす。
再び走り出したバートホールドは約束の時間を計る砂時計の最後の一粒が落ちる直前に到着する。
掛けに勝ったバロンは約束通り、持てるだけの財宝を貰うことになる。
力持ちの大男であるアルブレヒトは財宝の総てを持ち上げて運んでしまう。
怒ったサルタンが襲ってくるが、グスタヴァスが噴き出す息で撃退する。
それぞれの得意技を要領よく描いているのだが、バカバカしすぎて笑えないし騒がしすぎると感じる。

バロンは子供みたいな爺さんで、基本的には肌がしわくちゃな爺さんなのだが、途中で肌がつやつやして少し若返ったりして、年寄りと若返りを繰り返している。
どうやら、自信をなくしたり傷心したりするとしわが目立つ老人となり、逆に自信を取り戻したり気持ちが高揚してくると若返っているらしいのだが、そのような細かい配慮もよくよく注していないと気が付かない。
なぜなら少々飽きがきてぼんやりと眺めているだけになってしまっているからだ。
僕は最後がどうなったのかすら覚えていない。
印象の少ない作品だがボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」よろしく登場してくるユマ・サーマンだけが脳裏に残った。
僕は本作以外にテリー・ギリアムの作品を見ていないのだが、テリー・ギリアムは2018年に「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」という作品を撮っている。
どうもこの人自身をドン・キホーテに感じてしまう。
大金をつぎ込みながら制作費を回収することはできなかった作品だが、当時の最先端を行く特撮を使ってこれだけ好き勝手に作った作品があったということで記録されるかもしれない。
稀有な作品である。


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