猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

大空のサムライ。

2009年04月19日 05時45分02秒 | つぶやき

 

ここのところ、ずっと空を飛んでいた。

飛行機乗りの気持ちになって、
南の空を、零式戦闘機と。

 

はじめに断っておくが、私はここで戦争に関する論争をする気はさらさらない。
戦争を美化する気もまったくない。
ただ、この本について書きたかっただけだ。
だから、主旨を理解されていないコメントがあれば削除させていただく。

 

こういったことを書くと、
『お前は戦争賛美者か』とか、すぐに言い出す人がいそうで怖いけど、
そうではなくって。

ある、飛行機乗りの空戦記録を読みながら、
ただひたすら、一緒に空を飛んでいたのだ。

一度飛ぶたびに死を覚悟した若者たちの。

けれど悲壮感はない、不思議な透明さとともに、
中国大陸から台南へ。

そこからさらに、どんどん南下して.....

ニューギニア、ラバウル、ガダルカナル。

そこで重傷を負い、内地へ帰り、
そして.....

再び飛び立ち、硫黄島まで。

 

『紅の豚』でポルコが言う、「飛ばない豚はただの豚だ」の本当の意味が、
この本を読んで、少しだけわかった気がする。
ちなみにポルコが見せる飛行テクニック『捻り込み』は、
この本の著者、坂井さんの得意技でもあった。

 

筆者が体験した空戦の数々の、克明な記録を読みながら。

そこにただ、何か純粋に引き込まれずにはいられなかった。

もちろん、戦争は悪で、殺し合いには違いないのだが。

そこには、飛行機乗りであった彼らの、
その澄んだ思いというのか.....

それが感じられて。

現代に生きる我々に、
ただ国のためを思って、命をかけて戦った彼らを、
どうこう言うことなど出来ない。

 

私の表現力では、とてもこの本についてうまく書くことが出来ないが。
興味のある方は、こちらの方が書かれたものを読んで下さればと思う。
この方が語る、「ロジェ・カイヨワのいうイリンクス」が、
戦争の記録に対しての言葉に相応しくないのがわかっていても...
この本を表すのに、やはりふさわしいような気がする。
これは、読んだ人にしかわからない。

 

黒いジャングルの上を飛び、
美しい空と海に散ってゆく仲間を見ながら.....

それでも悲しむ間もなく、
明日も出撃しなければならない彼らは。

けれども、悲壮感は背負っておらず、
地上にあれば陽気に笑い、
空戦場にあれば、敵に敵愾心を燃やしながらも、
同じ飛行機乗りとして敬意をはらい.....

運良く地上に戻れれば、束の間の休息をとり、
また、出撃してゆく。

本のタイトルである、『サムライ』とは、
著者である、『撃墜王』坂井氏のことではなく、
味方、敵も含めた、
大空に散っていった勇敢な飛行機乗りたちのことだそうだ。

 

「空中での戦闘では、人はぶじに生還するか、
そうでなければ還ってこないかのいずれかなのだ」
この本を読むことは、還ってこなかった方々を知ることでもあると思う。
それこそ、敵も味方もなく。

 

勝手に戦争を始め、
大した計画も立てずに人を捨て駒のように動かした、
お偉い人たちとはまったく別の。

大空を、
『愛機』と、戦友と共に戦い抜いた、
男たちの記録がそこにはある。


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