ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

陸自のクーデター?

2017-07-30 10:20:37 | 日記
おもしろい記事を読んだ。サイト「JBPRESS」に掲載された記事で、「陸
自の「クーデター」を許すな 安倍首相と稲田大臣は民主主義の防波堤」と
いうタイトルが付けられている。7月28日の配信で、筆者は部谷 直亮氏。
タイトルだけでもおおよその内容は分かるが、以下の冒頭の文章を読めば、
主張はさらにはっきりする。

稲田朋美防衛大臣が連続する防衛省内部からのリークによって揺さぶら
れ、ついには安倍政権の屋台骨まで揺るがされる事態になっている。リー
ク元は陸自幹部との説が濃厚だが、これは、まさしく“クーデター”である。

陸自が「クーデター」の手段として用いたのは、銃弾ならぬ「リーク」作
戦だという。どういうことか。本ブログでも取りあげたように、稲田防衛
相が出席したある幹部会議で、PKO部隊の日報の、その電子データが陸自
内で見つかったことが報告され、この件への対応策が話し合われた。デー
タが見つかったことは非公表にしよう、という決定がなされ、この会議は
終了した。

にもかかわらず、のちに稲田大臣は、「陸自内でデータが見つかったとい
う報告を受けていたのか」と民進党議員から問われ、「報告はされなかっ
た」と答弁したのである。彼女は、自身が非公表を了承したかどうかにつ
いても、「ご指摘のような事実はない」とコメントして、窮地に立たされ
た。この幹部会議云々は、陸自のリークによるものだが、陸自の話がホン
トなら、稲田大臣は嘘をついているか、会議中に居眠りをしていたかのど
ちらかだということになる。いずれにしても彼女は、防衛大臣の職には不
適格だというわけである。

JBPRESSの説が正しければ、稲田大臣は罠に掛かったことになるが、陸自
が罠を仕掛けることができたのは、稲田大臣が「日報は存在しない」、
「日報の電子データが見つかったことは、知らなかった」と言い張ること
を、陸自側が知っていたからにほかならない。

陸自側は、稲田大臣がそのように言い張ることを、なぜ承知していたの
か。それは、「日報は破棄されて、存在しない」と主張することが、安倍
総理の指令に基づくものであり、陸自側はそのことをよく知っていたから
である。日報に記載されていたジュバでの「戦闘」云々の文言は、安保法
に基づくPKO駆け付け警護の、その新任務付与条件に抵触する。そのため
安倍内閣は、日報を無いものにする必要に迫られ、その旨を陸自にも防衛
大臣にも伝えたのである。

こうした経緯を踏まえれば、「日報の電子データが見つかった」とする陸
自の報告は、安倍内閣の方針に逆らうものであり、陸自による「クーデ
ター」の矛先は稲田大臣個人にというより、安倍内閣全体に向けられたも
のであることが分かる。

陸自が、軍が、政治に口をさしはさみ、政治を左右しようとするこうした
陸自のもくろみを、JBPRESSの記事の筆者は、あってはならないこと、許
されないことだと断じている。戦前の5.15事件や2.28事件に象徴される
軍国主義の暗い記憶を、そこに読み取ったのだろう。

でも、政治の側が誤っていたとしたら、どうなのか。誤った政治を正そう
とする行為は、正当化されるべきではないのか。JBPRESSの記事の筆者
は、しかし、このことをも否定する。それは「国民」を錦の御旗にした独
り善がりの振舞いだという点で、戦前の青年将校たちの行動とすこしも変
わらないというのである。

でも、何が正しくて、何が誤っているかは、だれが判断するのだろう。何
が独り善がりで、何がそうでないかは、だれが判断するのだろう。

それは「国民」だ、というのが民主主義者の答えである。安倍政権は民主
的な選挙という正統な手続きによって選ばれた政権だから、潰してはなら
ない、というのでは、あまりにも単純すぎる考え方のように私には思え
る。

「PKOの派遣先は非戦闘地域だから、安全で大丈夫」と言われて送り出さ
れたのに、送り出された先は明日の命をも知れぬ激戦地だった、というの
では、送り出された自衛隊の若者たちはやりきれないだろうなあ、と考え
てしまうんだよね。



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