ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

『原爆裁判』を書いたのはだれか

2024-07-04 10:54:29 | 日記
不思議に思っていることがある。きのう本ブログで取り上げた本『原爆裁判ーーアメリカの大罪を裁いた三淵嘉子』の著者である「山我浩」なる人物の正体が、全く不明なのである。

ふつう著書には「著者略歴」が記されているものだが、この本にはそれがない。興味に誘われてネットの森を検索してみたが、これもムダだった。

この本は、朝日新聞に広告がでかでかと載り、私はそれによってこの本の所在を知ったのだが、それほどの本の著者ならその経歴がWikipedia に収録されているのが普通だろう。ーーそう思ってWikipedia に当たってみたが、ここにも見つからなかった。

一体なぜなのだ???
ストリップショーと同じで、隠されればそれだけ知りたくなるのが人情というもの。私は、この「山我浩」なる人物が故意に自分の正体を隠しているとしか思えなかった。とすれば、これは何のためなのか。

私は、この本の中の一節を思い出した。次の件(くだり)である。

同船(第五福竜丸)は寄港までの二週間、SOS(救難信号)を発しないまま、自力で航海を続けたという。これは、乗組員には兵士や水兵だった者が多く、第五福竜丸の安全海域での被ばくという事実を隠蔽するため米軍から撃沈されることを恐れていたためである、ともいわれている。」(100頁)

これと同じで、山我氏は、「自分はアメリカの諜報機関によって消されるのではないか」と、マジで恐れているのかもしれない。この本は「アメリカの大罪」を糾弾した本であり、露骨に「反米」の立場を打ちだしている。反米思想を喧伝したために、粛清された日本人が何人もいることを、きっと山我氏は知っているのだろう。

私は、山我氏がこの本のサブタイトルにNHK朝ドラの主人公のモデルとされる「三淵嘉子」の名を持ち出したホントの理由が分かったと思った。「三淵嘉子」は「(羊頭狗肉の)羊頭」の役割を果たすために、あるいは「客寄せパンダ」の役割を果たすために使われたのではなく、この本の反米思想をカモフラージュするための煙幕として使われたのではないか。

ネットの森をうろついていて、一つ判ったことがある。
山我氏は5年前の2019年に一冊の本『安藤百福物語』を刊行している。これは日清食品創業者・安藤百福の評伝らしいが、この本には以下のような「著者略歴」が記されている。

東京都生まれ。1969年明治大学文学部卒業後、出版社山手書房入社。編集長としてベストセラーを次々に手掛けた。現在は独立し、幅広いジャンルで執筆活動を続けている。

この本は反米思想とは無縁の本だから、山我氏も安心して自分の正体を明かしたのだろう。
この経歴からすると、山我氏は私より5歳ほど年上だろうから、学生時代にどこかのセクトの活動家として反政府運動に関わったのかもしれない。反米思想のルーツも、たぶんそのあたりにあるのだろう。

こんなことを書いているうちに、私の中に別の興味が湧いてきた。NHKは朝ドラ「虎に翼」で、主人公が関わった「原爆裁判」をどう描き出すのだろうか。広島、長崎への原爆投下という「アメリカの大罪」を、どう描き出すのだろうか。

今や日本の「同盟国」となったアメさん。そのアメさんにしっぽを振る岸田政権。NHKはその岸田政権の姿勢と、どう折り合いをつけるのだろうか。朝ドラを見る楽しみが一つ増えたな、ーーそう思ったけさの天邪鬼爺である。

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