ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

証人喚問 祭りのあとのポスト真実

2017-03-24 17:22:27 | 日記
最近はボケたせいか、日本語の言葉の意味が理解できなくなってきた。
たとえば「侮辱」とは、どういう意味の言葉なのだろう。自民党の竹下
亘国対委員長が、森友学園の籠池理事長の国会招致を検討する考えを明
らかにした。籠池氏が安倍首相側から100万円の寄付を受けたと発言し
たことを受け、「これは総理に対する侮辱だ。(籠池氏に直接)たださ
なきゃいけない」と述べたというのだ。

「安倍首相から100万円の寄付を受けた」と言ったことが、なぜ「総理
に対する侮辱」に当たるのか?竹下氏の発言をテレビのニュースで知っ
た時、私は唖然としてしまった。「侮辱」とは、どういう意味の言葉な
のだろう?電子辞書で調べてみると、「侮辱」とは、「あなどり、はず
かしめること」とある。今風の言い方をすれば、「ディスる」というこ
とだろう。籠池氏の発言は、なぜ安倍首相をディスったことになるの
か。「総理の寄付にしては、金額があまりに少なすぎる。総理がケチで
あるように印象操作を行った。けしからん!」ということなのだろうか。
そうでないとしたら、「総理が彼ら極右の軍国主義者連中とつるんでい
るように印象操作を行った。けしからん!総理が親しくしているのは、
そういうアナクロのおかしな連中ではない」ということなのだろうか。

また、国会招致の目的も、私にはイマイチ理解できない。竹下氏が言っ
た「ただす」とは、どういう意味なのか。「ただす」とは、ふつうは
「質問する」という意味だが、ここでは「改めさせる」つまり「発言を
撤回させる」という意味でつかわれているように思える。あるいは、
「ホントにそういう印象操作の意図があったのか?」と籠池氏を厳しく
追及し、精神的苦痛を与えて、懲罰的な意味で彼を懲らしめる、という
ニュアンスも込められているように思える。

ともあれ、籠池氏は参考人としてではなく、(偽証罪を伴う)証人とし
て国会に喚問された。長時間、尋問の席に立たされた籠池氏は、苦痛を
感じる風もなく、むしろ飄々と、この場を楽しんでいるようにさえ見え
た。

案の定、真実は明らかにならなかった。寄付金の授受は密室での二人だ
けのやり取りであり、領収書などの物証も残されていないから、「寄付
金の授受があった」とする籠池氏の主張が真実であるかどうかは、判別
のしようがない。安倍首相サイドの狙い通りの展開になったわけだが、
質疑に応じる籠池氏は、堂々とした態度で、とても虚偽を述べているよ
うには、私には見えなかった。

これでは分が悪い、と見たためだろう、安倍首相サイドはさっそく明恵
夫人の名前で反論のコメントを出したが、この余計な反撃は、かえって
安倍首相サイドの旗色を悪くした感がある。具体的に見てみよう。コメ
ントは次の文章で始まっている。「私は、籠池さんに100万円の寄付金
をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません。」
これは明恵夫人の主張を端的に述べたものだが、この主張を具体的に裏
付け補強するはずの続きの文章が、なんともあやふやなのである。「私
は、講演などの際に、秘書に席を外してほしいというようなことは言い
ませんし、そのようなことは行いません」と明恵夫人は述べている。で
は、(寄付金の授受があったとされる)肝心の当日はどうだったのか。
当日も、それまでと同様、そのようなことは行わなかったのか。「この
日も、そのようなことを行っていない旨、秘書2名にも確認しました」
と明恵夫人は言う。あれれ?「行っていない」ではなく、「行っていな
い旨、秘書に確認した」というのが、夫人の回答なのである。「秘書に
確認した」ことがホントであるかどうか、ということになれば、これは
内輪話と同じで、仲間内での口裏合わせによってどうにでもなることで
ある。そんな言い草が事実の真偽を判定する客観的な証拠になり得ない
ことは、火を見るよりも明らかである。

今は「ポスト真実の時代」であると言われる。虚偽が「もう一つの真実」
として、公然とまかり通る。アメリカのトランプ政権がこの風潮に火
をつけたが、安倍首相もこのアメリカ流のやり口を真似たわけではない
だろう。明恵夫人のコメントを代筆した官邸のライターは、「私が言っ
ていることは、事実ではありません。もう一つの真実です」と言いたい
ようだ。こんな言い訳がどこまで通用するのか、それも見物である。
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