ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ウソのようなホントの話と、ホントのようなウソの話

2024-09-02 15:56:06 | 日記
デマは恐ろしい。情報化社会の現代では、それはまたたく間にSNSで拡散され、ホントの情報と見分けがつかないものになる。いたずら心で何気なくSNSに投稿したニセの情報が、当人の与り知らぬうちにあれよあれよと猛スピードで世の中に拡散され、思わぬ結果を引き起こす。「風が吹けば桶屋が・・・」ではないが、いたずら心が大規模な暴動を引き起こすこともあるのだ。

断るまでもないが、これは嘘八百の与太話ではなく、イギリスで実際にあった出来事である。

私はこの話をNHKのニュースサイトで知った。「国民の皆様の公共放送・NHK」だから、嘘八百の偽情報をばら撒くようなことはしないだろう。今の時代では、ニュース・ソースを確かめることも欠かせない。以下はNHKが発信元の、ホントの情報である。

7月下旬からイギリスで広がり、1000人以上が逮捕された暴動。
その引き金となったのは、3人の少女が殺害された事件の容疑者が『イスラム教徒の移民だ』などとする偽情報でした。

(NHK NEWS WEB 8月31日配信 )

どういうことか。
発端は「イギリス中部の街、サウスポートで子どものダンス教室に、近くに住む17歳の少年が押し入り、持っていたナイフで次々と人を刺した事件」だった。少年は駆けつけた警察官にその場で逮捕されたが、子ども3人が死亡したほか、大人と子ども合わせて10人が重軽傷を負ったという。
イギリスの公共放送BBCによると、逮捕された少年は、両親がアフリカのルワンダ出身であるものの、本人はイギリス西部ウェールズのカーディフ生まれだった。

ところがである。事件発生からおよそ2時間後、容疑者は「イスラム教徒の移民とされている」などとする偽情報がX(旧ツイッター)に投稿された。この投稿は8月29日までの1か月間に680万回以上見られ、1万4000回以上リポストされている。

それだけではない。さらに「不法移民が6人の少女を刺した」などとする偽情報の投稿も広がり、これまでに1500万回以上閲覧された。このアカウントのフォロワーは1000万以上だという。
影響力を持つインフルエンサーによって偽情報が広く拡散されたのだ。

話はそれだけでは終わらない。その結果、事件の翌日から各地で政府の移民政策などへの抗議活動が行われ、一部の参加者がモスクにレンガを投げ込んだり、警察官に暴力をふるったりするなどして暴動へと発展した。暴動は26都市まで拡大し、これまでに1200人以上が逮捕される事態になっているという。

なぜこんなことになったのか。キーワードは「不法移民」だと私は思う。「不法移民」のレッテルを貼られた人は、「こいつは俺たちの社会の異物だ!」と名指されたに等しい。人体が異物の侵入を防ごうとするように、人の集合からなる共同体、つまり社会も異物の侵入を防ごうとする。

この異物が殺人犯だと知ったとき、社会は挙(こぞ)って「やっぱり!いわんこっちゃない。こいつは俺たちの敵なのだ、即刻排除せよ!」と怒りの声をあげ、これまで不法移民を放置してきた行政当局に、激しい怒りをぶつけることになる。「不法移民」のレッテルをばら撒くSNSは、異物を排除しようとする社会の生理を刺激し、こうして暴動発生のトリガーになるのである。

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