ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

朝ドラ「虎に翼」雑感

2024-08-30 14:45:58 | 日記
人は生きていく上で様々な問題に直面する。たとえば配偶者の死。これはややもすれば生じる深刻な問題である。配偶者が死亡したあとで、夫が後添いをもらう。これもよくあるケースである。後添いを家庭に迎え入れたために、先妻との間にできた子どもたちとの間で不和が生じる。これもありがちな問題ではある。

けさ見た朝ドラ「虎に翼」は、この問題を取り上げていた。この種の問題は、このドラマでこれまで描かれたLGBTの問題や夫婦別姓の問題、また、これから取り上げられる予定の戦争の問題(原爆問題)に比べれば、やや毛色の違った問題である。LGBTや夫婦別姓の問題、戦争の問題が社会の問題であるのに対して、家庭内の不和の問題はどちらかといえば個人的な問題である。

けさの朝ドラは見ていてけだるい感じがしたが、社会的な問題のほうが個人的な問題よりも大事だ、などと言うつもりはない。個人的な問題も、個人にとっては(重大な決断を迫られる)シリアスな問題であり、多かれ少なかれだれもが直面するという意味では、普遍的ですらある。

社会的な問題は新聞の社会面やテレビのワイドショーなどで取り上げられることの多い問題だが、個人的な問題は小説などの文芸作品やテレビドラマなどで取り上げられることの多いテーマである。

NHKの朝ドラ「虎に翼」は、これら二つの傾向の問題をどちらも追求しようとした(欲張りな)ドラマであるため、見る側の関心の度合いによって異なった色彩を帯びてくる。
社会問題に関心のある人から見れば、このドラマは個人や家庭の問題ばかり取り上げ、なかなか社会問題に切りこもうとしないまだるっこしい作品に見えるだろう。
逆に個人的な問題に関心を持ち、社会的な問題にさほど関心を持たない人からすれば、このドラマは個人的な問題を掘り下げようとしない底の浅い作品に見えるに違いない。
二兎を追う欲張りな作品は、結局、虻蜂取らずに終わり、社会派にも文芸派にも満足できない作品になりがちだ。

さて、きょう放映された予告編によれば、朝ドラはいよいよ「原爆裁判」にたどり着き、佳境に入る。二兎を追ってきたこのドラマがこの大きな社会問題にどう切り込むのか、面白くなってきた。

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