ロシアがウクライナに侵攻して1年がたち、ロシア軍は今、ウクライナ軍の激しい抵抗に遭っている。ロシアとウクライナとのこの激闘は、東西冷戦に起因する一つの(過渡的な)形だということができる。プーチンはウクライナを自陣に引き入れることで、自国の勢力範囲を、旧ソ連の版図と同程度にまで盛り返そうとしたのだと、そう見ることができるからである。
だが、この事態をこのように「東−西」という観点から見るだけでは、必ずしも理解できない国際社会の現実がある。たとえば次のような報道を、我々はどのように見るべきだろうか。
「ロシアのウクライナ侵攻を受けて今年2~3月に開かれた国連総会緊急特別会合では、ロシアを非難する二つの決議の採決で、アフリカの多くの国が『棄権』や『不参加』を選択した。4月7日の国連人権理事会におけるロシアの理事国資格停止の決議の採決でも、同様の現象が起きた。」
(朝日GLOBE+ 2022.5.20)
「ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、国連総会(193カ国)の場でロシアの国際的孤立を際立たせようとする試みが続いている。
ウクライナは24日の侵攻1年に合わせ、新たな総会決議案を提案。多くの国の支持を得て採択することで、ロシアへの外交的圧力を改めて示し、和平実現への弾みにしたい考えだ。(中略)
ただ、過去の総会決議採択では、アフリカやアジアの途上国を中心に35カ国以上が棄権した。」
(JIJI,COM 2月14日配信)
我々日本人は西側諸国の人々と同様、今回の事態を「東−西」の観点から理解しがちだが、この観点からすれば、侵略者のロシアは圧倒的な悪玉であり、「正義」を重視する国際社会では、ロシアはひたすら孤立を深めるだけのように見える。
ところがそうはならず、ロシアを非難する側に立とうとしない国がいくつも存在するという国際社会の現実がある。これをどう見るべきなのか。
ここには、硬直した西欧流の「正義」観にはとらわれない、明らかに別種の立場がある。必要なのは、事態を「東−西」の観点だけからでなく、「南−北」の観点からも見る多面的で柔軟な、ものの見方ではないか。端的にいえば、「グローバルサウス」と呼ばれる、アフリカやアジアなど発展途上国の人々の利害関心も、我々は射程に入れて考えるべきだろう。
貧困に苦しむアフリカの人々は、これまで西側の先進国から何の恩恵も受けなかった。西側先進国は、アフリカの人々の苦しみなど歯牙にもかけなかったのだ。今はロシアが一国でも多く自陣に引き入れようと、これらの国々を積極的に支援している現状がある。
これらの国々にとっては、ロシアこそ「正義」の実行者のように映るに違いない。「正義」は唯一絶対のものではなく、利害関心に基づくこうした現実を土壌にして生い育つものだということ、このことを忘れないでおこう。
だが、この事態をこのように「東−西」という観点から見るだけでは、必ずしも理解できない国際社会の現実がある。たとえば次のような報道を、我々はどのように見るべきだろうか。
「ロシアのウクライナ侵攻を受けて今年2~3月に開かれた国連総会緊急特別会合では、ロシアを非難する二つの決議の採決で、アフリカの多くの国が『棄権』や『不参加』を選択した。4月7日の国連人権理事会におけるロシアの理事国資格停止の決議の採決でも、同様の現象が起きた。」
(朝日GLOBE+ 2022.5.20)
「ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、国連総会(193カ国)の場でロシアの国際的孤立を際立たせようとする試みが続いている。
ウクライナは24日の侵攻1年に合わせ、新たな総会決議案を提案。多くの国の支持を得て採択することで、ロシアへの外交的圧力を改めて示し、和平実現への弾みにしたい考えだ。(中略)
ただ、過去の総会決議採択では、アフリカやアジアの途上国を中心に35カ国以上が棄権した。」
(JIJI,COM 2月14日配信)
我々日本人は西側諸国の人々と同様、今回の事態を「東−西」の観点から理解しがちだが、この観点からすれば、侵略者のロシアは圧倒的な悪玉であり、「正義」を重視する国際社会では、ロシアはひたすら孤立を深めるだけのように見える。
ところがそうはならず、ロシアを非難する側に立とうとしない国がいくつも存在するという国際社会の現実がある。これをどう見るべきなのか。
ここには、硬直した西欧流の「正義」観にはとらわれない、明らかに別種の立場がある。必要なのは、事態を「東−西」の観点だけからでなく、「南−北」の観点からも見る多面的で柔軟な、ものの見方ではないか。端的にいえば、「グローバルサウス」と呼ばれる、アフリカやアジアなど発展途上国の人々の利害関心も、我々は射程に入れて考えるべきだろう。
貧困に苦しむアフリカの人々は、これまで西側の先進国から何の恩恵も受けなかった。西側先進国は、アフリカの人々の苦しみなど歯牙にもかけなかったのだ。今はロシアが一国でも多く自陣に引き入れようと、これらの国々を積極的に支援している現状がある。
これらの国々にとっては、ロシアこそ「正義」の実行者のように映るに違いない。「正義」は唯一絶対のものではなく、利害関心に基づくこうした現実を土壌にして生い育つものだということ、このことを忘れないでおこう。
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