ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

妖怪コロナのルアー効果

2020-12-12 12:42:31 | 日記
疑心暗鬼、魑魅魍魎のルアー効果。ガサゴソと藪を動く黒犬が獰猛なクマに見える。道に横たわる茶色のヒモがリアルな蝮(まむし)に見える。スーパーの店内で咳込めば、コロナ患者と疑われ、露骨な迷惑顔で睨まれる。

先日、デイサからの送迎の連絡を待っていたが、10分待っても私のスマホは無音のままで、着信音を鳴らさない。「もしや・・・」と思ってデイサに電話を掛けたら、「あ、ずっとお休みかと思っていました」との返事だった。

やはり、そうだったか・・・。その1週間前に、私はデイサに電話を掛け、「コロナが怖いので、きょうは外出を自粛して、お休みします」と言ったのだったが、この私の連絡がスタッフの勘違いを誘ったことは明らかだった。私は「きょう(だけ)は」のつもりでそう言ったのだが、これを聴いたスタッフは「きょうから当分は(お休みをする)」と受けとったのである。そう受けとっても仕方がないほど、先週のわがT市のコロナ感染状況は猖獗を極めていた。妖怪コロナの魔の手が「1日(だけ)の出勤見合わせ」を「今後当分の出勤見合わせ」に思わせた、これは明らかなルアー効果である。

そんなこんなで、デイサの送迎車がわが家に到着したのはいつもより30分ほど遅かった。2週間ぶりに顔をだすと、デイサのテーブルは1人分ごとにアクリル板の間仕切で区切られ、全体の雰囲気がすっかり様変わりしている。

全体の雰囲気が変わると、スタッフの姿も違って見える。トレーナーのB子さんの姿がなぜか急に大人びたように見えた。私はふと最近読んだ三島由紀夫の小説『鍵のかかる部屋』の一節を思い起こした。そこには「自分の容貌にひどく自信のない女の子と懇意になった」という文章が書かれていた。この表現に出会ったとき、私は、「うん、これだ!」と、思わず膝を打ったのである。

トレーナーのB子さんはいつもマスクを外さず、自分の顔を見せようとしない奇妙な女の子だった。「なぜだろう?」彼女が自分の顔を見せようとしない理由が、私は気にかかっていた。そのことについて、以前私は本ブログでこう書いたことがある。
「彼女がマスクを外さず、自分の素顔を見せようとしないのは、自分をブスだと思っているからだろう。」

こんなふうに書きながら、書いた私は、「でも、ちょっと違うなあ」と、何かしっくりしないものを感じていた。それが、三島の文章を読んで、「そうだ、これだ!」と、腑に落ちた思いがしたのである。悪戦苦闘していたジグソーパズルの、その最後の1ピースが見つかったときのように、実にすっきりした気分だった。

最近は妖怪コロナの攻撃も弱まったようで、わがT市の新規感染者は1日あたり2〜3人で推移している。これが最近だけの小休止なのか、当分続く中休止なのか、私にはわからない。いずれにせよ、全国の感染状況を見る限り、完全終息にはまだ程遠い状況のように思える。スガ首相がこれほどGO TO トラベルに執着するのは、一体なぜなのだろう。GO TO トラベルが、彼には美味しいご馳走に見えるのだろう。三島が生きていたら、このアホ首相の判断を、彼はどう表現しただろうか。
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