おはようございます。
えー、月曜日の朝ということですが、今日も寒いですねー。
まあ、12月ですから、仕方ないんですけど、寒さに弱い僕は、ちょっとやられてますねー。
と、言いながら、今週と来週は、忘年会のハイ・シーズン・・・今日も飲み会です。
いやあ、がんばりますかー。美味しいもの食べて、楽しくおしゃべりをして、気分よく、いい時間を過ごしてきましょう。
一年分のがんばりを、楽しい時間に変えて・・・今年もがんばってきましたからねー。
風邪引かないように、気をつけながら、笑顔笑顔で、楽しんできましょう。
さて、最近、「僕がサイクリストになった、いくつかの理由」をお休みしていますが、
ちょっとこのところ、物理的に書く時間がとれなくて・・・ストックがだいぶ減ってしまって・・・。
それで、書き溜めの時間を取るために少しお休みしているんですね。まあ、年末で、忙しいのが、だいぶ来てて・・・。
ストーリーに関しては、最終回まで、すでに構想済みなので、あとは、書けばいいだけですから・・・そこは心配しないでください。
むしろ、物理的に忙しすぎて時間がとれない・・・それだけの話なので、時間がとれ始めれば、また、再開したいと思います。
で、その間・・・今週は、その代わりと言ってはなんですが、あの始まりの相手・・・多部エイコちゃんとの別れから、このお話は始まっているんですが、
その多部エイコちゃんとの、恋のはじまりを・・・外伝的に書いてみようか・・・それもおもしろいかなと思って、書くことにしました。
まあ、小説というより、実際にあった話を、なんとなく、書いてみる・・・そういったスタイルで、今週5回に分けて・・・まあ、楽しんで貰えれば、と思います。
まあ、僕の若い頃の恋愛をクロニクル的に・・・そういえば、僕の大学4年時の、相田さんとの恋の失敗も書きましたから・・・その次の恋愛ということになりますねー。
そんな話を始めてみたいと思いますー。
時間軸的には、美雪ちゃんが僕のシーンから消え、研究室の同期、相田さんにフラれて最悪のイブを過ごした、
次の年・・・そこの恋バナになりますねー。
僕はマスター1年になっていて、まあ、だいたいマスター1年というのは、卒論や修論がないぶん、少しは楽だなんて言われますが、
僕はギリギリ絞られて、さらに授業もありますからねー。
マスター2年の分の授業もとっちゃえ!ということで、相当忙しくて、しかも、その年の3月に学会で発表したのに、
8月にも発表しろと命令され・・・夏はお盆休みが3日とれただけで、あとは、すべて仕事でした・・・。
そんな8月の最終週の週末・・・土曜日になんとか、目鼻がつき、次の日曜日はその夏初めてお休みがとれたんですね。
僕はうれしくて研究室の同期と、吉祥寺に飲みに行き・・・この頃はなにかあると吉祥寺に飲みに行ってましたねー。
気持ちよく酔って帰ってきて・・・その年、僕は武蔵小金井から東小金井に引っ越していました。
だから、東小金井駅が最寄り駅だったんですけど、友人は、そこから帰っていき・・・この時なぜか僕は、
東小金井駅前にあるモスバーガーに、
「シメはモスだな」
と、ひとりで寄ったんですね。
これが、すべての始まりだったんです。あとから考えれば・・・。
僕がモスでモスバーガーを食べていると、そこになんと、4年生で忙しいはずの美術部の後輩、仮名直江くんが現れたんですね。
そして、
「鈴木さん、ひさしぶりじゃないですか・・・僕もこの夏、明日だけ休みがとれたんですけど・・・今、美術部は渋谷で学芸大と合同展をやっているんですけど・・・」
「一緒に行きませんか!」
と、誘ってきたんですねー。
もちろん、予定なんてあるはずもない僕は二つ返事でオーケーし、次の日、東小金井駅で待ち合わせして、渋谷に向かうわけです。
当時の東邦生命ビル・・・今は何ビルかは知りませんが、実はそのビルの上の方に「料理の鉄人」のフレンチの巨匠、坂井シェフの「ラ・ロシェル」という店があって、
6,7年後に、その店で仮名瀬名くんの結婚式が開かれて、僕が司会することになるんですけど、また、それは別の話ですねー。
なんか運命を感じるビルですが・・・そこの5階にあるイベントスペースで、農工大と学芸大の合同展をやっていたんですねー。
僕は直江とそこに入って行くと、まず、受付があるんですが2人座っている女性を僕は全く知らずに・・・直江は知っていたみたいで、
「あ、部長は奥にいますから・・・」
と、説明を受け、奥に行くと、顔見知りの3年生の部長がいたんですね。
ま、名前忘れちゃいましたけどね。
その部長は僕が来たことに、えらく感動してくれて・・・。
3人来ていた一年生の女の子達に僕を紹介してくれるわけです。
「鈴木さんは、国公立では、それはそれは有名なひとなんだよ。すごいひとなんだ」
なんて言われても、女の子達は知りませんから、いまひとつ反応が悪かったことを覚えています。
まあ、国公立というのは、美術部の学連組織で・・・当時、東京の国公立大学は、1年に一回、合同で上野の森美術館で、
12月に合同展を開いていたので、横のつながりが、強かったんですね。
毎年、いろいろなイベントがあって・・・まあ、飲み会が主でしたけど・・・それで、お互い展覧会などがあると、
顔を出したり・・・けっこう仲がよかったわけです。
僕はとりわけ・・・農工大に鈴木あり・・・なんて当時言われていたりしましたねー。
さて、僕はその時、受付に座っているひとりの女性に注目していました。
まあ、端的に言うと、美しかったんですね。
その時、僕が思ったことを正確に覚えています。
「この子綺麗だなあ・・・でも、こういう子は、だいたい彼氏がいるんだよなー」
まあ、今考えれば、こういうことを考えている、ということは、
「俺、この子に彼氏がいなければ、つきあいたいなー」
と、考えていたってことになりますよねー。
まあ、その僕の心を知ってか知らずか、部長の奴が、その受け付けの女性に僕を紹介してくれて、
「彼女、多部さんって言うんですけど、彼女の作品も出品されてんですよ」
と、振ってくれたので、僕は彼女の作品をわざわざ見に行ったわけです。
まあ、興味津々だったんですね。
彼女の作品は、半分具象、半分抽象的で、その頃僕が描いていた作品の傾向にドンピシャでした。
僕は自分の作品に似ていることに少し驚き、彼女に説明を求めると、僕の目指している方向性とだいぶ重なることがわかりました。
僕は少し興奮したんですけれど、そのあたりから、国公立の他校の人間が来始めたんですね。
まあ、電通大とか、当時の水産大とか、商船大とか、外語大とか東大とか、ですけど・・・皆、お偉いさんは、僕のことをよーく知っている人間だったんですね。
だから、
「あれー、鈴木さんじゃないですか!お久しぶりです。もう、会えるなんて思わなかったから!」
なーんて、その大学の偉い人間がいたく感動するもんだから、若いメンバー達は、
「どうもあのひとはすごいらしい」
という理解の仕方をするわけですよ。
まあ、すべての大学がそんな反応をするもんだから、受付の二人の女性も、
「なんか、あのひとは、すごいらしい」
と、理解してくれたようで・・・部長が小さい声で、
「鈴木さん、女の子達が尊敬の目で見てますよ」
とか言ってくれて・・・まあ、その時、初めて、国公立やっててよかったなーと思いましたけどね。
その後、お昼になり、学芸大のメンバーが交代の為に来てくれて・・・その人間にも、
「鈴木さんじゃないですかー!」
なんて言われる始末で、やたら感動されて、ちょっと嬉しかったりしてね。
「じゃあ、今日は気分がいいから、女の子には、お昼おごっちゃおう!」
と言ったら、女の子達は喜んでくれて・・・つったって3人ですから、まあ、それくらいはね。
で、一階にあったイタリアンで、お昼を食べて帰ることに・・・。
直江は別件で用事があるとかで、少し早めに帰って・・・僕もお昼を食べながら、
少しおしゃべりを楽しんでから、皆が食べ終わると、お会計をして、
「じゃ、帰るから!」
と、言い残して、ビルを出ました。
そしたら・・・10秒も歩かないうちに、
「鈴木さーん!」
という言葉が響いて、そっちを見ると、その綺麗な多部さんという女性が必死に走ってくる・・・。
僕は今でも覚えていますが、その瞬間、僕は恋に落ちました。その女性に・・・。
身長は僕より高く167センチ。すらりとした肢体は、健康的で、今で言えば、剛力彩芽ちゃん風のボーイッシュで色白の端正な表情の女性でした。
彼女は自分で服をデザインして作ったりしていましたが、これがいいデザインのワンピースを作ったりするんですねー。
そして、これがまた、超似合うわけで、僕がワンピースが似合う女性を好きになるようになった、キッカケです。この女性が。
まあ、この女性は後にその美貌が認められて、舞台女優になってしまうわけですから・・・僕の目も狂いがなかった、ということになります。
まあ、美雪ちゃんで鍛えられた審美眼ですからねー。
というか、僕は恋をしたかったんでしょうね。
というのも、その前がつらすぎた・・・。
その年の5月の連休あたり、僕らは研究室の同期で、マスターに残った人間達で、メンバーの部屋で飲んだりしたわけです。
当時は、一日の仕事が終わる、夜の12時頃から、朝の6時頃にかけて飲むのが普通でしたから・・・まあ、朝近くになったりすると、雑魚寝してたりするわけですよ。
その時、マスターに残ったのは、男3人で、女性2人。つまり、4年で出ていったのは、女性ひとりだけだったわけです。
で、気がついたら、朝方、飲んでいるのは、僕と相田さんの二人・・・あとは、皆寝ちゃってたんですね。
まあ、僕も現実を受け入れ、なんとか自分をなだめていた頃ですから・・・それでも心に傷は負っているわけです。
でもねー。この相田という女が、その僕の心の傷に、さらに大量の塩を塗りこむようなことをするわけですよ。もうねー。
「鈴木くん。セックスって、どうやってするものなの?」
こんなセリフをいきなり繰り出してくるわけですから・・・いくらなんでも、つらすぎるでしょう。
まあ、100歩ひいて、女性というのは切羽詰まると周りのことがまったく見えなくなる・・・そういうものだ、とわかっていても、
その質問だけは、しちゃいけないんじゃないですかねー。
かつて、自分に恋して、傷ついた男性に・・・。
まあ、僕も知らないわけじゃないですから・・・やっぱり、好きな女には、やさしくしてやりたかったんでしょうね。
「まずは、二人共裸になるところから、はじまるんじゃないかな」
って、真面目に答えてあげてね・・・まあ、多分、彼女には僕くらいしか、聞ける相手がいなかった・・・まあ、冷静に考えてそういう結論に達していたんですけど、
もちろん、そんな質問、誰にでも聞けるわけではないですから・・・それだけ信頼は厚かったんでしょうね。
彼女の僕に対する信頼は・・・まあ、女性としては、恥ずかしい質問だしねー。
それにしても、ねー。
その僕の言葉を聞いた彼女は、
「裸になるのか・・・」
と、真面目な表情でつぶやいて・・・僕は相当落ち込みましたね・・・もう、落ち込まなくてもいいのに・・・。
ね。傷に大量の塩でしょ(笑)・・・そんな目に会っているわけですから、早くその呪縛から抜け出たい・・・そう思っていたんです。僕は。
そんな時に、運命的に、僕の好みにド・ストライクのすらりと身長の高い、色白の超美人に出会った・・・それが大学1年生でも、僕がマスター1年生でも、
その時の僕には関係ありませんでした。
そして、僕は次の瞬間から、策士になるんです。
彼女は、当時、府中にある、農学部キャンパスの目の前に住んでましたから、渋谷で別れましたけど、
僕は渋谷から井の頭線に乗りながら、次の一手を考えていました。
そして、新たな手を考えつくと、ニヤリと笑ったのでした。
うーん、一回で終わらなかったかー。
ま、次に続けときましょうか。
ま、2,3回で終わるようにしまーす。
それにしても、懐かしいですね。
なにしろ、僕がマスター1年生の頃の話ですからね。
遠い遠い昔の話・・・でも、恋の話は、書いていて素直に楽しめます。
自分なりにがんばっていた、あの頃・・・まあ、楽しかったですよ。
でも、若い頃の恋の話は・・・けっこう今につながっていたりしますから。
なかなか、勉強になったりします。
そんなことを思いながら、明日につなげましょう。
今日も寒くなりそうですが、風邪を引かないように、忘年会、楽しんできましょう。
その前に、仕事仕事。あー忙しい。
ではでは。
→「僕がサイクリストになった、いくつかの理由」第一回(エイコとの別れのシーン)へ。
えー、月曜日の朝ということですが、今日も寒いですねー。
まあ、12月ですから、仕方ないんですけど、寒さに弱い僕は、ちょっとやられてますねー。
と、言いながら、今週と来週は、忘年会のハイ・シーズン・・・今日も飲み会です。
いやあ、がんばりますかー。美味しいもの食べて、楽しくおしゃべりをして、気分よく、いい時間を過ごしてきましょう。
一年分のがんばりを、楽しい時間に変えて・・・今年もがんばってきましたからねー。
風邪引かないように、気をつけながら、笑顔笑顔で、楽しんできましょう。
さて、最近、「僕がサイクリストになった、いくつかの理由」をお休みしていますが、
ちょっとこのところ、物理的に書く時間がとれなくて・・・ストックがだいぶ減ってしまって・・・。
それで、書き溜めの時間を取るために少しお休みしているんですね。まあ、年末で、忙しいのが、だいぶ来てて・・・。
ストーリーに関しては、最終回まで、すでに構想済みなので、あとは、書けばいいだけですから・・・そこは心配しないでください。
むしろ、物理的に忙しすぎて時間がとれない・・・それだけの話なので、時間がとれ始めれば、また、再開したいと思います。
で、その間・・・今週は、その代わりと言ってはなんですが、あの始まりの相手・・・多部エイコちゃんとの別れから、このお話は始まっているんですが、
その多部エイコちゃんとの、恋のはじまりを・・・外伝的に書いてみようか・・・それもおもしろいかなと思って、書くことにしました。
まあ、小説というより、実際にあった話を、なんとなく、書いてみる・・・そういったスタイルで、今週5回に分けて・・・まあ、楽しんで貰えれば、と思います。
まあ、僕の若い頃の恋愛をクロニクル的に・・・そういえば、僕の大学4年時の、相田さんとの恋の失敗も書きましたから・・・その次の恋愛ということになりますねー。
そんな話を始めてみたいと思いますー。
時間軸的には、美雪ちゃんが僕のシーンから消え、研究室の同期、相田さんにフラれて最悪のイブを過ごした、
次の年・・・そこの恋バナになりますねー。
僕はマスター1年になっていて、まあ、だいたいマスター1年というのは、卒論や修論がないぶん、少しは楽だなんて言われますが、
僕はギリギリ絞られて、さらに授業もありますからねー。
マスター2年の分の授業もとっちゃえ!ということで、相当忙しくて、しかも、その年の3月に学会で発表したのに、
8月にも発表しろと命令され・・・夏はお盆休みが3日とれただけで、あとは、すべて仕事でした・・・。
そんな8月の最終週の週末・・・土曜日になんとか、目鼻がつき、次の日曜日はその夏初めてお休みがとれたんですね。
僕はうれしくて研究室の同期と、吉祥寺に飲みに行き・・・この頃はなにかあると吉祥寺に飲みに行ってましたねー。
気持ちよく酔って帰ってきて・・・その年、僕は武蔵小金井から東小金井に引っ越していました。
だから、東小金井駅が最寄り駅だったんですけど、友人は、そこから帰っていき・・・この時なぜか僕は、
東小金井駅前にあるモスバーガーに、
「シメはモスだな」
と、ひとりで寄ったんですね。
これが、すべての始まりだったんです。あとから考えれば・・・。
僕がモスでモスバーガーを食べていると、そこになんと、4年生で忙しいはずの美術部の後輩、仮名直江くんが現れたんですね。
そして、
「鈴木さん、ひさしぶりじゃないですか・・・僕もこの夏、明日だけ休みがとれたんですけど・・・今、美術部は渋谷で学芸大と合同展をやっているんですけど・・・」
「一緒に行きませんか!」
と、誘ってきたんですねー。
もちろん、予定なんてあるはずもない僕は二つ返事でオーケーし、次の日、東小金井駅で待ち合わせして、渋谷に向かうわけです。
当時の東邦生命ビル・・・今は何ビルかは知りませんが、実はそのビルの上の方に「料理の鉄人」のフレンチの巨匠、坂井シェフの「ラ・ロシェル」という店があって、
6,7年後に、その店で仮名瀬名くんの結婚式が開かれて、僕が司会することになるんですけど、また、それは別の話ですねー。
なんか運命を感じるビルですが・・・そこの5階にあるイベントスペースで、農工大と学芸大の合同展をやっていたんですねー。
僕は直江とそこに入って行くと、まず、受付があるんですが2人座っている女性を僕は全く知らずに・・・直江は知っていたみたいで、
「あ、部長は奥にいますから・・・」
と、説明を受け、奥に行くと、顔見知りの3年生の部長がいたんですね。
ま、名前忘れちゃいましたけどね。
その部長は僕が来たことに、えらく感動してくれて・・・。
3人来ていた一年生の女の子達に僕を紹介してくれるわけです。
「鈴木さんは、国公立では、それはそれは有名なひとなんだよ。すごいひとなんだ」
なんて言われても、女の子達は知りませんから、いまひとつ反応が悪かったことを覚えています。
まあ、国公立というのは、美術部の学連組織で・・・当時、東京の国公立大学は、1年に一回、合同で上野の森美術館で、
12月に合同展を開いていたので、横のつながりが、強かったんですね。
毎年、いろいろなイベントがあって・・・まあ、飲み会が主でしたけど・・・それで、お互い展覧会などがあると、
顔を出したり・・・けっこう仲がよかったわけです。
僕はとりわけ・・・農工大に鈴木あり・・・なんて当時言われていたりしましたねー。
さて、僕はその時、受付に座っているひとりの女性に注目していました。
まあ、端的に言うと、美しかったんですね。
その時、僕が思ったことを正確に覚えています。
「この子綺麗だなあ・・・でも、こういう子は、だいたい彼氏がいるんだよなー」
まあ、今考えれば、こういうことを考えている、ということは、
「俺、この子に彼氏がいなければ、つきあいたいなー」
と、考えていたってことになりますよねー。
まあ、その僕の心を知ってか知らずか、部長の奴が、その受け付けの女性に僕を紹介してくれて、
「彼女、多部さんって言うんですけど、彼女の作品も出品されてんですよ」
と、振ってくれたので、僕は彼女の作品をわざわざ見に行ったわけです。
まあ、興味津々だったんですね。
彼女の作品は、半分具象、半分抽象的で、その頃僕が描いていた作品の傾向にドンピシャでした。
僕は自分の作品に似ていることに少し驚き、彼女に説明を求めると、僕の目指している方向性とだいぶ重なることがわかりました。
僕は少し興奮したんですけれど、そのあたりから、国公立の他校の人間が来始めたんですね。
まあ、電通大とか、当時の水産大とか、商船大とか、外語大とか東大とか、ですけど・・・皆、お偉いさんは、僕のことをよーく知っている人間だったんですね。
だから、
「あれー、鈴木さんじゃないですか!お久しぶりです。もう、会えるなんて思わなかったから!」
なーんて、その大学の偉い人間がいたく感動するもんだから、若いメンバー達は、
「どうもあのひとはすごいらしい」
という理解の仕方をするわけですよ。
まあ、すべての大学がそんな反応をするもんだから、受付の二人の女性も、
「なんか、あのひとは、すごいらしい」
と、理解してくれたようで・・・部長が小さい声で、
「鈴木さん、女の子達が尊敬の目で見てますよ」
とか言ってくれて・・・まあ、その時、初めて、国公立やっててよかったなーと思いましたけどね。
その後、お昼になり、学芸大のメンバーが交代の為に来てくれて・・・その人間にも、
「鈴木さんじゃないですかー!」
なんて言われる始末で、やたら感動されて、ちょっと嬉しかったりしてね。
「じゃあ、今日は気分がいいから、女の子には、お昼おごっちゃおう!」
と言ったら、女の子達は喜んでくれて・・・つったって3人ですから、まあ、それくらいはね。
で、一階にあったイタリアンで、お昼を食べて帰ることに・・・。
直江は別件で用事があるとかで、少し早めに帰って・・・僕もお昼を食べながら、
少しおしゃべりを楽しんでから、皆が食べ終わると、お会計をして、
「じゃ、帰るから!」
と、言い残して、ビルを出ました。
そしたら・・・10秒も歩かないうちに、
「鈴木さーん!」
という言葉が響いて、そっちを見ると、その綺麗な多部さんという女性が必死に走ってくる・・・。
僕は今でも覚えていますが、その瞬間、僕は恋に落ちました。その女性に・・・。
身長は僕より高く167センチ。すらりとした肢体は、健康的で、今で言えば、剛力彩芽ちゃん風のボーイッシュで色白の端正な表情の女性でした。
彼女は自分で服をデザインして作ったりしていましたが、これがいいデザインのワンピースを作ったりするんですねー。
そして、これがまた、超似合うわけで、僕がワンピースが似合う女性を好きになるようになった、キッカケです。この女性が。
まあ、この女性は後にその美貌が認められて、舞台女優になってしまうわけですから・・・僕の目も狂いがなかった、ということになります。
まあ、美雪ちゃんで鍛えられた審美眼ですからねー。
というか、僕は恋をしたかったんでしょうね。
というのも、その前がつらすぎた・・・。
その年の5月の連休あたり、僕らは研究室の同期で、マスターに残った人間達で、メンバーの部屋で飲んだりしたわけです。
当時は、一日の仕事が終わる、夜の12時頃から、朝の6時頃にかけて飲むのが普通でしたから・・・まあ、朝近くになったりすると、雑魚寝してたりするわけですよ。
その時、マスターに残ったのは、男3人で、女性2人。つまり、4年で出ていったのは、女性ひとりだけだったわけです。
で、気がついたら、朝方、飲んでいるのは、僕と相田さんの二人・・・あとは、皆寝ちゃってたんですね。
まあ、僕も現実を受け入れ、なんとか自分をなだめていた頃ですから・・・それでも心に傷は負っているわけです。
でもねー。この相田という女が、その僕の心の傷に、さらに大量の塩を塗りこむようなことをするわけですよ。もうねー。
「鈴木くん。セックスって、どうやってするものなの?」
こんなセリフをいきなり繰り出してくるわけですから・・・いくらなんでも、つらすぎるでしょう。
まあ、100歩ひいて、女性というのは切羽詰まると周りのことがまったく見えなくなる・・・そういうものだ、とわかっていても、
その質問だけは、しちゃいけないんじゃないですかねー。
かつて、自分に恋して、傷ついた男性に・・・。
まあ、僕も知らないわけじゃないですから・・・やっぱり、好きな女には、やさしくしてやりたかったんでしょうね。
「まずは、二人共裸になるところから、はじまるんじゃないかな」
って、真面目に答えてあげてね・・・まあ、多分、彼女には僕くらいしか、聞ける相手がいなかった・・・まあ、冷静に考えてそういう結論に達していたんですけど、
もちろん、そんな質問、誰にでも聞けるわけではないですから・・・それだけ信頼は厚かったんでしょうね。
彼女の僕に対する信頼は・・・まあ、女性としては、恥ずかしい質問だしねー。
それにしても、ねー。
その僕の言葉を聞いた彼女は、
「裸になるのか・・・」
と、真面目な表情でつぶやいて・・・僕は相当落ち込みましたね・・・もう、落ち込まなくてもいいのに・・・。
ね。傷に大量の塩でしょ(笑)・・・そんな目に会っているわけですから、早くその呪縛から抜け出たい・・・そう思っていたんです。僕は。
そんな時に、運命的に、僕の好みにド・ストライクのすらりと身長の高い、色白の超美人に出会った・・・それが大学1年生でも、僕がマスター1年生でも、
その時の僕には関係ありませんでした。
そして、僕は次の瞬間から、策士になるんです。
彼女は、当時、府中にある、農学部キャンパスの目の前に住んでましたから、渋谷で別れましたけど、
僕は渋谷から井の頭線に乗りながら、次の一手を考えていました。
そして、新たな手を考えつくと、ニヤリと笑ったのでした。
うーん、一回で終わらなかったかー。
ま、次に続けときましょうか。
ま、2,3回で終わるようにしまーす。
それにしても、懐かしいですね。
なにしろ、僕がマスター1年生の頃の話ですからね。
遠い遠い昔の話・・・でも、恋の話は、書いていて素直に楽しめます。
自分なりにがんばっていた、あの頃・・・まあ、楽しかったですよ。
でも、若い頃の恋の話は・・・けっこう今につながっていたりしますから。
なかなか、勉強になったりします。
そんなことを思いながら、明日につなげましょう。
今日も寒くなりそうですが、風邪を引かないように、忘年会、楽しんできましょう。
その前に、仕事仕事。あー忙しい。
ではでは。
→「僕がサイクリストになった、いくつかの理由」第一回(エイコとの別れのシーン)へ。