関東大震災後の東京。自宅を男達に襲われた少年は、リボルバーを持つ小曾根百合という女性に助けられる事になる。少年が持つ秘密は日本陸軍が喉から手が出る程欲しいものだったようで、追ってくる彼らに、洋装に断髪というまるで絵にかいたような大正時代のモダンガールである百合が対峙するのだ。
第一次世界大戦後の不況、そして関東大震災からの復興途中という時代背景。資金難に打開策を探したい軍部の思惑。大正ロマンと大正デモクラシーを背景に(♪ラメちゃんったら ギッチョンチョンで パイのパイのパイ パリコとバナナで フライ フライ フライ♪♪という東京節が流れる中)引退した伝説の諜報部員である百合が秘密を胸に秘め、数だけみれば勝ち目がない戦いにドレスを身につけ、手にしたリボルバーだけで挑む。
綺麗な姿で戦いに挑むというのは彼女の理念の表れらしいのだが、どうみてもリアリティはゼロだ。演じる綾瀬はるかは非常に綺麗に撮られているのだが、彼女の演じる役柄にフォーカスされている感じがない。アクションシーンにスピード感は少なく、更にリアリティは遠ざかる。
百合を助けるシシド・カフカと古川琴音という女性3人のチームワーク、百合を助ける海軍出身の弁護士を演じる長谷川博己。ストーリーが思いのほかシンプルなので、百合を巡る人々とのバディ感を醸し出す時間的余裕もたっぷりあったと思うのだが、それも案外あっさりとしたものだ。
とにかく、銃弾が飛び交う中に果敢に切り込み、弾があたっても倒れない百合。リボルバー・リリーというタイトル通り、綾瀬はるか演じる百合の一挙手一投足にフォーカスした映画だ。
******
ジェシーが非常に情けない陸軍軍人を演じている。ステレオタイプな役柄設定にも関わらず、自ら見せ場を作っていると思うのだが、なんとなく演出から置いてきぼりな感じが否めない。