脚本家としてキャリアをスタートしたクエンティン・タランティーノの足跡を時系列で追っていくドキュメンタリー。
作品の復習と合わせて、出演俳優たちだからこそ語る事が出来るエピソードの数々。トゥルー・ロマンスでは自分で演出したくとも資金的な問題からかなわなかった事。レザボア・ドッグスの黒のスーツは俳優たちの自前だったことや、スーツに見える黒い洋服で代用されていた事。キル・ビルでユマ・サーマンのスタントをこなしたゾーイ・ベルへの演出と、一流のスタントマンである彼女に俳優としてかけた言葉。長い間傍で彼の活躍を見ていたマイケル・マドセンの言葉と、彼とハーヴェィ・ワインスタインとの関係を理解する手がかりになるエピソードの数々。
映画好きとしては、101分の至福の時だ。
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出演者がカットがかかる度にカメラに向かって口にする言葉「ハーイ、サリー!」。その場にいなくとも映画に欠かせない編集という仕事を担うサリーの存在を大事にし、その思いを一緒に仕事をするメンバー全員に共有しようとするタランティーノの思い。「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」との邦題がついているが、何よりも彼が映画を愛しているというエピソードだと思う。
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ジャッキー・ブラウンやキル・ビルを見返したくなる。