厳しい家業の状況を幼い頃から見て育ち、そんな人々を後押ししたいと銀行を就職先に選んだアキラと、大企業を継ぐべき運命の元に育ってきて、そのしがらみから逃れたいと家業を継がずに銀行に就職する道を選んだあきら。
巨悪を打つという大きなテーマでなく、21世紀の銀行員はどうあるべきか?というテーマを掲げ、同じ問題に立ち向かうにしても、求める解決のゴールもそこに至る解決方法も全く違う銀行の同期アキラとあきらの人生を対比させつつ、二人の成長を見守るストーリーだ。
ヒットの確率が限りなく高い@池井戸ワールド故、多数の登場人物の選び方からして勿体ないと思う位豊富だ。
御曹司あきらの二人の叔父の小悪党ぶりはあれでよかったんだろうかとか、出番が短いながらも、若手銀行員らしい雰囲気を一番醸し出していたのは満島真之介だったんじゃないだろうか?などと色々考えるのも楽しかった。ただ、そんな豪華なバック故、アキラとあきらの違いをじっくり描くには逆に目移りがしてしまうと言ったらいいのか。二人の違いがもっと鮮明に分かった方が、後半の展開も盛り上がっただろうにと思う。
そんな豪華な出演陣の中、江口洋介が演じたアキラの上司は、「確実性」という短いパワーワードで、格好のいい銀行員の姿を見せる。
ドラマ版の評判も良かったと聞いたのだが、それがあってもなお映画版を作りたいという時には、どんな企画書で企画を通すんだろう・・・などと考えながら鑑賞。
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アキラとあきらが銀行に入社するのは2000年。二人が初めて出会う入社前研修に新人女性の姿はない。この場面が2023年度の入社前研修だったら、あの中に新人女性社員はどれ位いるんだろう・・・などと思う。