中国系アメリカ人の女性が、恋人の故郷であるシンガポールに一緒に帰省したのだが、なんと恋人がとんでもない大富豪でこれまたびっくりというラブコメディなのだが・・・・
姿形はアジア人でも、考え方も行動もアメリカ人の未来の嫁を簡単には受け入れられない未来の義母。義母が自分の情熱と挑戦心に反感を感じているのを知りながらも、自分の長所はそこにあると、自分を曲げずに果敢に立ち向かう彼女。
アジア人が主要キャストの映画がインディーズでなくアメリカのスタジオで作られ、全米で大ヒット!という事を何も考えなければ、環境の違う恋は大変障害も多いが、愛情はすべてを凌駕するというラブコメの王道だ。
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しかしその背景を考えると、色々理屈っぽいことも言えるのが、この映画の宿命ともいえるところだろう。
母一人子一人という家庭で育ち、実力だけで今の地位を手に入れた彼女の生き方はアメリカ人そのもの。中華系というバックグラウンドを感じられるのは、彼女の外見だけだ。彼女自身も自分も自分のアイデンティティを否定しているわけでもないが、取り立ててそれに縛られている風でもない。そんな自由な気風の持ち主と思われる彼女が、クレイジー・リッチな中華の人達には受け入れてもらえない。ルーツが同じなだけに、お金が媒介する格差は余計リアルに感じられる。
勿論格差はどこにもあるものだが、中華系シンガポール人のリッチピープルぶりが群を抜いているため、格差について色々考えずにはいられないし、そのリッチピープルぶりもあんまり品よく描かれているとは思えず、これまた色々思わずにはいられない。
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クレイジー・リッチ・アジアンズという原題から、クレイジー・リッチ!というタイトルになったのは、アジアは中華だけなのか・・・という日本特有の微妙な感情もあったのだろうか・・・と更に余計なことも考えたりする。
‘Crazy Rich Asians’ Cast On The Film’s Impact On Representation In Hollywood | TODAY
クレイジー・リッチ・アジアンズ 上 |
クリエーター情報なし |
竹書房 |