1987年の冬、ソウル大に通う一人の大学生が警察の拷問により死亡したことがきっかけで、民主化運動の動きは新しい局面を迎えることになる。
取調べ中の心臓麻痺で押し通そうとする治安本部、解剖を主張する検事、自慢の息子の姿を確認することも出来ない遺族。軍事政権に不安を感じ、民主化を望む市民たちは水面下で活動を行うも、大統領選挙を間近に控えた政府は弾圧することで動きを食い止めようとする。
刑務所勤務の父親代わりの叔父が民主化運動をしていると知っても「そんな事をして何が変わるの?」という女子大生。しかし彼女も同学の学生から光州事件のビデオを見せられ、そして叔父が逮捕されることによって、時代の流れに向き合わねばならなくなる。
大学生の拷問死をもみ消そうとする治安本部長が事件の矢面に立つ。一見すると悪役のように思えるが、脱北してきた彼は家族を抹殺した北の権力を憎み、それに対抗すべく軍事政権を支えているだけだ。軍事政権の権力VS北の権力の中に入り、自分の憎むべき権力を抹殺しようとするのだが、それは結局軍事政権の一つの駒になるということ。手に入れた力を手放したくない権力者に結局は利用されるだけだ。
痛みを伴いながらも民主化を進めようとする1987年当時の韓国。映画の最後に当時の各地のデモ映像が流れる。
1987年の映像と分かっていても、朴槿恵政権の際のデモではないかと一瞬錯覚を起こしそうになる。
民主化のためにデモを行うのは大変なことだ。ただその後どのようなビジョンを持ち民主化を維持するのか。それがどれだけ大変なことなのか・・・デモの映像を見ながらその難しさを考える・・