Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

女優の仮面

2014-09-05 01:00:00 | 雪3年3部(彼を待つ~窮地と逆上)


雪は一つ深く息を吐くと、覚悟を決めた。女優の仮面を被る覚悟である。

雪は顔を上げ、キョトンとした表情で横山にこう言った。

「横山‥アンタ一体何やらかしたの?」



は?と目を丸くする横山に向かって、尚も雪は続ける。

「あの女の人、私の知り合いよ?

一体何をしたら、大学にアンタを殴りにまで来るのよ?!」




雪の話に、横山は目を剥いた。

すると横から直美が彼を押し退けて、雪の話に食いついた。

「えっ本当?!本当に雪ちゃんの知り合いなの?!」



雪は頷くと、溜息を吐きながら話を進める。女優の仮面を被りながら。

「はい。あの人、先輩の幼馴染みなんです。頻繁に会いますし、うちの店にも結構来てるし」

「えー‥じゃあ結構仲良し?」

「うん。先輩が紹介してくれて、私とも親しいのよ」



雪は演技を続けた。教室に居る皆もそれに聞き入っている。

「元々スキンシップの多い人で、私に対しても結構腕組んだり‥。

それでこの間先輩と私に「彼氏出来た」って報告してくれて」




そして雪は横山の方に向き直り、呆れたように息を吐いて見せた。

「まさかそれがアンタだったとはね。

アンタって奴は直美さんが居ながら一体どうして‥」




すると横山は、怒りの形相で雪に食って掛かった。

「何言ってやがる!お前があのキ◯ガイ女とどうやったら知り合いになるってんだよ!

明らかにお前‥!」




すると雪はキョトンとしながら、

「明らかに何?」と切り返した。



横山は言い返すことが出来なかった。

雪と静香がコンタクトを取ったのは、横山の携帯を雪が奪い彼女に電話を掛けた時としか考えられないが、

それを説明するには話が長くなる‥。



雪は小首を傾げながら、続けて演技に興じる。

「それで何なの?先輩とあの人が浮気してそれを私に隠すために、

あの人が演技したってこと?一体誰がそんな狂人じみた演技をするってーの?」




演技してるのは自分だけど‥と雪は心の中で思いつつ、依然としてしらばっくれた。

横山は徐々にイライラして来ている。

「だからアイツはキ◯ガイ女なんだよ!

ハッタリこいてんじゃねーぞ!どの口がなんも知らねぇフリ‥」




横山が言い終わらない内に、雪は鋭い眼差しで彼を見据えると、厳しい口調でこう言った。

「謝りなさいよ」



は?と言って顔を顰める横山に、雪は彼に指を差しながら続けた。横山は憤慨する。

「よく考えて。今のアンタは、根も葉もないウソを吐いてる場合じゃないと思うけど。

私にもあの人にも先輩にも、謝るべきなんじゃないの?」


「次から次へとよくもそんな嘘‥!」「直美さんにもちゃんと謝んなさいよ!」



雪と横山のその言い合いを、直美は怒りに震えながら黙って聞いていたが、

とうとう彼女の堪忍袋の緒が切れた。

「‥もういい」



雪と横山が目を丸くして直美の方を見ると、彼女は目を吊り上げて声を上げた。

「謝る必要なんて無いわ!こんな奴と付き合ってたなんて、マジで気が狂いそう‥!!」



そのまま涙を流しながら友人の元に駆けた直美を、横山はオロオロしながらも追いかけた。

しかし肩を震わせて泣く直美を庇いながら、彼女の友人は彼を罵倒する。

「直美さん‥!違うんだマジで‥」

「横山マジこっち来んな!ウソは止めてよ!今この場で謝れよ!」



取り付く島もないその現状に、横山は為す術もなく黙った。

怒りでプルプルと細かく震えている。



すると雪の元にも友人が集い始め、横山の方を見て皆顔を顰めた。

「雪、こんな奴の相手するの止めなよ」 「もう放っとこー」

 

雪を授業へ促す友人達の間で、雪は厳しい視線で横山を睨んだ。瞳の奥で燃える憎しみは、決して演技ではない。

「授業始まるから戻るわ。あんな奴の顔も見たくない」



雪はそう言い捨てて、横山に背を向けた。

すると早足で歩く雪の後ろから、横山は小走りで追いかけてくる。

「お、おい赤山‥!」



雪は怒りのあまり白目になりながら、今追うべきは直美さんの方だろと心の中で毒づく。

彼を無視して歩く彼女の後ろから、ようやく追いついた横山が雪の肩に手を伸ばす。

「お前マジ‥!」



しかし雪は彼の手が肩に掛かったその瞬間、強い力でそれを振り払った。



そして雪は振り返った。嫌悪感を顔全体に表しながら。

先ほどまで被っていた女優の仮面は、その憎しみでとうに外れている。



横山は雪の眼力に一瞬慄いた。

両手を上げて、無意識に無抵抗を示す。



しかしそれきり雪が俯いたので、横山はニヤリと笑いながら皮肉を呟いた。

「なんだよ。んな風に睨んだって‥」

「クズ。」



低い声でそう言い切った雪の言葉に、横山は目を丸くした。

雪は目に紅い炎を宿しながら、横山に対する本音を口に出す。

「あんたは救いようのないクズ野郎よ。二度と私に近寄らないで」



そして雪は横山に再び背を向けた。

その心からの嫌悪感が、横山の足を止める。



横山はその場から動けず、小さくなっていく雪の後ろ姿をただ呆然と眺めていた。

そんな彼の後ろから、先輩達が駆け寄ってくる。



そして彼等は横山の肩に手を掛け、先ほどの出来事にダメ出しを始めた。

「おいおいプレイボーイもいいけど、これはちょっとなぁ‥ほどほどにしとけって~」

「女の子達困らせやがって‥お前もう授業でも行けー」



そして先輩の一人が、横山にこう言った。

「どうして去年と何も変わってねーのよ?」



その一言に、横山がキレた。声を荒げて、彼等の手を振り払う。

「お前らに‥お前らに俺の何が分かるっ?!」

 

突然キレた無礼な後輩に、先輩達はたじろいだ。

そして全てを振り切るように、横山は廊下を走り去って行った‥。


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<女優の仮面>でした。

とうとう直美さんが横山に匙を投げましたね~。

というか、あの写メ↓がある時点でダメだろう‥^^;




次回は<見えない相手>です。


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