あの頃の回想を全て終えた亮は、暫く口を噤んだまま俯いていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/d9/a148c23843e61c6afffbe51df8eea1f6.jpg)
目の前にある珈琲はすっかり冷めてしまっている。
「‥‥‥‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/78/ed77cf4931997264727f9d4721ef6297.jpg)
まるで長い時間旅をしていたような気分だった。
しかし周りの風景は、このカフェに入った時と何ら変わっていない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/6c/0971016ea8a2c60a17f5f242ffe06490.jpg)
やがて亮はゆっくりと、自身の左手を動かしてみた。
五本の指全てに力が入り、手は意のままに動かせる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/92/ffad8b846b55819e3d2aff93051397c8.jpg)
亮は幾分ホッとすると、淳に向かっていつもの軽口を叩き始めた。
「だーよな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/38/f0241441063f133712d5aebaceb56933.jpg)
「どんなに長々と話した所で意味なんてねーか。
とっくにダメになった手のことなんて、今更テメーにグダグダ言ってもよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/f3/a3304a05cfad7aacd0a82e1259a156ca.jpg)
亮はそう言って、淳に向かって自身の左手を開いて見せた。
淳は呆れたような眼差しで亮を見つめながら、ただ黙って彼の話を聞く。
「今更何をどう言おうと、オレにとってお前はこの手を滅茶苦茶にした黒幕に違いねぇし、
お前にとってオレは、ダチのフリして逐一会長にチクった卑怯な奴なんだもんな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/64/09f97d4a65ca1efec8624bf85eefc033.jpg)
「‥‥‥‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/d8/c938cff944eed4810608cbbb71c29825.jpg)
続けられる皮肉に、淳はウンザリとした表情で亮から顔を逸らした。
亮はそんな淳の態度もお構いなしに、ただ淡々と話し続ける。
「ま、それなりにスッキリはしたけどよ、
溜まったモン全部吐き出す為にお前を呼び出したわけじゃねぇ。オレもそこまでバカじゃねぇよ。
敢えてテメーの面拝みまでして会いに来た理由は‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/5b/0b31d827717f6f2c648e9534df7846eb.jpg)
「静香のこと‥よろしく‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/18/aae81e5a6ae0b968ac7d308c0fb72ced.jpg)
そこまで言うと、淳の目が点になった。
亮はクククと笑いながら言葉を続ける。
「なーんてことは言わねぇから心配すんな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/50/34f5b6c586413460aaaf308965a6cb41.jpg)
「完全無視してくれりゃいいからw
それと‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/ea/530256fd7bd5e78bda00df368697f46f.jpg)
「ダメージとお前も、上手くやってってくれ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/a8/dc9b0eeb7bc8ea631af6d2397df1d7fb.jpg)
突然亮が雪の名を口にしたので、淳は幾分目を見開いた。
亮は十年来の幼馴染に向かって、最後の忠告を口にする。
「この話もしときたかったんだ。上手くやって行きてぇならよ、」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/5f/cb9564b4e324154ed47fe799594123d9.jpg)
「お前のその‥なんだ、今までの色々な悪行あんじゃん?
もうああいうことは止めろよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/cf/28ac2d09d543b1f946d066020adc58d5.jpg)
「少なくともダメージの前ではな」
「お前に‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/5f/21e1022a3c0fde6ffcb5c3dad2fa49fc.jpg)
そう言って淳は言葉を返そうとしたが、亮はそれもお見通しといった具合に言葉を続ける。
「”何の関係がある?”って言いたいんだろ。
確かにオレがダメージに近付いたのはテメーの女だからだし、メシおごらせたのも事実だし、
自分がクズだってのも承知してる。けどテメーにも後ろめたい面があんだってこと、自覚してんだろ。
違うか?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/83/9aabb2ba6d92545477ac3458f0ae59e5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/fd/c0d1aa41be03299eb00504af59c958c4.jpg)
淳は険しい表情で亮を睨んでいたが、何も言い返しはしなかった。
亮は自身が口にした真実とその忠告を、淳に言い聞かせるようにゆっくりと投げ掛ける。
「少なくとも今後悔してることがあんなら、今後ダメージの前で同じことはすんな。
あの図体のデカイ男に時計代弁償させんのも、単純にそれで終わりじゃねーんだろ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/75/1c15bc738775416d0e4d1a32fab124c3.jpg)
「そんなこと話してる暇があったら、
もうここからさっさと出て行ったらどうだ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/85/825fcfada4dca8ed4288c1af6d3c84ad.jpg)
「あーそーかい。オレがバカってことも事実だけどよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/4d/c7b404d8ff5d7e2468e7582d19045f89.jpg)
亮は上を向いてウンザリしたようにそう言った。
けれど脳裏に浮かぶのは、いつか夢で見た、血だらけになって泣く雪の姿だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/44/40468fd0c5c6284ab70af8ca14c5c740.jpg)
亮は椅子から立ち上がりながら、もう一度釘を刺すことにした。
自身の立ち位置とこれまでの経験と、両方との折り合いをつけながら。
「だからってオレの話、聞き流すなよ。
お前の領域には踏み込まねぇから」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/21/19c3a870a942982f140dee7078066e42.jpg)
「それでもまぁ、お前の器が小せえからスネたんじゃねーってのは今日よく分かったよ。
オレも間違ってたしテメーも間違ってた、そういうことで気持ちよくバイバイしようじゃねーか。
オレはあと一つやり残したこと終わらしたら、完全にお別れだ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/25/28327928b75a13d1f0d190db7a1e9289.jpg)
「じゃーな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/d7/852485c9b7e33cf9f107fe76b9fc2e39.jpg)
そう言って席を立つ亮。
淳は口をへの字に曲げたまま、去って行く亮の方を見ようともしなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/21/096e22a5688b0167c510801db779f129.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/74/589ffaed63c7a60332b31294a50c96b5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/da/1a602f2ee14af008c11bbe616df1c886.jpg)
亮はカフェを出た後、ドアの前でつと立ち止まった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/28/7f1590f77b676530b4180e7a00da5ef8.jpg)
先程の回想で引っ掛かったことが、亮の足を止めているのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/00/4dcea9a0a0577cb228ddf2bceef07252.jpg)
「西条のこと‥会長が知ってただと?」
「あの時俺に疑いの目を向けていた人間はただ一人‥お前だよ、亮」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/15/1dd83998a4f9b0026034d42c37c249a3.jpg)
どこか違和感を感じていた。
まるで噛み合わないパズルのように、淳の主張と自身の認識が食い違う。
いや‥違う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/f7/c826331720174e82a20b1a5d91910149.jpg)
亮は西条のことを会長に話したりはしていなかった。
ただ、世間話のついでに姉に話したことがあった。
「本当に?」「おお。そうだって」「ふぅん‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/18/31bdead8b6f0af0d1412136bd18f02d7.jpg)
そしていつものように青田家を訪れた折、見たのだ。
何かを報告するかのように話す姉と、神妙な面持ちでそれを聞く会長の姿を。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/1a/abd607cfdc800b8fe031ab2bcb4ef261.jpg)
「最近会長と何話してんだよ?」「アンタに関係ないじゃん」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/5c/4349bb0113ee7727164f382a02f7516f.jpg)
「変な話じゃねーだろーな?」「変な話って何よぉ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/77/5ec87b49df57306e0f1c7de289a92f1f.jpg)
いつもそう言ってはぐらかされた。大して気にも留めていなかったし、
自身に何も害は無かったのでそれ以上の追及はしなかった。
けれどー‥。
「亮が淳ちゃんのこと会長にチクったことも、あたしが代わりに謝るから!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/75/64764f3525a98c393785dc08d7559799.jpg)
先ほど聞いたあの言葉は何だ?
なんで自分が会長にチクったことになっている?
「お前がずっと勘違いしてたことを」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/c6/da7cde07ff372858b92da433ac12954b.jpg)
亮はゆっくりと、あの事件へと繋がる糸を手繰り寄せる。
「勘違い‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/cd/7d7cc707f9379fc8abdaa7d297bfd12d.jpg)
その先に居たのは‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/35/a26427fe9c2127498d6285987d1c3c08.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/b4/06a6fb113d4198e632b41bc95edd629c.jpg)
亮は掠れた声で、たった一言呟いた。
「静香」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/50/590187f4adcb90d9a75331f6c27ad7aa.jpg)
それが、輝かしい未来へと繋がっていた糸を歪ませた、真犯人だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<忠告と真実>でした。
亮さんの淳への忠告、その通り!と思わず唸りました。
ここまで淳の本質を理解して、尚且つもう領域を踏み越えないと言う亮さん‥。
行かないで〜〜(再び引き止め隊)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/56/3c2d8859a01ca39d2d318ab444bdd76a.jpg)
そしてやはり黒幕は静香でしたね。
真実を知った亮さんがどう動くのか。次回に期待!‥ですが、なんと今週は特別編でした![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/namida.gif)
赤ずきんちゃんですかね〜。ちょっと翻訳に自信が無いので、特別編はお休みさせて頂きます![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
最後の方の一コマだけ‥
「雪ちゃん、全部キミのおかげだ!」「先輩!」
「一緒に課題やろう?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/60/5623fff4c7b610a45131fb7676f19566.jpg)
ここのパロディ(笑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/ae/4282e8ced8564d37c273771bc5a6b6cc.jpg)
次回は<一筋の水流>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/d9/a148c23843e61c6afffbe51df8eea1f6.jpg)
目の前にある珈琲はすっかり冷めてしまっている。
「‥‥‥‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/78/ed77cf4931997264727f9d4721ef6297.jpg)
まるで長い時間旅をしていたような気分だった。
しかし周りの風景は、このカフェに入った時と何ら変わっていない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/6c/0971016ea8a2c60a17f5f242ffe06490.jpg)
やがて亮はゆっくりと、自身の左手を動かしてみた。
五本の指全てに力が入り、手は意のままに動かせる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/92/ffad8b846b55819e3d2aff93051397c8.jpg)
亮は幾分ホッとすると、淳に向かっていつもの軽口を叩き始めた。
「だーよな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/38/f0241441063f133712d5aebaceb56933.jpg)
「どんなに長々と話した所で意味なんてねーか。
とっくにダメになった手のことなんて、今更テメーにグダグダ言ってもよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/f3/a3304a05cfad7aacd0a82e1259a156ca.jpg)
亮はそう言って、淳に向かって自身の左手を開いて見せた。
淳は呆れたような眼差しで亮を見つめながら、ただ黙って彼の話を聞く。
「今更何をどう言おうと、オレにとってお前はこの手を滅茶苦茶にした黒幕に違いねぇし、
お前にとってオレは、ダチのフリして逐一会長にチクった卑怯な奴なんだもんな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/64/09f97d4a65ca1efec8624bf85eefc033.jpg)
「‥‥‥‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/d8/c938cff944eed4810608cbbb71c29825.jpg)
続けられる皮肉に、淳はウンザリとした表情で亮から顔を逸らした。
亮はそんな淳の態度もお構いなしに、ただ淡々と話し続ける。
「ま、それなりにスッキリはしたけどよ、
溜まったモン全部吐き出す為にお前を呼び出したわけじゃねぇ。オレもそこまでバカじゃねぇよ。
敢えてテメーの面拝みまでして会いに来た理由は‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/5b/0b31d827717f6f2c648e9534df7846eb.jpg)
「静香のこと‥よろしく‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/18/aae81e5a6ae0b968ac7d308c0fb72ced.jpg)
そこまで言うと、淳の目が点になった。
亮はクククと笑いながら言葉を続ける。
「なーんてことは言わねぇから心配すんな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/50/34f5b6c586413460aaaf308965a6cb41.jpg)
「完全無視してくれりゃいいからw
それと‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/ea/530256fd7bd5e78bda00df368697f46f.jpg)
「ダメージとお前も、上手くやってってくれ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/a8/dc9b0eeb7bc8ea631af6d2397df1d7fb.jpg)
突然亮が雪の名を口にしたので、淳は幾分目を見開いた。
亮は十年来の幼馴染に向かって、最後の忠告を口にする。
「この話もしときたかったんだ。上手くやって行きてぇならよ、」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/5f/cb9564b4e324154ed47fe799594123d9.jpg)
「お前のその‥なんだ、今までの色々な悪行あんじゃん?
もうああいうことは止めろよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/cf/28ac2d09d543b1f946d066020adc58d5.jpg)
「少なくともダメージの前ではな」
「お前に‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/5f/21e1022a3c0fde6ffcb5c3dad2fa49fc.jpg)
そう言って淳は言葉を返そうとしたが、亮はそれもお見通しといった具合に言葉を続ける。
「”何の関係がある?”って言いたいんだろ。
確かにオレがダメージに近付いたのはテメーの女だからだし、メシおごらせたのも事実だし、
自分がクズだってのも承知してる。けどテメーにも後ろめたい面があんだってこと、自覚してんだろ。
違うか?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/83/9aabb2ba6d92545477ac3458f0ae59e5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/fd/c0d1aa41be03299eb00504af59c958c4.jpg)
淳は険しい表情で亮を睨んでいたが、何も言い返しはしなかった。
亮は自身が口にした真実とその忠告を、淳に言い聞かせるようにゆっくりと投げ掛ける。
「少なくとも今後悔してることがあんなら、今後ダメージの前で同じことはすんな。
あの図体のデカイ男に時計代弁償させんのも、単純にそれで終わりじゃねーんだろ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/75/1c15bc738775416d0e4d1a32fab124c3.jpg)
「そんなこと話してる暇があったら、
もうここからさっさと出て行ったらどうだ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/85/825fcfada4dca8ed4288c1af6d3c84ad.jpg)
「あーそーかい。オレがバカってことも事実だけどよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/4d/c7b404d8ff5d7e2468e7582d19045f89.jpg)
亮は上を向いてウンザリしたようにそう言った。
けれど脳裏に浮かぶのは、いつか夢で見た、血だらけになって泣く雪の姿だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/44/40468fd0c5c6284ab70af8ca14c5c740.jpg)
亮は椅子から立ち上がりながら、もう一度釘を刺すことにした。
自身の立ち位置とこれまでの経験と、両方との折り合いをつけながら。
「だからってオレの話、聞き流すなよ。
お前の領域には踏み込まねぇから」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/21/19c3a870a942982f140dee7078066e42.jpg)
「それでもまぁ、お前の器が小せえからスネたんじゃねーってのは今日よく分かったよ。
オレも間違ってたしテメーも間違ってた、そういうことで気持ちよくバイバイしようじゃねーか。
オレはあと一つやり残したこと終わらしたら、完全にお別れだ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/25/28327928b75a13d1f0d190db7a1e9289.jpg)
「じゃーな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/d7/852485c9b7e33cf9f107fe76b9fc2e39.jpg)
そう言って席を立つ亮。
淳は口をへの字に曲げたまま、去って行く亮の方を見ようともしなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/21/096e22a5688b0167c510801db779f129.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/74/589ffaed63c7a60332b31294a50c96b5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/da/1a602f2ee14af008c11bbe616df1c886.jpg)
亮はカフェを出た後、ドアの前でつと立ち止まった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/28/7f1590f77b676530b4180e7a00da5ef8.jpg)
先程の回想で引っ掛かったことが、亮の足を止めているのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/00/4dcea9a0a0577cb228ddf2bceef07252.jpg)
「西条のこと‥会長が知ってただと?」
「あの時俺に疑いの目を向けていた人間はただ一人‥お前だよ、亮」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/15/1dd83998a4f9b0026034d42c37c249a3.jpg)
どこか違和感を感じていた。
まるで噛み合わないパズルのように、淳の主張と自身の認識が食い違う。
いや‥違う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/f7/c826331720174e82a20b1a5d91910149.jpg)
亮は西条のことを会長に話したりはしていなかった。
ただ、世間話のついでに姉に話したことがあった。
「本当に?」「おお。そうだって」「ふぅん‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/18/31bdead8b6f0af0d1412136bd18f02d7.jpg)
そしていつものように青田家を訪れた折、見たのだ。
何かを報告するかのように話す姉と、神妙な面持ちでそれを聞く会長の姿を。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/1a/abd607cfdc800b8fe031ab2bcb4ef261.jpg)
「最近会長と何話してんだよ?」「アンタに関係ないじゃん」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/5c/4349bb0113ee7727164f382a02f7516f.jpg)
「変な話じゃねーだろーな?」「変な話って何よぉ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/77/5ec87b49df57306e0f1c7de289a92f1f.jpg)
いつもそう言ってはぐらかされた。大して気にも留めていなかったし、
自身に何も害は無かったのでそれ以上の追及はしなかった。
けれどー‥。
「亮が淳ちゃんのこと会長にチクったことも、あたしが代わりに謝るから!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/75/64764f3525a98c393785dc08d7559799.jpg)
先ほど聞いたあの言葉は何だ?
なんで自分が会長にチクったことになっている?
「お前がずっと勘違いしてたことを」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/c6/da7cde07ff372858b92da433ac12954b.jpg)
亮はゆっくりと、あの事件へと繋がる糸を手繰り寄せる。
「勘違い‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/cd/7d7cc707f9379fc8abdaa7d297bfd12d.jpg)
その先に居たのは‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/35/a26427fe9c2127498d6285987d1c3c08.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/b4/06a6fb113d4198e632b41bc95edd629c.jpg)
亮は掠れた声で、たった一言呟いた。
「静香」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/50/590187f4adcb90d9a75331f6c27ad7aa.jpg)
それが、輝かしい未来へと繋がっていた糸を歪ませた、真犯人だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<忠告と真実>でした。
亮さんの淳への忠告、その通り!と思わず唸りました。
ここまで淳の本質を理解して、尚且つもう領域を踏み越えないと言う亮さん‥。
行かないで〜〜(再び引き止め隊)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/56/3c2d8859a01ca39d2d318ab444bdd76a.jpg)
そしてやはり黒幕は静香でしたね。
真実を知った亮さんがどう動くのか。次回に期待!‥ですが、なんと今週は特別編でした
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/namida.gif)
赤ずきんちゃんですかね〜。ちょっと翻訳に自信が無いので、特別編はお休みさせて頂きます
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最後の方の一コマだけ‥
「雪ちゃん、全部キミのおかげだ!」「先輩!」
「一緒に課題やろう?」
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ここのパロディ(笑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/ae/4282e8ced8564d37c273771bc5a6b6cc.jpg)
次回は<一筋の水流>です。
☆ご注意☆
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!
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