Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

温かな痕跡

2016-01-24 01:00:00 | 雪3年4部(賭け~温かな痕跡)


夕闇迫る大学のキャンパス。

ここ最近は、日が落ちると本当に寒く感じる。

「うう‥」



雪は寒さに震えながら、外の道を駆けていた。

目の前には図書館があるが、そこは通り過ぎるだけだ。

図書館‥は‥PASS



残りは家帰ってからやろ。最近はかどってるから大丈夫そう



そう思いながら、とある場所を通り掛かった時だった。






そこにあるのは、一脚のベンチ。

そこに座っていた時の場面が思い出される。



鼻から喉へと、流れる痕跡。

あの時初めて雪は、彼の気持ちを自覚したーー‥。








雪はベンチを眺めながら、亮のことを思い出していた。

もう長いこと、きちんと会話すらしていない。

そういえば‥河村氏は頑張ってるのかな?



以前この道で音大へ向かう亮の背中を見たことを、ふと思い出した。

ちょうどこのアングルで、カーキ色のジャンパーを着た彼の姿を見かけたことを。

 

今日はまだスケジュール的には余裕がある。

雪は時計にチラと視線を走らせた後、音大の建物へと足を踏み出した。





「今日は来なかったが」



そこで出会ったのは亮のお師匠さん、志村教授であった。

志村教授は最近の亮の様子を雪に教えてくれた。

「何か用事があるのか、最近忙しいらしい。呑気なヤツだ」

「忙しい‥?」「ああ」



そう聞いた雪に志村教授は頷き、代わりに雪に質問を返す。

「君もよく知らないの?」



「はい‥」



雪はそう答えるしかなく、若干気まずそうに首元を掻いた。

すると志村教授は雪の顔をじっと見た後、思い出したように声を上げる。

「あ」



「君が名刺を渡してくれたんだよね。ありがとう。アイツはあれでも頑張ってるよ」



志村教授が亮のことを語る声は、それは優しいものだった。

「キッカケがなければ、あのプライドの高さだ。ピアノを始めさえしなかっただろう。

アレでも練習は頑張っていて、この間は一曲まるまる通して弾いたんだよ」




志村教授の脳裏に浮かぶのは、初めて自身のところに訪ねて来た時の亮の姿だった。

プライドを捨てることが出来ず、それでもピアノへの未練が断ち切れなくて、いつも足掻いて見えたその姿‥。

「ありがとうね」



志村教授はそう言って、はははと笑った。

その温かな言葉と表情に触れて、雪の心は自然と綻ぶ‥。











日が落ちてすっかり暗くなった空に、街灯の明かりがぽっかりと浮かんでいる。

ジャンパーのポケットに両手を突っ込んで歩いているのは、河村亮その人だった。



一歩一歩踏み出す足が重い。

それは寒さのせいで身が縮こまっているからというわけではなさそうだ。



亮の脳裏では、先日自身の元を訪ねて来た元同期の男の言葉が何度もリフレインしている。

「ねぇ亮、お金‥返せそうなの?社長、本気で狙ってるけど‥」



「あの人、前は組のメンバーだったでしょ‥。俺が思うにお金を返しても‥」



「結局はズルズル付きまとわれるだけだと思う‥絶対‥」



路地裏で聞いた男の言葉は、そのみすぼらしい容姿と相まってリアルに響いた。

男は身体を震わせて、自分が置かれている状況を憂う。

「俺だって同じだもん‥」



そう言って涙を浮かべる男に対して、亮は苛立ちを隠し切れなかった。思わず拳を振るう。

「オレだって分かってんだよこの野郎!だから連絡すんなっつったのによぉ!」

「うわああ!」



男を何度殴っても、気が晴れることは無かった。

そして、今自分が直面しているこの現実が変わることも‥。





亮は店の前まで来ると、気を取り直してそのドアを開けた。

「オレっす‥」



そう言ってキャップを取った途端、亮は息を飲んだ。

思いも寄らない人物が目に飛び込んで来たからだ。

「やぁ」



雪はノートPCや教科書を机に広げながら、叔父のカフェで勉強をしていた。

そんな彼女の姿に動揺した亮は、少し後退りながら声を上げる。

「な、なんだよ!」



「河村氏‥」



雪は幾分気まずそうな表情で彼の名を口にした。

亮は未だにこの状況が理解出来ず、ただその場で固まっている‥。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<温かな痕跡>でした。

登場人物それぞれが持つ亮さんへ対する温かな気持ちが、今回の話を繋げている感じがしますね。

だからこそそっけない亮さんがもどかしい‥!


さて次回は<彼との対話(1)ー静観ー>です。


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私の傍には

2016-01-22 01:00:00 | 雪3年4部(賭け~温かな痕跡)
先ほど柳が健太に言った言葉が、脳裏に何度も反響する。

どうして‥最近急に‥なれなれしくしてくるんでしょ~ねぇ‥

わりと仲良かったのに誰かさんも貰えなかったですもんねー




どうしてそれが何度も浮かんで来るのか、その答えは明確だ。

そうだ。健太先輩はおかしかった。今の今までずっと



心の奥で叫ぶ自身の声が、その柳の言葉に全面同意しているからだ。

そもそもあの人は、他人に感情を隠せるほど演技が上手い人間じゃない。

佐藤先輩のノートPCの時だって、ただただ怒鳴ってばかりだった








考えれば考える程、疑心は募って行く。

けれど雪は気づいているのだ。そんな考えは、何の意味も持たないということが。

だけどすべてのことは心証にすぎない。確信なんて、何の役にも立たない。



真実を確認出来ないから、ただ単純に直美さんが犯人だって考えれば済む話なのに、

それがどうにも上手く行かない




雪は皆の後について歩きながら、この重苦しい気持ちを持て余していた。

だって‥



頭の中に、以前健太に言われた言葉が蘇る。

お前はもう変わっちゃったもんだと結構マジで思ってたんだけどなー?



その言葉を受けて、帰りの地下鉄の中でこう思った。

私も確かに変わった



変化した周りの人達との関係性と共に、自分自身も変わったのだと思っていた。

けれど再びこうして頭を悩ませている自身を顧みると、結論は自ずとハッキリする。

私は結局、一つも変わることが出来なかった



超然としては居られないまま、ずっと直美さんを気にして‥。



そして、このとっ散らかった考えをどこかに吐露したいけれどー‥







心の中に、冷たい風が吹き込んでくる。

顔を上げた先には、急ぎ足で次の場所へ向かう皆の背中が見える。



雪は再び俯いた。

気軽に話し掛けられそうな人なんて、一人もいない。

「‥‥‥‥」



皆が良い人達なのは確かだけど、明確な目的にただ集まって来ただけ。

私と心から打ち解けてるわけじゃない。私が集めたんだけどさ‥




こんな時、傍に居てくれたらと思う二人が居た。

伊吹聡美と福井太一‥。

聡美はどうして授業に出てこないのよ‥



太一は‥ 「バイトモード。最近特に頑張ってマス」



全ての人が、自分の傍を通り抜けて行く。

皆それぞれに、どこかを目指して進んでいるのだ‥。



雪の脳裏に、親しい人の後ろ姿が次々と浮かぶ。

先輩‥



彼は自分よりも更に忙しく、複雑な社会で生きている人間だ。

その背中が、振り返らずに去って行く。


河村氏‥



きっと彼ならこう言うだろう。「お前の知ったこっちゃねーだろ」と。

細かいことや居場所に頓着しない彼も、また雪から去って行く。





様々なトラブルを抱えながら、仕事場へと向かう両親。

彼らに悩みなど打ち明けたことなんて無いし、打ち明けようとも思わない‥。





蓮と恵。彼らこそ今から色々な問題に向き会わないといけない。

自分の問題に引きずり込むのは違うし、二人に負担を掛けたくはない。





萌菜へ断りのメールを入れたことも思い出した。

確かに今自分の目の前には、やるべきことが山のように溜まっている‥。




秋風の中を、雪は俯きながら皆の後についてただ歩いていた。

とっくに気づいていたことを、自身に言い聞かせるように心の中で声にして。

皆それぞれに背負っているものがある。

私の抱える問題が、一番重要なわけじゃない




だから今‥



私の傍には誰も‥



気がつけば、一人だった。

それを実感した途端、肚の中に居る臆病の虫が、微かにざわめき始める。



しかしそれを自覚する前に、雪は仲間から声を掛けられた。

何事も無かったかのように、笑顔を浮かべて応える雪。

「どうしたの?行こう」

「あ、うん」






そして雪は歩いて行った。

大勢のざわめきの中で重い荷物を抱えて、たった一人で‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<私の傍には>でした。

「私は変わった」と思っていた雪ちゃんが、結局いつもと同じようにウジウジ悩んでしまう現状に触れて、

「やっぱり変わってない」と思い直すという場面‥。

以前それを見越していたかのように、呟いていた先輩の背中が思い出されますね。



チートラの抱えるテーマって、「人間は所詮独り」というものなんでしょうかねぇ。

そこからどう上手く生きて行くか、みたいなものを雪ちゃんを通して描かれているような気がしますね‥。


次回は<温かな痕跡>です。

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噛み合わない真実(2)

2016-01-20 01:00:00 | 雪3年4部(賭け~温かな痕跡)


授業終了後、なぜか雪は柳瀬健太に呼び止められ、空いている教室へと連れて来られた。

そこに居たのは糸井直美で、彼女は不本意そうな表情でこう言ったのだった。

「だからあたしは自販機の所に行って来ただけなの!

そしたらその間に誰かがあたしの席に過去問を置いていったんだって!

何度説明したと思ってるんですか!」




いきなりそう説明した直美の話を、白目になって聞く柳と雪。その隣には健太と典。

直美は身振り手振りを交えながら、健太に向かって声を荒げている。

「それで騒ぎが収まったら返そうと思っていたんですよ!」



するとそれを聞いた典が、直美に向かって質問した。

「それじゃどうして雪ちゃんに返さずに破いたの?」



思わずビクッと怯む直美。

「それは‥!」



直美は俯きながら、苛ついた口調で言葉を続けた。

「突然変な噂が立って‥

事が大きくなった上に、雪ちゃんとは元々仲が良くなかったのもあって‥

あたしの仕業だって言われるかと思って‥つい‥」




追い詰められた直美は、柳を始めとする「雪側」の人間に向かって怒鳴り散らした。

「きっとこうなるだろうと思ったからよ!皆で寄ってたかってどうしようって言うんですか?!」

「は~いストップストップ~」「いや俺は赤山ちゃんをガードしに‥この男がいるから‥



すると柳瀬健太は幾分大仰な態度で、直美の前に躍り出た。

「とりあえず糸井は赤山に謝った方が良いな?な?ほらほら!

まぁ丸く収めようぜ?だから俺、こういった場を設けたんだよ」




「これからはこんなこと無いようにな!ははは!」

「どういうことですか?!」



すると健太のそんな態度が、直美の逆鱗に触れたようだ。

「今後こんなこと無いようにって‥あたしが何かしたとでも?!

呆れますよ本当!ありえない!」
「うおお!」



直美はそう言って健太の手を振り払うと、皆に向かってこう言い切った。

「あたしの話を信じようが信じまいがどうぞご勝手に!

あたしは間違って無いから!!」







直美はそう言ったきり、一度も振り返らず教室を後にした。

その後姿を、柳瀬健太はまるで軽蔑するかのような目付きで見ている。



直美が去ってから、健太は直美のことをブツブツ悪く言った。

すぐに得になる方に立場を変える、この人の常套手段だ。

「アイツだって同じ穴のムジナだな。持ってる過去問独り占めしやがって」

「あ~はいはい、わりと仲良かったのに誰かさんも貰えなかったですもんねー赤山ちゃん行こー

「クッソこいつ‥」



しかしそんな健太の本性など、もう皆お見通しである。

柳は勿論、皆健太には辟易していた。

「もう止めて下さい。健太先輩が直美さんにこんなことする理由なんて‥」



するとその雪の言葉に、異論を唱えた人間が一人。

「アンタ、おかしくない?」「え?」



黒木典だった。

典は雪の態度に違和感を覚え、それをすぐに皆の前で口に出す。

「だってアンタ学科長に話しに行ったのに、

どうしていきなり優しくなってるの?一番大騒ぎしなきゃいけないのはアンタのはずでしょ?」




雪は典の言葉を聞きながら、実際には話してないんだけど‥と真実を心の中で思ってみたが、

口には出さずに違う理由を説明した。

「直美さんの話聞いてみたら、本当っぽいから‥」

「あんな言い訳信じるの?大学生にもなって、誰が盗んでわざわざ他人の席に置くのよ?

それこそ陰謀説じゃないの!」




しかし典は聞く耳を持たない。

けれどここで、学科長の元に乗り込んだ健太の話をするわけにもいかない‥。

だって健太先輩が‥ 「赤山ぁ」



すると二人の間に、健太がまたしても割り込んで来た。

「俺がよ~~く説得してみるからよぉ、あんま気にすんな。な?」

「あ、触んないで」



健太は、いつも変なところで介入してくる。

雪は今の状況とこの場の空気の両方を読みながら、言い出すなら今だと決心した。



「健太先輩」



そう呼びかけて、胸を張った。

鋭く切れ長のその目が、健太を見据える。



そして雪は瞬きもせずに、一息でその言葉を言い切った。

「気を回して頂いてありがたいですが、もう結構です。

これは私の問題ですから、これ以上は関心を寄せないで頂けると幸いです」




その言葉を聞いた健太は、想像通り顔をしかめた。

「はぁ~~?」



しかし健太が暴言を吐く前に、ガード柳が雪の背を押しここからの退出を促した。

「そういうこと!どーしてこの人最近急になれなれしくしてくるんでしょ~ね~?

赤山ちゃん行こ!勉強会勉強会!」







教室の外には、佐藤や海など、雪主催の勉強会メンバーが彼女を待っていた。

胸の中にはわだかまりがまだ残っているが、雪は健太に背を向ける。

「‥‥‥」「行こう」






去り際に目にした健太の顔は、明らかに曇って口元には不満が現れていた。

彼に対する疑心のせいで、姿全体がどこか陰って見えるほどにーー‥。



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<噛み合わない真実(2)>でした。

あ~モヤモヤしますね‥

しかし本当健太は信頼の置けない人間ですね(今更ですが)

コロコロ立場変えて、あわよくば青田過去問GETを狙ってるんでしょう‥

はやく‥はやく先輩!休学ノートに健太の名前を!!

そして柳が健太から雪を守るガードマン化している‥!

きっと電話で淳から頼まれたんだろうな。

柳、大好きな淳からの頼みだからはりきって「まかせとけ!」って引き受けたんだろうな。

‥と考えると微笑ましくてたまりません(笑)


次回は<私の傍には>です。


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噛み合わない真実(1)

2016-01-18 01:00:00 | 雪3年4部(賭け~温かな痕跡)
「ううう‥」



雪は携帯を握り締めながら小さく呻いていた。

先ほど久しぶりに連絡をくれた萌菜が食事に誘ってくれたのに、

グルワの集まりの為に断りのメールを入れなければならなかったからである。

「どーして会おうって連絡はこんな時ばっかり来るの‥萌菜‥申し訳ない‥



雪は溜息を吐きながら、携帯越しに教室内の風景を眺めてみた。

段差のある講義室の上段に座った雪からは、下段に座った学生達が良く見えるのだ。



特に目につくのが、一人で座る糸井直美と、彼女を見てヒソヒソと話をする黒木典とその友人だ。

「オフレコ」は今日中にも皆に広まるだろう。雪はじっと彼女らを眺めている。



糸井直美は所在なさそうに座っていた。

いつもは典を始めとした友人達とワイワイ楽しくやっているのに。



すると雪の視線を感じたのか、おもむろに彼女は後ろを振り返った。

そして雪が自分の方を見ていることを知ると、悔しそうに歯を食い縛って下を向く。



「‥‥‥‥」



直美は勢い良く前を向くと、それきり雪の方を見ようとはしなかった。

雪の心の中に、モヤモヤとした感情が膨らんで行く。

一体どういうことだろう



私が学科長に話をすると耳にした途端、訪ねて行って大騒ぎしたという柳瀬健太。

どう考えても愚かな泥棒のパターンなのに‥




でも、実際過去問を破いて捨てたのは糸井直美‥



何度考えてみても、辻褄が合わない。

雪は机に突っ伏して低い声を上げる。

「あ~‥頭イタ‥







雪は頭を机に付けたまま、ぼんやりと皆の方を眺めてみた。

皆この間の騒ぎなど無かったかのように、すました表情で座っている。

皆‥



皆はどう考えてるんだろう



雪は再び、一人で座る糸井直美の後ろ姿をじっと見つめた。

幾分投げやりな気分が胸を掠める。

このまま直美さんが盗んだということにしようか

そしたら、誰もそれ以上興味を示さないだろうか




このまま心に蓋をして、今の流れに身を任せるのも一つの方法だろう。

何をどうすべきかなんてマニュアルは無い。

雪自身も、明確な信念があるわけではないのだ。

ていうか、怒りを感じて私なりに誘導してみたけど、

絶対に捕まえて何をどうこうしようってのは無かったわけで‥




雪自身にも迷いが出て来ていた。

胸と頭の中に、モヤモヤとしたものが依然としてあるのは変わらない。

でも‥それでも‥



それでも心の奥で、「それはおかしい」と声がする。

いつだって雪は誤魔化せないその叫びに、翻弄されながら生きているのだ‥。

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<噛み合わない真実(1)>でした。

短め記事で失礼しました!

モヤモヤしますね~‥。ここ最近ずっとですねこんな展開‥。早く脱出してほしい‥!


次回は<噛み合わない真実(2)>です。


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涙の理由

2016-01-16 01:00:00 | 雪3年4部(賭け~温かな痕跡)
タン!



A大学の構内に、萌菜隊長が降り立った!

「ははは!勉強ばかりしている哀れな子羊達め!私が食事を与えてやろうではないかっ!」



そう言った萌菜隊長の元に、哀れな子羊達がわさわさと集まり、皆涙ながらに隊長に感謝するだろう‥!

「ってなハズだったのに‥」



チーン‥

現実では、萌菜は携帯を片手に一人寒空の下であった。

萌菜は何度目かの携帯チェックをしながら愚痴をこぼす。

「太一、あのガキ返信遅いっつーの。雪は‥」



見ると、雪からのメールが届いている。

萌菜が心を弾ませながらそれに目を通すと‥。

ごめん!私今日はグルワの集まりがあってダメなのTT

今度おごるから!ほんっとにごめん!




あえなく撃沈‥。

チッ!



萌菜はくさくさしながらアテもなく構内を歩き始めた。

「おのれ~驚かせようと思ったのに~」



「今日はそういう星回りの日‥」



その時だった。

向こうに、見覚えのある女の子が見えたのは。



伊吹聡美。

萌菜は彼女の姿を見て、思わず声を上げた。

「おお!」



「ハッロ~!」



そう言って近づいて来る萌菜に、聡美はビクッと身体を強張らせた。

しかし萌菜はお構いなしに、フレンドリーな態度で話し掛けてくる。

「やっ!こんなとこで会うとは!おひさ~」

「あ‥どうもです‥いや‥こんにちは‥あたし太一から連絡貰って‥」

「おっ!アイツちゃんと連絡したんだ?」



するとその萌菜の言葉を聞いて、聡美が目を丸くした。

「え?」



その聡美の反応の意味を、瞬時に理解する萌菜。

「‥ああ、」



「今日は皆で集まって遊ぶってことにしたくて、太一にアンタにも連絡してって頼んだんだ。

ダイジョブ?気まずいことない?」




”気まずいことない?”その問いの真意が、聡美の心に深く刺さる。

「あ‥」



聡美はそれ以上言葉を続けることが出来ずに、ただそのまま固まった。

萌菜はそんな聡美の様子に気づかずに、軽い調子で言葉を続ける。

「てか太一ってガキのくせに何気にジラしたりするんだよねぇ~。

生意気なのが魅力っての?」




「あ、そうだ。アンタもファッションに興味があるんだよね。

アパレル関係のお店考えてるんだっけ?」




「ちょうど太一も仕事してることだし、一緒に来てみ?

遊びに来たついでに色々話もー‥」




萌菜がそこまで言葉を続けた時だった。

それまで黙り込んでいたその女の子が、急に話し出したのは。

「‥太一と」



「ん?」



萌菜はにこやかに、その続きを促す。

けれど聡美は引き攣った表情のまま、ただ下を向いていた。

「太一と萌菜さんは、すごく良く似合ってる」







さすがにこれには、萌菜も違和感を覚えた。

萌菜は聡美の肩にもたれかかっていた手を外し、若干キョドりながら首を傾げる。

「へ?」「あ、いやその‥萌菜さんはすごくカッコ良いし‥

背も高いし、大人っぽくて‥太一にもすごく良くしてくれるって思う‥。

あ‥あたしが言うのもおこがましいけど‥」




言葉を続ければ続けるほど、震えて行く声。

「だから‥太一のこと‥」



潤んでいく、瞳。

「よろ‥しく‥」



そこからあふれてこぼれる、彼女の恋心‥。





その涙の粒が落ちるのを、萌菜はスローモーションでも見るかのように目にしていた。

しかし気がついた時には、聡美は彼女に背を向け、そそくさとその場を後にする。

「あ‥あれっ‥ゴメン、風邪引いたかな?!もう行くね!」

「えっ?!」



呼び止める萌菜の声に、振り返りもしない聡美。

「ちょ、待ってよ!あの‥砂糖‥じゃない、聡美ちゃん!」



そのまま走って行ってしまった聡美の背中を、萌菜はあんぐりと口を開けてただ眺めていた。

え なに 今の‥



これはまずいぞ、と本能が告げている‥。

「わ‥私‥やらかしちゃっ‥た‥?」



萌菜は青い顔をしながら、その場で一人声を上げた。

あの涙の理由は、あの言葉の意味は‥。

えええ?どうしよ?!えええ



そしてそんな萌菜のことを、離れた場所から見ている一人の男が居た。

彼は勿論、先ほどの萌菜と聡美のやり取りも目にしているのである。



太一は目も口もポカンと開けながら、ただその場に突っ立っていた。

あの時聡美が流した涙の理由が、彼の心を支配して行く‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<涙の理由>でした。

聡美、泣いちゃいましたね~

そして今まで私、こんな流れだと思ってたんですが‥↓

萌菜、太一から聡美への恋心を相談聡美→太一への恋心を奮起させる為に故意に太一と仲良くしてみせる

という感じかと思ってたんですが、なんと全くの無自覚だったんですね‥。

そして最後の太一の驚いた顔これは一波乱ありそうですね~~


次回は<噛み合わない真実(1)>です。

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