Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

エピローグ(3)ープロローグー

2017-05-15 01:00:00 | エピローグ(1)〜(3)
時は十数年前に遡る。

総合病院に入院した河村教授の見舞いに、淳が連れ出された時のことだ。






”恩師”と長い間言葉を交わす父の背中に目を遣りながら、幼い淳は病室を出た。

同じような造りの部屋が、まるで無限に続いているかのような眺め。

休憩所に着いた淳は、一人ソファに腰掛ける。



無理矢理連れ出された苛立ちを持て余しながら、

父が慕っている”恩師”に対しての疑問を心の中で声に出した。

「何が恩師だよ。頼み事しかしないじゃないか」と。



ふぅ‥



次第に疲れて来た淳は、溜息を吐き立ち上がった。

家にはやりかけの宿題が残っている。

いつまで話してるんだ?そろそろ帰らないと‥






すると少し離れたソファに、うつ伏せている女の子が居ることに気がついた。

悲しそうな泣き声が聞こえる。



自分より少し幼いくらいだろうか。

女の子はか弱い泣き声を漏らしながら、その小さな身体を震わせていた。



淳はその子の姿を見て足を止めたが、またすぐに歩き出した。

自分には関係ないことだ、と割り切って。



「ふぇ‥」



しかし少し離れると、すぐに泣き出す彼女。

その泣き声を、淳はどうしても無視することが出来なかった。

胸の中がやけに騒がしい気がして、何かが引っかかっているような気がして‥。







ゆっくりと、彼女へと近付いてみる。

そのソファの直ぐ傍まで。



胸の中を騒がせているその何かを知るために、淳はその女の子に問い掛けた。

「ねぇ、泣いてるの?どうして一人なの?」







けれどその子は応えない。

うわ言のように何かを呟き、悲しそうな声を漏らすだけだ。



「寝言か」



そう言って淳が背を向けた、その時だった。



小さく細い指先が、淳のそれを繋ぎ止めた。

淳は思わず足を止める。







涙で濡れた顔が幾分覗いたが、それでもその子は眠っていた。

未だ寝言を口にしながら。

「ふぇぇ‥」



淳は呆れたように口を開けると、一つ溜息を吐いた。

そろそろ帰らなくてはいけないし、家にはまだ宿題が沢山残っている‥。










パタパタと、病院内を駆ける小さな足音が聞こえる。

少年は姉を探して走り回っているのだ。

「静香ぁー!」



「おーい!どこだぁ〜?」



それはまだ幼い日の河村亮であった。

「おい!もうメシ食って家に帰んぞ!どこに居んだよ!」



亮は姉の名を呼びながら、病院内を走り回る。

ふと、目に止まる光景があった。



「あん?」



「あいつら何やってんだ?」



そこにはまるで恋人同士のように寄り添う子供二人の姿があった。

亮は眉を顰めながら一人呟く。

「ガキ共が神聖な病院で何やってんだか‥」



「つーかアイツの髪相当ダメージヘアじゃね?」



二人の前で足を止めていた亮は、そこではっと我に返った。

「おっと、こんなことしてる場合じゃねぇ!」



「静香!どこだぁ〜〜?!」



そして少年は、姉を探して走り去って行った。

ソファに座るこの二人を残して。



いつしか二人は、眠り込んでしまっていた。

重ねた手が二人の体温を分かち合う。

その運命の接点は、確かにこの時から繋がれていたー‥。







記憶にも残らないこの場面は、この物語のプロローグだ。

繋がっていた、三人の運命の輪。

その始まりを垣間見ることが出来た今、ようやく物語は終わる。



これまでチーズインザトラップを愛して下さり、ありがとうございました。





これで、この物語は完結する。

彼等に贈る言葉はただ一つ。

三人が心より、幸せになれますようにと。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<エピローグ(3)ープロローグー>でした。

エピローグ最後の話は、幼い淳と雪、そして亮が実はすれ違っていた、という話でしたね。

淳目線の場面としては<脱却へ>

雪目線の場面としては<雪・幼少時>冷たい手かな?

散々おかしな子供と言われて来た淳は、泣いてる子を放っとけなくて手を繋いでやる優しい子だったし、

亮は結局静香を放っとけなくて走り回る優しい子だった‥。雪は‥ダメージヘア‥だった‥(それかい)

三人のルーツが垣間見える終わり方でしたね。終わり‥方‥

あーっ本当に終わってしまったぁぁぁ(時間差で来る喪失感)

本編ではあとがきがありますので、次回はそれをアップしますね

あぁぁさみしぃぃぃ‥



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エピローグ(2)ー扉の中でー

2017-05-13 01:00:00 | エピローグ(1)〜(3)


空には満月が浮かんでいた。

その頃赤山家では、普段より一組多い布団が敷かれようとしているところであった。



少し丈の短い蓮の服を着た淳が、気まずそうに頭を掻いている。

「明日の朝は七時頃起きるかしら?」「はい。すみません、お世話になります」

「ううん、土曜だしゆっくりするわ」「そう?」「うん」



「それじゃ、ゆっくり休んでね」「は‥はい、おやすみなさい」



にこやかにそう言う雪の母の後ろで、ゴオオという音と共に雪の父が佇んでいた。

父は淳が雪の部屋で寝ることに、未だ納得いかないのであった。

「おいあれで大丈夫なのか?蓮の部屋でもいいだろう」

「いや〜二人喧嘩したみたいだし、話出来るようにそっとしといてやろーよ。

家族皆居るし何も無いって〜俺一人で寝たいし




そんな蓮の優しさと共に、家族は二人を温かく見守ることにして雪の部屋を後にした。

ドアが静かに閉まる。

タン








途端にしん、と部屋の中が静まり返った。

淳は何も言わずに、疲れたように幾分俯いている。






雪は彼の様子をそっと覗いながら、彼を布団へと促した。

二人はそれぞれ横になり、部屋の電気を消す。



暗闇にぼんやりとほのかな明かりが灯っていた。

雪は彼の気配を感じながら、ゆっくりと口を開く。

「明日が土曜日で良かったですね。きっと明日は瞼がパンパンでしょうから」







淳は決まり悪そうに、布団の中でゴソゴソと動いていた。

そして何か言いたそうな顔で、雪のことをじっと見ている。



「‥上がって来ます?」



その視線の意味を察した雪がそう言うと、

淳は無言でコクリと頷いた。






淳がベッドに上がって来ると、雪は彼の膝を枕にしてコロリと横になった。

その体温を感じながら、ふわぁと欠伸をする。







まるでようやく懐いた兎を愛でるように、淳は雪の髪の毛を優しく撫でてやった。

その柔らかな手つきを感じながら、雪がポツリとこう口にする。

「別れたりしないですよね?」



「それはこっちの台詞だよ」






淳のその言葉を聞いて、雪はゆっくりと目を閉じた。

ありのままの自分の気持ちを、慎重に言葉にする。

「まだ‥先輩の考え方が理解出来ない時があります。私の価値観とは違うって感じる時も。

それでも一緒に居たかったから、ずっと先輩の考え方に合わせて来ました」








その雪の告白を聞きながら、淳は去年のことを思い出していた。

今まで見ないフリをして忘れようとして来たそれを、そっと取り出して眺めてみる。

「今考えてみると、最初雪ちゃんが俺を嘲笑ったことは、悪いことじゃなかったんだ」



「あのことが無かったら、君は俺にとってただの大学の後輩ってだけだった」



必死に土を被せて埋めようとして来たその過去は、今の二人に繋がる契機だった。

淳は雪の髪を撫でながら、そのかけがえの無い存在を愛おしむ。

「俺に近付いて来る人達は皆、俺の上辺に興味があっただけで、

誰も俺自身のことを知ろうとはしなかった。君だけが俺のことを見てくれたんだ」




かつて世界で一番遠い存在だった彼女は、いつしか一番近しい存在になっていた。

彼等はまるで合わせ鏡の様に、互いに影響を及ぼし合い、変わって行く。



淳は柔らかに微笑みながら、彼女に一つ問いかけた。

「知ってたかな」



「だんだんお互いに似てくるのが嬉しかったし、

そうすれば雪ちゃんは俺から離れて行かないって思えて安心してたけど‥」







「結局それが幸せとは全く思えなかった。違ってるその部分さえ、好きだったんだよ」



あの日彼女は「今は先輩のことが前よりもっと理解出来る」と言った。

望んでいたはずのその言葉が淳の心を締め付けたのは、自分に似た彼女より、

本来の彼女そのものが好きだったから‥。



かつて全ての者を遠ざける為に張った境界が、今は他者を尊重する為に引いた細い線となる。

淳は彼女を囲い込んでいたその手を離して、優しく彼女を撫でた。

「自分がこの先、どう生きて行くかは分からないけど」



「こんな風にただ一緒に居たいと思う」



「それだけで充分なんだ」



もう全部大丈夫だ。

彼も、彼女も。







今二人は開け放たれた扉の中で、穏やかな表情で寄り添い合う。

いつしか訪れた眠りの中で、優しい夢を分かち合いながら‥。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<エピローグ(2)ー扉の中でー>でした。

いや〜〜良かった‥良かったですね‥

最後寄り添い合う二人を見た時、本当にこれでチートラは終わりなんだなぁと思えて‥

淳の「それだけで充分なんだ」という台詞は、



<互いを知るということ>の台詞と一緒ですが、



この時は、先輩扉を越えないでこう言ってるんですよね〜。




(懐かしい「おいとま」使用のジジ淳‥)

心の扉を開けて、本心から言ってる今の淳と以前の淳の対比が、彼の成長を表してますよね。

後日の回想シーンで、結局その台詞に繋がる彼の本心は「それだけじゃ嫌だ」だったし‥。


(同じコマのはずが絵柄変わりすぎ‥)



ようやく淳は「雪のトラウマを利用して傍に居てもらう」罪悪感から解き放たれ、

二人は一人の人間同士として寄り添い合えたんですよね。



淳号泣祭りの結末がこんなに温かなものとは‥うう‥涙が‥


ようやく去年の出来事にも「あれは悪いことじゃなかった」と受け入れることが出来て本当に良かった。

最終回の静香が言った「あの時はそうするしか出来なかった。それしか方法は無かった」という台詞は、



今の淳と雪にも当てはまるし、登場人物皆にも当てはまる。

辛いことや苦しいこと、消したいこと埋めたいこと沢山あるけれど、全部その先に繋がる道の為に必要なこと。

それがこのチーズインザトラップという物語が伝えたかったことなのかな、と思いました。

うう‥感無亮‥

さて、エピローグも次回が最後です。


<エピローグ(3)ープロローグー>です。


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エピローグ(1)ー涙の行方ー

2017-05-11 01:00:00 | エピローグ(1)〜(3)


時は雪の卒業式より一年程前に遡る。

淳がその涙と共に心の扉を開け放し、雪の目の前に立つその時に。



本音を口にした淳が、雪に問う。

「もう俺のこと嫌になった?」



涙を流し続ける彼は、いつしか消えて無くなりそうに儚かった。

自身の選択で決まる彼の正否。

雪はただ無言でその場に立ち尽くしていた。



淳はしゃくり上げながら、止まらない嗚咽を漏らし続ける。

「ふっ‥うっ‥うっ‥うっ‥」



「ううっ‥」



堪らず雪は彼に近付いた。

「先輩‥」



「本当に私の知ってる先輩ですか?まるで子供みたいだから‥」



淳は泣きじゃくりながら、雪に向かってこう聞く。

「こんな俺は嫌?」







いつも大人っぽくて、スマートで、常に笑顔の”青田先輩”。

それは彼が彼女の手を握り続ける為に演じて来た幻影だった。

今雪の前で情けないほどの姿を晒すこの彼こそが、押し隠して来た本当の青田淳なのだ。



嘘を吐かれていたとか、偽りを信じさせられていたとか、感じないわけではない。

雪は彼から目を逸らす。



そして改めて考えてみた。

それでも全てひっくるめて、彼の傍に居たいと思えるかどうかをー‥。





”こんな俺は嫌?”





「いいえ」



雪は真っ直ぐに彼に向かって手を伸ばした。

開け放たれた扉の中へ、そっと入って行く。

「泣かないで」



その扉に合う鍵は、彼の目から零れ落ちるその涙は、とても温かだった。

それに触れながら雪は、ようやく本当の彼を抱き締める。

「先輩のこと、嫌いになんかならない」



「一緒に戻りましょうよ‥」



触れた体温は温かく、彼の実体をありありと感じた。

彼の流した涙の行方を、雪はしっかりと受け止めるー‥。










「そこで何しとるんだ?」



ドン!と反射的に雪は彼の身体を突き飛ばした。

なんと赤山家が揃い踏みで、抱き合う二人を見ていたのだー‥!

「んなっ‥」



「ななな何で?!どうして皆こんな所にいるの?!」

「店が終わってから皆でチキンを食べて来たんだ」「姉ちゃんの分もテイクアウトして来たぜ」

「路上でイチャつくのは止めなさい。まったく‥



顔面蒼白で取り乱す雪と、思い切り突き飛ばされて地味にダメージを食らっている淳‥。

淳は手の平で顔を隠しながら、こそこそと声を出す。

「あ‥あの‥」「ん?」



「なんだその顔は。何かあったか?泣いたのか?」

「えっ?もしかして淳さん泣いてたの?」「あらあら目が真っ赤!」



赤山家の人々はそう言って淳の顔をジロジロと覗き込んだ。

雪がなかなか越えられなかった壁が、ガラガラと音を立てて崩れて行く‥。

「なんだ?どうしたんだ」「雪と喧嘩でもしたの?」

「ちょっと顔見せてみなさい」「や‥止めてあげて‥!」



淳は(ト‥トラウマが‥)と高校時代のことを思い出して気が気じゃなかったが、

どうやら赤山家はそんなことを微塵も気にする人達では無かったようだ。

「どー見ても二人、喧嘩して別れの危機だったけど結局仲直りしたってとこだろ!」



最後は蓮にそうキレイにまとめられ、あれほど深刻だった事態は途端に平凡なものとなった。

淳は一つ深く息を吐く。

はぁー



「すみません、お父様お母様。見苦しい姿を‥」

「その様子じゃ運転は無理じゃないか?」



「明日は土曜だし、家に泊まって行ったらどうだ」

「それが良いよ淳さん」「あらそれじゃ朝ご飯の準備しとかなくちゃ」



「ほら帰るぞ」「行きましょ〜」



あれよあれよと言う間に、事態は思いもしない方向へと転げ出す運びとなった。

まだ充血している瞳を見開きながら、二人は呆然とその場に立ち尽くす。







早くおいで、と赤山家の人達が二人に手招きをしていた。

顔を見合わせていた二人はすぐに、駆け足でその後に続いたのだった‥。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<エピローグ(1)ー涙の行方ー>でした。

皆様、最終話に沢山のコメントをありがとうございました嬉しかったです

また追々お返事致しますので、気長にお待ち頂けると幸いです


さて!エピローグ編に入りました〜

何が嬉しいって、淳号泣祭りは終わらなかったってことですよ

あの続きが読めるなんて嬉し過ぎて小躍りしてましたが、まさか赤山家全員が祭りに参加することになるとは(笑)

泣いてるのめっちゃイジられてましたね


けど本当良かったですよね‥淳はようやく本当の自分を受け入れてもらえた。

雪ちゃんに菓子折り渡したいくらいです(何者)


さて二人は赤山家へと向かう運びとなりました。寛容な赤山家、良いですね〜!

三人でチキン食べに行ってるのも微笑ましいです(笑)


次回は<エピローグ(2)ー扉の中でー>です。


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