Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<ショートエピソード>聡美の本音

2013-06-06 13:06:48 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
赤山雪が伊吹聡美に、母親の誕生日プレゼントを選びに行くのに、一緒に付いて来てくれと言った。



雪はイヤイヤながら言っているようでもあり、

しかしいざ買い物に付き合うとママのことを考えながらプレゼントを選ぶ彼女は、楽しそうに見えた。



買い物が終わると、雪は用事があるので先に行くと言った。

夜は太一とご飯の約束をしていたので、聡美は一人で店へと向かった。





居酒屋で太一と二人。聡美は昼間、雪のママへの気持ちを目の当たりにして思うところがあった。

酒に酔った聡美は、少し泣いていた。太一の前だから余計、気持ちが緩んだんだろう。

「あたしもママに会いたい!」



そう言った聡美に、太一は「会えばいいじゃないっすか」と返したが、



それに聡美は逆上した。

「あんた喧嘩売ってんの?!うちのママはもう随分前に離婚して出て行っちゃったの!」



太一は初めて聞く話に目を見開いた。

そんな太一を見て、「口が滑った!」と言った聡美は、このことは誰にも言うなと太一に凄んだ‥。

(もし誰かに言いふらしたら、鼻の穴をおっ広げて耳に掛けてやるらしい)








酔った聡美は、太一の前で本格的に泣き出した。



家の家系の何がそんなに嫌だったの、黙って出て行くなんて酷いと、

聡美は子供のように手放しで泣いた。

「ふあああああん うあああああん」



太一はそんな聡美を見て、心が揺れた。



手が動き、聡美の方へ伸びる。



彼女の肩へ太一の手が届くのに、あと数センチの時だった。




「おい!てめぇら見てんじゃねーーよ!!」



「そんなに面白いか?!あん?!」



泣かないで‥と言う太一の慰めは掻き消えた‥。

そのまま周りの男達に絡んだ聡美を止めるのに、太一は間に入らなくてはならなくなった。


このことは雪は知らない。

太一は心の中だけに、留めておくことにした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

聡美のショートエピソードでした。

聡美は感情の表現が分かりやすいですね。泣いたり笑ったり怒ったりが、ハッキリ出来る子だなぁと思います。

でも根っこの部分はお母さんのこともあってとても寂しがり屋ですね。

反面太一は末っ子長男ということもあって、愛情を沢山貰って育ってきた子です。

だからそんな聡美が余計気になるのかなという気がしました。



人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

聡美、横山、太一の関係

2013-06-06 01:00:00 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
ちょっとここらで、主人公二人は置いておいて、

雪の親友達

伊吹聡美福井太一



そしてMr.KY、横山翔



この三人の関係について見ていってみよう。


まずは横山翔。

彼はとにかく可愛い子が大好きで、この子と思ったらすぐにアプローチを開始する。



経営学科の中でもターゲットになった女の子は数知れず、以前記事にした平井和美もその一人だった。



ポスター貼られて終わったけど‥。


そして今は聡美がターゲットらしく、雪に仲を取り持ってくれと頼んだり、事あるごとに聡美に絡んだりした。


こんなことがあった。


ある雨の日、聡美が傘を指して歩いていると‥



いきなり何者かが傘に侵入!



ちょっと何?!と聡美が慌てると、



横山はテヘペロ☆状態だった‥。



聡美はガン切れである。



こういうロマンチックな演出好きだろ?と横山は悪びれない。

結局傘の無い横山のために、聡美は駅までだったら‥と一緒に歩いてやった。

しかし何でここにいるの?と聞いた聡美に、

横山は「たまたまお前の手帳見かけた時に、時間割をちょっと見て‥」と言った。



聡美は勝手に見んな!と怒り心頭だが、

横山は「どうせ大したこと書いてないだろ」と悪びれない。



すると一緒にお昼を食べる約束をしていた、太一と出くわす。



今日は雪来れないって、二人でどっか食べに行こ~と話す聡美と太一に、

横山は苛立ちを隠せなかった。

「お前、女じゃあるまいしピンクの傘とかやめろよな~」

あんたに関係無いじゃん!と言う聡美にはおかまいなしで、横山は尚も続ける。

「いつも女とばっかつるんでよぉ、もしかしてそっちの気でもあるんじゃね?」




聡美はあんぐりである。

そういうのもうやめてってば!と怒る聡美に対して横山はまた太一をバカにした。

そのとき太一は‥。




宅配便の不在通知をウェブ上で手続きしていた。

全然気にしていないYO!!



駅まで行ったら遠回りですよ、とご飯やさんへ急ごうとする太一に、

「俺はどうなるんだよ!」と抗議する横山。

すると太一は聡美を自分の方へと引っ張ると、自分の指していたピンクの傘を横山に渡して言った。

「俺の使って下さいッス。返さなくてもいいんで」



その後雨の降りしきる中、横山は一人、ピンクの傘を指して佇んでいた‥。






こんなこともあった。

横山が携帯の画像フォルダをじっと見ている。



中身は、昨日隠し撮りした聡美の姿だった。



教室から出てきた彼女の後ろ姿に、横山は携帯電話を構えた。



聡美は撮られるともしらず、無邪気な笑い声を立てている。







3,2,1‥



バーン!




うわあああ!



横山は驚きのあまり尻餅をついた。



「すんません、足が滑って‥」という太一に向かい、胸ぐらを掴んだ。

「この野郎なめてんのか!」



聡美が止めに入るのにも構わずに、

「お前俺のことからかってんのか?」と鼻息荒く詰め寄った。

「何してんだ~?」



危うく大騒ぎになるかと思われたが、通りかかった健太先輩によって止められた。

あいつわざとやったんだ!とイライラする横山をなだめて、

太一にも今度から気をつけろよ~と注意して終わった。


未だ怒りの静まらない横山だったが、ふいに誰かの手が肩に置かれた。



「翔、機嫌直せよ」



これからみんなで飲みに行くけど一緒に行くか?という青田先輩からの誘いで、

横山の機嫌は直り、一行は向かっていった。




聡美は横山の奇行に何も気がついていなかったが、

太一はその後姿を、いつまでも見ていた。






太一はその後、こんな場面にも遭遇した。



青田先輩から差し入れられた大量のお菓子を持って、共に教室移動している時だった。

ふと教室を覗くと、横山翔が聡美の鞄をあさっていた。



ノート、時間割、何かは分からないが、ペラペラと盗み見ていた。

太一が立ち尽くしていると、それに気がついた青田先輩が「入らないの?」と太一を促す。



パッと振り向いた横山は、

「あっ先輩!福井くんお疲れ~ちょっと聡美のノートをね」



と言ったきり話を切り替えた。




太一の脳裏に、この間の記憶の断片が蘇る。




まさかとは思っていたが、ここまでとは。

太一はドン引きだった‥。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


聡美と太一、そして横山の関係でした。


というより、聡美をめぐる太一と横山の攻防といった感じでしょうか。

この三人を交えて、続いて大きな事件が起こります。

その事件はもちろん雪と淳も巻き込んで、

大きな波乱の序章となるわけですが‥。

<雪と淳>迂闊と警告

2013-06-05 01:00:00 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
ある日雪は、糸井直美から事務室に書類を持っていくよう頼まれた。

(糸井直美は同期だが年上という位置づけである)



ずっしりと重い書類の山を抱える。

席に座った同期や先輩達は、青田淳についての話で盛り上がっている最中だった。

「それで青田君がさぁ、友達連れて歩いてたんだけど、もう別世界の人って感じだったの」

「私らと同世代の、しかも同じ大学に通ってるってのに違和感あるよね。なんか遠く感じる」



はぁ~と溜息を漏らしながら、やっぱりなんだかんだ遠い人だよね、距離感感じるよと言って彼女たちは笑った。

「雪ちゃんもそう思わない?」「え?私ですか?」



「あ‥その‥私はあの先輩はあまり‥」



「え?なんで」

「ええと‥直美さん達が言ってたのと似たような感じですけど‥なんか接しづらいというか‥

距離感があるような気もするし、わざと人を選別して付き合っているように見えて‥」


「ちょ、ちょっと待って!」



そこまで喋ったところで、直美からストップがかかった。

「あたしはそういう意味で言ったんじゃ‥。仲良くなるにはあまりにもかっこよすぎて、
 
別世界の人みたいって意味で‥。雪ちゃんの言い方じゃ青田君が変な子みたいになっちゃうじゃん!」




まずい流れである。雪は取り繕う言葉を重ねる。

「あ‥、実は前に色々あって、気のせいかもしれないんですけど‥」



そう続けようとすると、ひときわ大きな声が話を切った。

「おい赤山、やめろよな~!」



少し遠い席に座っていた健太がこちらを向いて話し掛ける。

「まだお前ら親しくもないし、何か誤解があったみたいだけど、

人を見境無く判断するもんじゃねーぞ。な?」


青田淳は金持ちで顔も良い、でもそれを別としても情が厚くて良い奴だ、

健太はそう切々と語り、皆に同意を求めると、皆も一様に声を揃えて同意した。

特に健太は二日酔いで体調の悪い今日、淳がノートを貸してくれたらしく、その優しさに涙まで流していた‥。

「先入観は捨てて、心の目でアイツ自身をよく見てやれよ!青田は青田だから青田なんだ!」

‥少しイッちゃっているが、

「雪ちゃん、こればっかりは健太先輩が合ってるよ」



と、皆の意見も同様だった。

しまった‥黙っていればよかったものの‥と後悔しても、もう後の祭りである。

「近寄りがたいけど、無理して近づいてもね‥」

「あたし試験勉強の時お世話になった!」「何回かご飯もおごってくれたよね~」








やっぱり青田先輩の評判は、皆の彼に対する評価はこうなのだ。



雪は自分も気付かないうちに本心が出てしまったことについて、自らの気を引き締めていた。

陰口みたいになってしまったこと、先輩たちの言っていることにも一理あること。

自分の浅はかさが身に染みる。



青田先輩に対するこの胸のもやもやは、やはり自分の被害妄想に過ぎないのだろうか?

このわだかまりは、溶けることがないのだろうか?

悶々と考えながら歩いていると、前から見覚えのある姿が近づいてくる。






「あ、」



青田淳。

彼は雪に気がつき口を開こうとするが、雪は平井和美に見られたら大変だと、その視線を咄嗟に避けた。



すると背後から、大きな声がその進路を遮る。

「うわぁ?!赤山!お前青田に挨拶しろよな!」



健太は、お前ら何かあったのかと淳に詰め寄った。

「なんかよ~、赤山がお前のこと何か誤解してるみたいだぜ。

お前が超いいヤツだってことをどうやったらわかってくれるんだか!」




ペラペラと喋る健太の口は止まらなかった。

雪は必死で止めて止めてと言いかけるが、声にならない。

「赤山がお前のこと苦手らしくてよぉ、距離感がどうのこうの、人を選別するとかなんとか‥。

先輩後輩同士、気まずいのもなんだしお前がリードしてやれよ!分かったな?」




「俺は約束あっから、お先~!」





ちーん‥







史上最悪の気まずさである。

雪はとてもじゃないけど耐えられず、失礼しますとその場から逃げた。

胃がムカムカして吐きそう‥!どこでもドアが欲しい‥




そう思った時だった。




ツンと足がもつれ、その場で盛大に転んでしまったのだ。

「うわっ!」



山のような書類は四方八方に散らばり、手には擦り傷まで出来てしまう。



この人の前で転ぶのは二度目‥。

もうやだ、と涙目になりながら書類を拾った。



書類は自分の周りだけにとどまらず、雪の後ろにも沢山散らばっている。

雪が後方に視線を投げると、青田先輩の足元にも書類が落ちているのが見えた。



青田淳は微動だにしない。

すると静かで冷淡な声が、この場の空気を凍らせた。






「前にも、こんなことがあったよな?」










「君は度々間違いを犯すね」






「気をつけろって」







「前にも言っただろ?」





高そうな靴で、

そのつま先で、

トン、と書類を蹴った。




ツカ、ツカ、ツカ、


廊下に足音が響く。




雪が顔を上げた先には、もう彼の姿はなかった。




その表情を見てみたかったけど、そんな必要もないくらいに、本心が伝わってきた。





書類を掴む手が震える。





胸の詰まるような恥ずかしさ、

とりとめのない怒り、

人生で初めて目の当たりにした”疎ましい”という感情に、

顔が熱くなって、






全身が震えていた。









淳もまた、心中穏やかではいられなかった。



教室へ向かう途中で、横山が話しかけてきた。

「せんぱ~い!探してたんすよ~!よかったら千円貸してもらえないっすか?」



財布を家に忘れてきて、昼飯代すらないと言う横山に、

淳は手元に現金がないから、と事も無げに言った。

その表情を見た横山は、ハッと動きを止める。



「わ、わかりました‥すんません」



機嫌でも悪いのか?とそそくさと逃げ出す横山。


その後教室に入った淳を迎えた柳も、

その尋常じゃない彼の表情に、言葉を失った。




「おい、何かあったのか?」と柳は問うた。

顔が怒ってるみたいだからよぉ‥と言葉に詰まる柳の横で、淳は微笑んだ。

「‥ちょっとな。嫌なことがあって」



いくらか安心した柳は、

「お前にもそういう時があるんだな、」と言って、クハハと笑った。


「人間なんだからないはずないだろ?」


そう淳は言いながら、

耳元では、いつまでも廊下に響く自分の足音が聞こえているような気がした。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<雪と淳>迂闊と警告、でした。

警告によって、二人の間にハッキリと境界線が引かれましたね。

それにしても健太先輩って‥。プロフィールでは29歳ですよ。一体‥。

さて次回は、雪と淳とは少し離れた、聡美と横山と太一の関係性についての記事を書こうと思います。

後々主人公二人にも関係してくるので、

それを踏まえつつ、のエピソードです。

<淳>手のひらの上の災難

2013-06-04 01:00:00 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
淳はあることを思い出していた。

記憶の始まりは平井和美との出会いに遡る。

彼女と出会ったのは、彼女が大学に合格し、淳が休学する少し前だった。



首席で入学したという彼女に挨拶をすると、頬を染めて黙り込んだ。




それから、時間は二年間飛ぶ。


次に彼女と言葉を交わした時、彼女は二年生になっていた。



成績も上位を維持し、首席カップルと周りからからかわれることもあった。

彼女が隣りに居ると他の女後輩や新入生が寄ってこないということは、ありがたかった。



そんな折、平井から今回の学年首席は赤山雪という後輩だったと聞かされる。



周りの人間が話す赤山の評判は、良いものが多かった。

淳にとってはどうでも良い存在だったが、彼女についての意見を求められると、適当に褒めることもあった。

「礼儀正しいし性格も明るいし、要領も良いみたいだな」





ある日、平井和美がポツリとつぶやいた。

「あたし、赤山さんってそんな言うほどすごいとは思わないなぁ‥」



「すごい?」

尚も平井は赤山についての見解を続ける。



皆が口をそろえて誉めそやすが、自分にはどこが良いのかサッパリわからない、

性格も謎だし、服装もダサい。

いつも疲れきってる顔をしてるから、見てるこっちが憂鬱になってくる‥。


平井の口は止まらなかった。後から後から赤山についての不満が口をついて出る。


淳は苦笑いを浮かべた。



「単にみんなはあの子の長所を少し褒めただけだろう?
 
それが納得いかないからって、そうやたら非難するのは良くないよ」




淳は、平井のそういった態度から、むしろ平井の方が悪印象に見えるようになるよと軽い注意をした。

平井の顔は強ばっていた。





淳は、平井和美が赤山雪に嫌悪感と劣等感を持っていることを知った。








「平井」、と淳は和美を呼び止めた。

「今度のTOEICの自主ゼミの件だけど、皆に俺が君のゼミに参加するって言ったんだって?」



和美は慌てた。

「すいません、先輩が来るかもしれないって言っただけなのに、

みんなそれを絶対来るもんだと誤解しちゃったみたいで‥」




和美の表情は沈んでいた。

淳は続ける。

「横山から雪ちゃん以外の女子はみんな、俺が平井のゼミに行くと思ってるって聞いてさ。

あとで何かあっても困るし、ちゃんと話しといてくれよな」





和美の顔に猜疑心が浮かんだ。


「ってことは‥佐藤先輩のゼミには、赤山さんもいるってことですか?」



「ああ」

淳は微笑んだ。






その後、度々二人が言い争う場面を見かけた。






赤山を呼び止めて優しい言葉を掛けるたびに、







彼女の表情が歪んでいくのが、






手に取るように分かった。






そして赤山が振り回されていくのを、






ただ見ているだけでよかった。












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









淳の手のひらに、複数のボールが乗っているイメージを持ってほしい。

ボールには名前が付けられている。

平井和美、横山翔、柳瀬健太‥

指先の向く先に、ある人物が居るとする。

例えば自分を嘲笑った後輩。

自分が受けた屈辱と同じ災難を受けされるにはどうすればいいだろうか?

答えは簡単。

一歩も動かずとも、

表情を変えなくとも、

手のひらをほんの少し傾けるだけで、

ボールは転がっていく。

ボーリングのピンのように、倒れるのを見ているだけ。

倒れたピンは、自分を攻撃したボールを見て憤慨するだろう。

その先の自分は一歩も動いていないのだから。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


<淳>手のひらの上の災難、でした。

最後のモノローグは完全私の解釈ですので、そう思って読んで頂ければ幸いです。


平井和美を巻き込んで、淳と雪の水面下の攻防が始まりましたね。

雪が淳の不信について「自分の気のせいか?」と何かと謙虚に思い直すので、

読者としてはもどかしいですね。


さて、次回は淳と雪の間により大きな溝が出来ます。

それは雪の何気ない一言から始まるのですが‥。

では!


<雪>災難の始まり(3)

2013-06-03 01:00:00 | 雪2年(復学~球技大会前まで)
平井和美の嫌がらせは依然として続いていた。



雪は授業の変更時間について、友人に電話で確認していた。

授業は1時に変更になったらしい。雪は礼を言って電話を切ると、先ほど和美から送られてきたメールを再度開いた。

明日の授業3時に変更になりました 学科代表 平井和美



雪は怒り心頭である。

もっとましな嘘つけよ! こんなんで引っかかるかっつーの!!





翌日1時 授業開始前


「あら、時間通りに来れたのね。間違えて送っちゃったから心配してたのよ」



わざとらしくしらばっくれる和美に、

雪は青筋を立てながら「今度からは気をつけてね。もうすぐ試験だし」とチクチク言った。



和美はフイッっと雪から顔を逸し、

「謝ってるのにしつこいわね。分かりました、気をつければいいんでしょ」と悪びれない。




て、てめぇ‥




ざまーみろこの女狐!




雪は和美の思惑を見事跳ね除けたことに満足感を覚え、その背中にF◯CKを送った。




ふと視線を感じる。





!!!*゜゜Д゜゜))ノ


ここで赤山雪、必殺技を繰り出した。


秘技、瞬間移動!!



「あ、雪ちゃん!」



必殺技は彼の呼び止める声で実行出来ず、尚も自分を呼ぶので雪は窓の方へ近寄った。



「この前も来てなかったみたいだし、自主ゼミなんで辞めちゃったの?」



雪は愛想笑いを浮かべながら、

女一人だからちょっと気まずくて‥と頭を掻いた。



しかし本心はこうだった‥。

てめぇのせいだろ!そんぐらいわかれよ!

そんなことのために人を呼び止めるんじゃねーーーー!!!




青田先輩は尚も続ける。

「そうか、残念だな。何か分からないこととかあったら、いつでも言ってな」



雪はアハハハ、と笑いながら思った。

笑うしかないわ‥。そんなこと言って私が落ちるとでも思ってんの?

「あはは、本当に優しいんですね~」



それじゃ失礼します、と雪はお辞儀をして彼と別れた。

顔には先程の愛想笑がまだ残っている。



しかし考えてみたらおかしな状況だ。

青田先輩から直接嫌がらせを受けたわけでもない。

やっぱり自分の気のせいなのかもしれない。

これ以上気にしないで笑って過ごせるなら、

それに越したことはない‥




「嬉しそうね」



「自分のものにしようと必死ね。さぞご満悦で?」




和美はそう言うと、苛立ちながら踵を返した。





振り返ってみると、もう窓辺に先輩はいない。





雪は一人取り残されて、乾いた笑いを立てた。







どうなっとんじゃごりゃぁぁぁ!!!



雪は家で暴れまくった。果ては「お母さんお祓い行きたい」と神頼みまでする始末だった。

あの男!わざと話しかけたんだ!私を陥れるために!

この前嘲笑ってたのを知ってて、親切なフリして仕返ししてるんだ!

だからわざと和美の前で‥!




雪の脳裏には狐野郎の彼が偉そうにふんぞり返っていた。

「俺がなにか?」(イメージ)





自分がおかしいのか、彼がおかしいのか。

雪は様子を見ようと決めた。






赤山家はその夜、遅くまで騒がしかった‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


<雪>災難の始まりはこれで終わりです。

和美やっかいだな~。

しかし今回私が気になったのはこちら↓




分かりました気をつければいいんでしょ、

と和美が言っている場面ですが、

窓の外であの人絶対これ聞いてますよね‥。

雪じゃないけど

!!!*゜゜Д゜゜))ノ

でした。

それも含め、次回は

<淳>手のひらの上の災難 

です。