「いっや~!すごいですなぁ~!!」

河村亮は赤山雪を前にして、ひたすら彼女を褒めちぎった。
顔中傷とアザだらけの彼女は、さながら戦いを終えたジャンヌ・ダルクだ。

しかし雪は苦々しい表情をしながら、帽子を目深に被り直した。しかし亮は尚も大きな声で彼女を褒め続ける。
「さっすがダメージだな!皆さん拍手を!マジパネェ!スペシャルッ!!」

止めて下さいよ!と雪は何度も亮に向かって言うのだが、彼は嬉しそうに彼女の周りを大騒ぎしてはしゃいでいた。
そして雪の顔を掴み、見せてみろと言って顔を近づける。

「こういうのはオレの得意分野だからよぉ!いつ治るのか診てしんぜよう!」

オレのじーちゃん医者だったし、と何の説得力も無いことを言いながら、亮は雪の顔を左右に動かす。
雪は必死に抵抗するも、亮はマジマジと雪の顔を見続けた。
「おいおいなんだこの引っかき傷は!ケチケチしねーで見せやがれ」「や~め~ろ~!」

こんなに触られては傷跡が余計に残ってしまう、と言う雪と揉み合っている内、
亮は不意に指でその傷跡を強く押してしまった。

「あべし!」

するとその痛みで、雪は思わず血反吐(?)を吐いた。そのあまりの痛がりように、亮は驚きのあまり目玉が飛び出す。
雪は痛みに小さく震えながら、言葉の限り亮をなじった。
「このバカッ‥このイソギンチャクッ‥
」

しかし亮はそれよりも衝撃を受けていることがあった。
自分は軽く触れただけなのに、こんなに痛がるということは‥。
ハッ!

亮は血相を変えて雪の顔を再び掴む。
「ひょっとして顔骨ヒビ入ったんじゃねーか?!119番すっか?!
ほら見せろって!レントゲン‥」

そう言いながら超至近距離まで顔を近づける亮に、雪は目を剥いた。
そして雪は痛みやら動揺やら赤面やらでグルグルになって、思わず亮の頬を張ったのだった‥。
「‥‥‥‥」

すっかりテンションの下がった亮と雪は、小言を言い合いながら並んで歩く。
「ったくもう‥」「だってお前が大袈裟に‥」「あんなに触られれば痛いに決まってんでしょ
」

そうグチグチ言う雪の顔を、亮は改めて眺めてみた。
その顔は無数の引っかき傷と切り傷とアザで、見るからに痛々しい。

亮も高校時代は喧嘩をよくした方だが、こんなに傷を負ったことは無かった。
亮は雪に向かって、喧嘩コーチ(?)として訓戒を垂れる。
「てか何でお前こんなに殴られてんの?お前ちゃんとオレの教えを守ったのか?
先制攻撃が大事だって言ったじゃねーか、髪の毛から‥」
「私の方がもっと殴ってやりましたよっ!」

失敬なと言わんばかりに、雪はコーチに反論した。
「河村氏は見れないけど、今頃あの子の顔の方がもっとヒドイことになってると思いますよ?」

そう口にする雪に、亮は「やるねぇ」と言って彼女の頭を優しく撫でた。
「よくやったなぁお前!もう大学制覇しちまえよ!」「やるわけないでしょ
!」

二人は食堂へと向かいながら、亮は雪にその顔で接客する気かと言ってクククと笑った。
それでも手伝わなきゃと律儀に口にする雪に、そんな顔見たら客が逃げ出すと亮は尚も言い返す。

すると雪は、ふとあることを思い出して口を開いた。
「あ、そうだ河村氏。どうして前からこのこと知ってたんですか?
私に誰かが喧嘩をふっかけてくるかもって、蓮に何か言ってたんですって?」

雪の言葉に、亮は視線を泳がせて言葉を濁した。
以前「お前の姉ちゃんが危ない」と、蓮に忠告して彼女の元へと蓮を向かわせたことを思い出す。

しかしあれは静香のことであって‥。
今は姉も大人しいことだし、亮は言葉を濁してこの場をやり過ごそうとした。
「いやそれは‥特に意味はねぇよ。てか蓮の奴口が軽ぃっての‥」

そこまで口にした亮だったが、次の瞬間目を剥いた。
なぜなら食堂の真ん中に、見慣れたあの後ろ姿を見つけたからだった。

それは、間違いなく姉の静香だった。
亮は青ざめ小さく震えながら、白目になってその場に立ち尽くす。

期せずして、雪の前に静香は現れた。
傷だらけのジャンヌ・ダルクは、その疲れも癒えぬまま更なる強敵と対面する‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<ジャンヌ・ダルクを讃えて>でした。
二人の気安い雰囲気が良いですね~^^
そして遂に静香と雪の本対面ですね。ここからどんな波乱に繋がっていくやら‥。
そして雪ちゃんのスタジャン姿。以前亮が倉庫でピアノを弾いていた時と一緒ですね。

疲れた時とかやる気の無い時に雪ちゃんはスタジャンなのか‥?
(全然気を使われてない亮さんに同情の涙‥
)
次回は<避けられない運命>です。
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河村亮は赤山雪を前にして、ひたすら彼女を褒めちぎった。
顔中傷とアザだらけの彼女は、さながら戦いを終えたジャンヌ・ダルクだ。

しかし雪は苦々しい表情をしながら、帽子を目深に被り直した。しかし亮は尚も大きな声で彼女を褒め続ける。
「さっすがダメージだな!皆さん拍手を!マジパネェ!スペシャルッ!!」

止めて下さいよ!と雪は何度も亮に向かって言うのだが、彼は嬉しそうに彼女の周りを大騒ぎしてはしゃいでいた。
そして雪の顔を掴み、見せてみろと言って顔を近づける。

「こういうのはオレの得意分野だからよぉ!いつ治るのか診てしんぜよう!」

オレのじーちゃん医者だったし、と何の説得力も無いことを言いながら、亮は雪の顔を左右に動かす。
雪は必死に抵抗するも、亮はマジマジと雪の顔を見続けた。
「おいおいなんだこの引っかき傷は!ケチケチしねーで見せやがれ」「や~め~ろ~!」

こんなに触られては傷跡が余計に残ってしまう、と言う雪と揉み合っている内、
亮は不意に指でその傷跡を強く押してしまった。

「あべし!」

するとその痛みで、雪は思わず血反吐(?)を吐いた。そのあまりの痛がりように、亮は驚きのあまり目玉が飛び出す。
雪は痛みに小さく震えながら、言葉の限り亮をなじった。
「このバカッ‥このイソギンチャクッ‥


しかし亮はそれよりも衝撃を受けていることがあった。
自分は軽く触れただけなのに、こんなに痛がるということは‥。
ハッ!

亮は血相を変えて雪の顔を再び掴む。
「ひょっとして顔骨ヒビ入ったんじゃねーか?!119番すっか?!
ほら見せろって!レントゲン‥」


そう言いながら超至近距離まで顔を近づける亮に、雪は目を剥いた。
そして雪は痛みやら動揺やら赤面やらでグルグルになって、思わず亮の頬を張ったのだった‥。
「‥‥‥‥」

すっかりテンションの下がった亮と雪は、小言を言い合いながら並んで歩く。
「ったくもう‥」「だってお前が大袈裟に‥」「あんなに触られれば痛いに決まってんでしょ


そうグチグチ言う雪の顔を、亮は改めて眺めてみた。
その顔は無数の引っかき傷と切り傷とアザで、見るからに痛々しい。

亮も高校時代は喧嘩をよくした方だが、こんなに傷を負ったことは無かった。
亮は雪に向かって、喧嘩コーチ(?)として訓戒を垂れる。
「てか何でお前こんなに殴られてんの?お前ちゃんとオレの教えを守ったのか?
先制攻撃が大事だって言ったじゃねーか、髪の毛から‥」
「私の方がもっと殴ってやりましたよっ!」

失敬なと言わんばかりに、雪はコーチに反論した。
「河村氏は見れないけど、今頃あの子の顔の方がもっとヒドイことになってると思いますよ?」

そう口にする雪に、亮は「やるねぇ」と言って彼女の頭を優しく撫でた。
「よくやったなぁお前!もう大学制覇しちまえよ!」「やるわけないでしょ


二人は食堂へと向かいながら、亮は雪にその顔で接客する気かと言ってクククと笑った。
それでも手伝わなきゃと律儀に口にする雪に、そんな顔見たら客が逃げ出すと亮は尚も言い返す。

すると雪は、ふとあることを思い出して口を開いた。
「あ、そうだ河村氏。どうして前からこのこと知ってたんですか?
私に誰かが喧嘩をふっかけてくるかもって、蓮に何か言ってたんですって?」


雪の言葉に、亮は視線を泳がせて言葉を濁した。
以前「お前の姉ちゃんが危ない」と、蓮に忠告して彼女の元へと蓮を向かわせたことを思い出す。

しかしあれは静香のことであって‥。
今は姉も大人しいことだし、亮は言葉を濁してこの場をやり過ごそうとした。
「いやそれは‥特に意味はねぇよ。てか蓮の奴口が軽ぃっての‥」

そこまで口にした亮だったが、次の瞬間目を剥いた。
なぜなら食堂の真ん中に、見慣れたあの後ろ姿を見つけたからだった。

それは、間違いなく姉の静香だった。
亮は青ざめ小さく震えながら、白目になってその場に立ち尽くす。

期せずして、雪の前に静香は現れた。
傷だらけのジャンヌ・ダルクは、その疲れも癒えぬまま更なる強敵と対面する‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<ジャンヌ・ダルクを讃えて>でした。
二人の気安い雰囲気が良いですね~^^
そして遂に静香と雪の本対面ですね。ここからどんな波乱に繋がっていくやら‥。
そして雪ちゃんのスタジャン姿。以前亮が倉庫でピアノを弾いていた時と一緒ですね。

疲れた時とかやる気の無い時に雪ちゃんはスタジャンなのか‥?
(全然気を使われてない亮さんに同情の涙‥

次回は<避けられない運命>です。
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