Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

正直

2014-07-08 01:00:00 | 雪3年3部(砂の城~性分)
皆さんこんにちは。中間考査、よく出来ましたでしょうか。

”良い農夫には悪い土地は無い”という言葉がありますね?努力した分全て、良い結果が出ることを願います。

週末には、気を休めて友達と楽しい時間を送ってはいかがでしょうか?




大学中に響き渡る校内放送は、そんな内容で中間考査の最後を締めた。

雪は傷だらけの身体でヨロヨロと廊下を歩きながら、一人その放送に対して物思う。

それじゃ良くない農夫はどうしろって言うんだ‥。週末も勉強しなきゃだし‥



身体が痛み、心がささくれ、雪はくさくさしながら痛む顔を触りながら息を吐く。

「あー‥痛‥」



雪が顔を上げると、そこに彼の姿があった。

青田淳は雪と目が合うと、彼女の帽子と鞄を彼女に見えるように少し上に上げる。



確か聡美が雪の鞄を持って行ってくれたはずだが‥。

そう思い返してみるも、きっとあの二人のことだ。雪の鞄や薬などを先輩に持たせて、トンズラしたに違いない‥。



早く仲直りして下さいネ、と言って強引に事を進める二人の様子が、雪には見なくても想像出来る気がした。

彼は真っ直ぐ雪のことを見ている。雪は気まずい気持ちで、彼の視線から目を逸らす‥。







もう空は夕暮れの色をしていた。秋の深まりと共に、日が落ちるのも随分と早くなった。

外に出た二人は適当な場所を見つけて荷物を置き、淳は雪を座らせ、彼女の名を呼んだ。

「雪ちゃん」



ちょこんと行儀良く座る雪を前に、淳はテキパキと事を進める。

「薬塗ろう。ほらこっち向いて」 「ちょ‥ちょっと待って‥嫌‥」



雪は彼の手から逃れるように、俯いて首を何度も横に振った。

淳はなかなか正面を向かない雪の顔を覗き込み、「ちょっと顔見せて」と彼女の髪に触れながら声を掛ける。

 

しかし雪は彼の手を押しやると、俯いたまま手で顔を覆い、再び首を横に振り続けた。

そんな彼女の様子を見て、淳は目を丸くする。



彼女は泣いているのかもしれない。

淳はもう一度彼女に手を伸ばし、顔を覆っている手をどかそうとした。

「泣いてるの?どうした?ひどく痛む?」 「そ、そうじゃなくて‥」



雪が彼の手を押しやった拍子に、彼女の顔が露わになった。雪は掠れた声でこう言う。

「は‥恥ずかしくて‥」



そう口にして俯く雪の顔は、真っ赤になっていた。

そのまま顔が上げられない雪を見て、淳はぽかんとした後、小さく一人声を漏らす。



雪は恥ずかしくて堪らなかった。

改めて先ほどのことを思い出してみると、顔から火が出るようだった。



一応女の子なのに、取っ組み合いの殴り合い‥。しかも先輩の前で‥。

考えれば考える程雪は恥ずかしくなって、彼の前で顔が上げられない。



彼はそんな雪を見て、少し意外なそうな顔をして口を開いた。

「ふぅん‥よく分からないけど‥。君はいつも我慢に我慢を重ねて‥」



「俺はむしろ、今回全て吐き出せて良かったんだと思うよ」



雪は暫し手で顔を覆いながら俯いていたが、彼の言葉を聞いて顔を上げた。

彼は全く笑っていなかった。引いてもいなかったし、彼女から目を逸したりもしない。

「終わらせたじゃないか。ウンザリだっただろう?」



「恥ずかしくなるだけなの? スッキリしてない?」



淳は真っ直ぐ彼女の目を見て、彼女の本当の気持ちを引き出す言葉を掛けた。

彼女が抱え込んでいる重い荷物を、下ろしてあげるような心持ちで。

 

いつの間にか、顔を覆っていた手は膝の上に降りていた。恥じらいもどこかに飛んで行った。

彼の言葉は雪の心に真っ直ぐ届き、雪は本音を口に出す。

「はい、その通りです。スッキリしました」



雪は固めていた心の表面が溶けていくような気持ちになって、そのまま心の内を吐露し始めた。

「本当に終わらせたかったから‥。このままあの子と卒業までジリジリすると思ってたから、

ちょっと見苦しいことになったけど、スッキリしてます。もしかしたら内心こうなることを望んでいたのかもしれません。

幸いなことに運も良かったんです、写真を回してる最中に蓮が来て‥」




そう口にする雪を見て、淳はニコリと微笑んだ。運とは巡ってくるものではなく自ら作るものだ、と言わんばかりに。

雪は改めて、自分の気持ちを己の中で眺めてみる。

本当に‥あの子を切り捨てることが出来るなら、恥じらいなんてどうでも良かった。

皆の前で私を傷つけたあの子を、やっぱり私も皆の前で懲らしめたかった‥




だけど、と雪は思う。

心に広がる苦い気持ちに押されるように、俯きながら心中を吐露する。

「‥それでも、二人とも極端すぎたというか‥ちょっと酷かったなって思って‥」



苦々しい表情でそう言葉を紡ぐ雪に、淳は躊躇うこと無く自分の意見を口にした。

「そこまで気にする必要あるかな。誰が見ても雪ちゃんは間違ってない」



自業自得だよ、と言って淳は己の見解を述べ始めた。

「清水香織のような、被害者意識が過剰で、他人のものを自分のものと勘違いするような人間は、

いつもああいう風になってしまうんだ」




淳の目は雪を真っ直ぐに見ているようでありながら、少し遠くの記憶を辿るように幾分陰っていた。

「より多くのものを持とうとして、本来自分が持っていたものまで失くしてしまう」



淳は言葉を続けながら、傷口を診る為に雪の顎に触れ、彼女の顔を少し上に上げる。

「結局、他人に対する願望だけを噛み締めながら生きることになるんだ。

そんな人達には同情の余地も無いよ。心に溜め込まないで」




淳はそう言った後、薬の入った袋の方へと身体を移した。

顔にいくつか付いた擦り傷に塗る薬を探しているのだった。



雪は彼が口にした言葉の意味を、その横顔を見ながら考えてみる‥。





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<正直>でした。

どことなく、今回二人の服の色合いが似てますね‥。先輩、またペアルックを狙ったのか‥?!


次回は本家版と題名合わせてます。

<接点>です。




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