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Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

砂の城(1)ー主人公ー

2014-07-02 01:00:00 | 雪3年3部(砂の城~性分)
中間考査五日目。試験最終日である。その日、朝から伊吹聡美は吠えていた。

「今テストなんて受けてる場合?!今日こそ捕まえてシメなくっちゃ!

あの子マジで頭どうかしちゃってるんじゃないの?!何で無駄にケンカ売られなきゃいけないのよっ!」




ペンケースを握り締めつつ憤慨する聡美とは対照的に、雪はライオン人形を握り締めたまま沈黙を守っていた。

聡美のように声を上げて怒りたい気持ちは山々だが、今はその怒りを爆発させるべき時ではない。

「あの子のおかしい所はねぇ、一度は嘘まで吐いて盗む程欲しがってたくせに、

どうしていきなり踏み潰して行くのかってとこよ!マジで呆れるわ本当!」




香織の人形への仕打ちに対して聡美はずっと文句を言っていたが、
(そして女同士のそんなやり取りを太一は怖いものでも見るかのようにじっと窺っていたが)

雪は「落ち着いて。とりあえず試験受けよ」と口にして押し黙っていた。




すると後方の席から、柳先輩の明るい声が教室に響いた。おはよ、と誰かに挨拶している。

振り返るとそこに、予想通り彼が居た。



淳は雪と目が合ったと思うと、その視線をじっと彼女に留まらせた。

何か含みがあるような、意味深な表情で。



彼が、雪が握り締めていたライオンの人形を目にしたかどうかは定かではない。

けれど彼はどこか気になる気持ちを雪にもたらし、そのまま背を向けて柳が座っている席へと歩いて行った。

 

今は試験と清水香織のことでいっぱいいっぱいなのに、この上彼のことにまで気は回せない。

雪は深く一つ息を吐くと、目の前の勉強に集中しようと気持ちを切り替える。



すると教室の出入口から、大人数の団体が室内へと入って来た。

横山翔御一行。その中には勿論、清水香織の姿もある。



聡美は香織の姿を見るやいなや腕まくりをして立ち上がりかけたが、

試験が終るまではダメ、と雪は必死で聡美をなだめた。



その拍子に香織と目が合い、

  

雪が睨むと、香織は雪を見てせせら笑うような表情を浮かべた。

香織は満足だった。雪が言い返して来ないのは、自分が勝ったからだと自負する。

まるで自分は小説の中の主人公のようだと、香織は高慢にもそう思って鼻を高くした。

ずっと憧れていた綺麗で強い主人公に、ようやく自分はなれたのだ‥。




するとそんな香織に、柳が声を掛けて来た。

「おお~清水っち~!ますます華やかになったね~!良い変化良い変化♪」



柳は今日の香織の服装を見て、「まるでお姫様みたいじゃん」と言って彼女を褒めそやした。

直美はそんな香織の肩に手を置いて、そうでしょうと言って鼻を高くする。



そして柳は、からかうように頬を染めてこう口にした。

「今日はこの後終わってからどっか遊び行くの?

て・か・彼氏出来たんだってぇ~~~??」




キャッとハートマークを飛ばしつつ、柳は大きな声で”香織の彼氏”の話題を口にした。

そして「しかも超イケメンらしいじゃん!」と柳が続けると、

香織が答えるより先に直美が大きな声で肯定し、頷いた。

予想外の方向へと話が流れて行く状況に香織はただ青ざめ、狼狽する。



すると教室に居た同期や先輩、ありとあらゆる人々が、香織の彼氏について興味を持ち始めた。

香織の彼氏~?うちらもまだ見たことなーい おっ気になる!写真ねーの?

 

しまいに柳があることないこと口にして、話はどんどん大きくなる。

「いや~マジでイケメンらしいぜ?何でもウォンビンにも引けをとらないという‥」



柳のその言葉を聞いて、感嘆の声を上げて皆が香織の元に押しかけた。

”香織の彼氏”のハードルはガンガン上がって行く。



香織は今の状況についていけず、青ざめながら動揺した。

すると人波の間から、彼が口を開く。

「ほら、皆気になってるよ。携帯に写真とか無いの?」



青田淳は、飾った笑顔と共に事態を加速させる術を発揮した。

あの日目にしたあの写真。頭の片隅にあったあの記憶が、重要な布石となって今ここで生きる。



香織は彼のその笑みを見て、その裏に隠された意図を感じ取り、竦み上がった。

あ、あの人‥!やっぱり何か知ってるからあんなこと言って‥!知ってて‥!



香織は全身に嫌な汗をかきながらガタガタと震えた。その間にも、周りはどんどん騒々しくなって行く。

香織は震える手で携帯を取り出した。

も‥もう知らない‥!ま、まずは早く写真を消して‥



すると握り締められた香織の携帯を、隣に居た直美が目ざとく発見した。

そしてそれを奪い取ると、皆に見えるように掲げて叫ぶ。

「ここに写真あるよー!イケメンイケメン!」



皆は「おおっ」と声を上げ、見せて見せてと直美の元へと集って来た。

経営学科ほぼ全員を上げてのお祭り騒ぎに、何の騒ぎよと言って聡美が憤慨する。



試験が終わってから、人形のことで香織と一線交えようとしている雪サイドとしては、出鼻を挫かれたような気分だ。

しかし怒りの声を上げる聡美に対して雪は、その騒ぎを前にした香織の表情の方が気になっていた。



”香織の彼氏”の写真を皆がワイワイ見ているというのに、香織本人は青ざめながらガタガタ震えていた。

雪はその表情の意味が解せず、一人眉を顰めて今の状況を眺める。







急ピッチで積まれた香織の砂の城は、風に吹かれてパラパラと徐々に崩れ行く。

彼女の城には土台が無かった。積み上げられたそれを支える固い土台が。

ギリギリまで積まれた砂の城は、驚くほど脆いはずだ。そこで踊る主人公を、支えることもままならない程。


それはギリギリであればあるほど、すぐに崩れてしまう




その瞬間は、ほんの刹那。





”その時”はきっともう、すぐそこまで来ている。



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<砂の城(1)ー主人公ー>でした。

今回より「砂の城」シリーズ続きます~。



ウォンビン氏‥イ、イケメン‥。



柳ハードル上げすぎ‥そしてこのコマで↓



「あ~結構いいじゃん」「でもウォンビンとはちょっと違うな‥」と言われている‥笑

蓮‥



そして今回、ピンクのワンピースを着ている香織が柳から「お姫様みたい」と言われるくだりは、

去年の冴えない香織が雪を見て「お姫様みたいに飾らなくても綺麗だな」と思っていたのと対になっているんでしょうね。




次回は<砂の城(2)ー許せないことー>です。



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