Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

静香の思惑

2014-07-24 01:00:00 | 雪3年3部(静香との邂逅~万華鏡の様に)
”楽しい教養芸術思潮”の教室にて、河村静香は席に就き、頬杖をついていた。

周りから「こんにちは」と声が掛かる。しかし静香は挨拶を返さず、ずっと携帯をいじくっていた。



そんな静香の元に、小西恵がやって来てニコニコと笑って挨拶をした。

「グルワ課題、よろしくお願いします!」



恵の挨拶に、佐藤広隆とその隣に居た二人が会釈を返す。彼等はこのグルワにおいて、同じ班のメンバーに選ばれたのだ。

ずっと携帯を見ている静香に、恵は目を輝かせて話し掛けた。

「あ、写真科の方ですか?不思議な感じ~!どんなカメラ使ってらっしゃるんですか?」



携帯のカメラ、とそっけなく返す静香と恵の間に、佐藤はスライディングでサッと割って入った。

人差し指を口元に当てながら、ヒソヒソ声で説明する。

俺の知り合いなんだ‥聴講だけだから知らないフリをしてくれないか?

グルワ人数自体は足りてるから‥




佐藤の説明に、恵は指でOKマークを作って了承した。

そして同じグループのあとの二人は‥

「私達の意見は?」「まぁ、関係ないんでしょう‥」「ハイ‥」




恵は静香の方をじっと見つめながら、頬を染めて彼女を観察した。

美人なお姉さんだな~



美術をやっているからか、青田淳の時といい今といい、恵は美形に目がないようだ。

静香のことをニコニコと笑って見つめている。しかし恵の好意とは裏腹に、静香は彼女に嫌悪感を抱いていた。

美大通いをひけらかしやがって‥

 

静香は恵の持っているアジャスターケースを見て、それが絵画を入れるものだと一発で分かった。

なぜならおよそ十年前まで、彼女もそれを持って美術に勤しんでいたからだ‥。



そんな静香の胸の内に気づくはずもない佐藤は、ストレスで痛む胃を擦ってゲンナリとしていた。

なぜ俺はこの人の頼みを全部聞いてやってるんだ‥。

いやまぁ出来ないことは無いんだけど‥けどどうして教養課程の授業でもグルワのストレスを‥




悶々と考える佐藤、携帯をいじくる静香、そんな静香をご機嫌な顔で見つめる恵。

三者三様の思いを乗せて、グループワークは始まったのだった‥。

そして同じグループのあとの二人は‥

「僕らもメンバー?」「ハイ‥」





授業が終わってから、廊下に出た佐藤は静香にこう声を掛けた。

「時間があれば集まる時に来てもいいよ‥。来たくなかったら別にいいけど」



あれだけ胃を痛めているというのに、佐藤は静香にグルワ参加の許可を出した。

静香は嬉しそうに頷いて、彼に礼を述べる。

「ありがとね~。グルワ課題があるなんて焦ったけど、この授業最後まで聞きたかったの~」



甘えるような声でそう口にする静香に、佐藤は咳払いをしつつ言葉を返した。

「フン‥べ、別に‥」



そう口にしてそっけない態度を気取る佐藤だが、微かに頬が染まっていた。

静香はそれを見抜くと、彼に対して明るい口調で提案する。

「じゃ、お昼食べに行こっか試験期間は会えなかったから、随分久しぶりじゃない!

前に奢ってもらったとこも美味しかったし~」




静香はご機嫌で佐藤の両肩に手を置いた。またかよ、と呟く彼の囁きなど聞こえないフリをして。

「ねぇ!あなたも来なよ!」



そう言って静香は、廊下に居た恵もご飯に誘った。恵は嬉しそうに頷く。

そして同じグループのあとの二人は‥

「私達は次の機会に呼ばれるでしょう‥」「ハイ‥」




親睦会も兼ねて、と静香が続けると、

巻き込まれるのが嫌な佐藤は「いや俺は今日ちょっと忙しくて‥」と断ろうとするも、静香は

「え~?空講なの知ってるわよ~?何を今更!」と笑って返した。静香には、それが嘘だとお見通しだ。



そんな二人に、恵が手を上げて提案する。「あたし安くて美味しい所知ってます!」と。

しかし静香はそれに対して引き攣った笑顔を浮かべると、「あら‥安い必要なんて無いのよ?」と言い返した。

どうせ佐藤の奢りなのだから‥。


すると溢れる人並みを掻き分けて、あの面倒な男が佐藤の元へとやって来た。

「おい佐藤お前!この授業聞いてたんだろ!俺が何度お前にー‥」



柳瀬健太は、大きな声で佐藤に対して詰め寄ろうとしたのだが、途中で彼は口を噤んだ。

なぜなら佐藤の両隣に、可愛い女子がついていたからだ。まさに両手に花‥。



特に佐藤の右側に居る女が健太の目を惹いた。初めて見るが、かなりの美人だ。健太の目には彼女が輝いて見える。

「知り合い~?」



健太はニヤニヤとした笑みを浮かべると、佐藤に向かって笑って話し掛け始めた。

「お前は俺をコッソリ避けたりするくせに、女の子達と一緒にいる時間はあんだな?」



健太は恵に挨拶をしつつ、佐藤にそんな皮肉を投げた。

健太の声は大きく、廊下を歩く全ての学生が健太とその視線の先に居る佐藤をジロジロと眺めて行く。

「お、俺がいつコッソリと避けました?!」



恥ずかしくなった佐藤は、真っ赤になって声を荒げた。健太は意地の悪い顔をしながら、

ネズミみたいにコッソリ避けてるじゃねーかと尚も続ける。



佐藤は、それは健太がいつも無理を言うからだ、と反論するが、

健太は溜息を吐いてそれに言い返した。

「俺とお前はもう数年の付き合いだってのに‥。お前って奴はあまりにもショボくて呆れちまうぜ」



静香はそんな彼等のやり取りを見て、バカバカしそうに息を吐いていた。

そして健太は佐藤に「ノートPCを貸せ」と言って迫った。

前回のグルワでは助けてくれなかったんだから今回は助けてもらって当然だと、自分の意見をゴリ押しする。

今日はノートPCを持ってないし、何で俺が貸さなければいけないのか、と佐藤は尚も食って掛かろうとしたが、健太は大きな手を佐藤の肩に掛けて言った。

「明日は絶~対持って来いよ?」

 

健太はニヤッと笑ってそう言った。佐藤は身を竦めてその場に固まる。

「んじゃ」と健太は別れの挨拶を口にして、そのまま笑顔で立ち去ろうとした。



しかし次の瞬間静香が放った一言で、健太は足を止めることになる。

「あ~ら、ノートPC買う金もない男なのねぇ~」



健太がその一言に目を剥いて振り返ると、彼女は佐藤に向かって甘い口調でこう言った。

「あたしはご飯もちゃ~んと奢ってくれる、優しい広隆が好きよ~!」



静香はそう口にすると、健太の方を見て笑みを浮かべた。

貧乏な男を見下すような、蔑みを含んだその笑顔を。



そのまま佐藤の背中を押して、静香は健太に背を向けた。

健太は美人からバカにされた悔しさと屈辱で、暫し真っ赤になって立ち尽くす‥。




静香と共に廊下を歩きながら、佐藤は狼狽していた。

毎日顔を合わせる先輩なのに、こんな態度を取るのは良くないと言って。



しかし静香は取り合わなかった。

へりくだる必要なんて無いわと言って、真っ直ぐに前を向いている。



そんな強い彼女の隣で、佐藤は真っ赤になって歯噛みした。

佐藤は、己が恥ずかしくて堪らなかった‥。



そして場面は横山翔の居る教室へと移る。



ふあ~っと、横山は大口を開けて欠伸をした。一応授業中なのだが。

先程直美から「授業、あとどのくらい?」とメールが来たが、「時計見りゃ分かんだろ」とそっけなく返信したところだ。

横山は早く直美と別れたくて堪らない。



そんな折、再びメールが来た。

また直美からかと思ってイライラして開封すると、それは”ニセ青田”からのメールだった。

今はそのアドレスは”切り札”と登録されている。

最近ますます悲しいのーー良い男が一人も居ないっ



「おっ」



そのメールを見て眉間に寄せたシワが一瞬にして取れた横山は、光速で返信を打った。

俺が慰めてやるよ



すると相手からの返信も即行で来た。

マジ?どう考えてもあんたが一番かっこいー!

他の男なんて必要ないわ~!T T




横山はクックックと笑いながらメッセージを打つ。二人は会話を重ねる。

いつ俺と会ってくれんの? どうして?あたしと会いたいの?

うん、一度会おうぜ。会って話したい 

それじゃあたしを慰めてくれる?



”ニセ青田”からの最後のメッセージを読んで、横山は頬を弛めた。思わず一人言葉を零す。

「いや~こりゃ大変な事になっちゃったな~!この子まで絡んで来たらマジ手に負えねーよ」



横山は返信を打ちながら、一人こう呟いた。

「もう証拠だけ引き出したら‥。青田バイバ~イ♪」



横山は、自分の計画はトントン拍子に進んでいると確信し笑いを漏らした。

彼女に最後のメッセージを送る。

あったりまえじゃーん!早く会おうぜ!



静香の携帯に、送り主”タワケ14”からのメッセージが返って来た。

静香はそれを一瞥すると、タバコの煙を吐き出しながら一人呟いた。

「はー‥バカばっか」



静香はそんな気怠げな表情で、先ほどの内容を打っていたのだった。

全ては静香の思惑通り。じっくりと獲物を誘き寄せる。


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<静香の思惑>でした。

今回ツボだったのはこの二人‥。



名づけて「控えめ二人組」!何度も出て来ては控え目に会話する二人が面白いですw

佐藤達と同じグループでありながら、きっとこの先彼等は出てこないんじゃ‥^^;


そして今回「タワケ14」はCitTさんの訳を頂きました~^^ いつもお世話になっております☆


次回<幻影>です。

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